愛ってなんですか?
<プロフィール>
商業では粟生慧で執筆しています。
おもに電子書籍ではBL中心です。
商業の内容はほぼエロです。
「あのさ、俺、好きなやつできたんだ!」
うれしげに、おまえが俺に話す。俺は漫画雑誌を読みながら、ふーんと相づちを打った。
「でさぁ、その子さ、○○のグッズがスキらしくて! 俺今度買ってきてプレゼントしてみようかなぁって思ってるんだよねぇ」
いいんじゃない? とだけ答える。
好きな女の話をするおまえのことが憎らしくもあるが、うれしそうなおまえの顔を悲しみに曇らせたくない。
俺がおまえに対して抱く感情を、おまえに吐露しても、おまえは困惑するだろうし、いま、友達として揺るぎない関係の自分たちを壊したくもない。
「だからさー、こんどさ、一緒にそこいって、買い物つきあってくんない?」
「んー」
俺は曖昧に返事をした。行くとも行かないとも言わず。けれど、この返事をおまえはOKだと思うのだろう。
おまえが幸せであるなら、俺はおまえの幸せを一番にとる。おまえを悲しませることだけはしたくない。ましてやおまえを困らせることなんて、絶対にしたくない。
おまえにとって一番幸せな道を、俺が作れるのなら、なんでもしてあげる。たとえ、それが自分の気持ちを裏切っていても。
俺が自分の気持ちのままにおまえのことを振り回しても、きっと俺は後悔するだけだ。おまえの困惑と悲しみがたぶん俺を傷つける。
俺の気持ちよりも、おまえのほうが大事だから、俺は気持ちを押し殺す。
偽善かもしれない。けれど、おまえを思う気持ちを自分を満足させるためだけに、おまえに押しつけたくない。
出口のない気持ちは心の底に積もり、いつか見えなくなるかもしれないけれど、おまえの笑顔をみたら、きっとそれだけでいい。
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なお商業収録作品は除外しております。
「キミイロ、オレイロ」関連作品のみ。