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12話:「絵でわかる調合」①

【6月4日】


 リイが様子を見に来てからソラは気が抜けてしまい、しばらく何もする気が起きず過ごしました。それでも、ポーションだけは作り続けましたが。

 そして課題のことを考え、何度目かのため息をつくと出かけることにしました。

 場所はもちろん錬金術ギルドです。


 ギルドに着くと、受付にはアマレットしかいなかったのでそこに行きます。相変わらずギルド内に人はほとんどいないため、すぐカウンターに辿り着きました。


「おはようございます、ソラさん」


「おはようございます…。餌と参考書が欲しいのですが」


「はい、かしこまりました。猫用の餌はこちらでよろしいでしょうか」


 そう言って、あらかじめ用意しておいた餌を取り出しました。最近の餌は成長のためにカロリーや栄養価の高いものへアマレットがこっそり変えています。ソラも流石にそこまでわかっていませんでしたが、子猫がお腹を空かせる様子をみせないことから。気を使ってもらっていることだけは予想していました。


「参考書ですが何をお求めでしょうか?」


 そう聞かれ、ソラは詰まりました。初心者向け、だけでは漠然とし過ぎていますし、何種類もあるだろうと思えたからです。

 少し考え、ソラは答えました。


「毒消しポーションのレシピが載ってる、一番安いもの」


 購入したのは「絵でわかる調合」、値段は2万8千セリンでした。




 工房に戻ったソラは参考書を読みはじめました。

 特に興味を持つこともなく淡々と読んでいきます。図解が多く、理解しやすく書いてあることはわかるのですが、それでも知識がほとんどないソラには難しい内容でした。一通り読み終えると、今度は調合レシピに書いてある材料を別の紙に書き出していきます。

 全て書き出し終えると、今度はその紙をもって錬金術ギルドへ向かいました。




「あら?ソラさん?」


 今日来ることが2回目であったため、アマレットは少し驚いたようでしたがすぐにいつも通りに戻りました。ソラも気にせず自分の用件を伝えます。


「この紙に書いてあるもの、もらえますか?」


 さきほど書いた、材料を書き出した紙を出しました。リイはそれを一通り読むと少し困った風な表情で言いました。


「えっとですね、ここにあるもののいくつかはすぐにご用意できます。他もお時間をいただければ入荷できます。よろしいでしょうか」


 ソラが頷くと、アマレットはギルド内にある商品を次々と集めていきました。ソラのところへ戻ってくるときには、素材の入った小袋を抱えて持って来ました。


「はい、全て合わせまして3600セリンになります。よろしいですか?」


 ソラは頷くとお金を払いました。


「ありがとうございました」


 アマレットの言葉を聞きながら、ソラはそそくさと工房に向かっていました。




 工房に戻ったソラは買った素材を確認していきます。素材がそろっていることが分かると、錬成を始めることにしました。

 今から錬成するものは、毒消しポーションです。




 この世界の毒は2種類あります。一つは虫や植物が持っている物理的な毒です。体内に入ると体の機能に障害を出し、死にいたることもあります。ハブの毒やトリカブトが有名でしょうか。

 もう一つは魔法的なもので状態異常の毒です。こちらは【毒攻撃】などのスキルによって発生するもので、体を蝕む魔力です。この魔力を相手に付与することで、相手を攻撃し、HPを削ります。元が魔力なため治療魔法で簡単に治すことができますし、付与された魔力が尽きれば消えます。さらに、自分の魔力が毒魔力を破壊するように働くため治りやすいですし、後遺症も残りません。しかしHPがなくなるほど肉体を蝕まれてしまえば、肉体が機能しなくなり死んでしまいます。

 そして、今回作るのは状態異常の毒を消すためのポーションです。


 作り方はポーションとほとんど変わりません。素材となる水、ガラス瓶、ミドリソウ、そして先ほど購入したデクス草を入れる円をそれぞれ描きます。

 ミドリソウ、デクス草の円から水の円に線をひき、ぞれぞれの線には体力回復成分抽出と解毒成分抽出と書きます。水の円からガラス瓶の円にも線を引き、抽出した成分の入った水をガラス瓶に入れる、と書きました。


 陣を作り終えると、素材を配置していきます。準備が終わると、ソラは早速魔力を流し錬成を始めました。ポーションを作成したときと同様に、陣が淡く光ると液体の入ったガラス瓶が見えました。

 さっそく鑑定してみると、毒消しポーションであることが確認できました。


(…できた)


 ソラはいきなりやってできたことに拍子抜けしながら、毒消しポーションを見ます。

 この毒消しポーションを飲むと、体内の魔力とデクス草の成分が反応します。反応した結果、状態異常毒の魔力を包んで無力化する魔力が発生します。この反応はデクス草単体で摂取しても発生せず、促すために錬成や製薬時にはポーションに魔力を入れる工程が入ります。そして、無力化した魔力は体外に排出され、解毒となります。ミドリソウはデクス草の解毒魔力が体に負荷をかけないように調整する役割と、蝕まれた体を応急処置として治療するために使っています。


 …そんな説明が参考書に書かれていましたが、


(…素材は4つ必要、と)


ソラはこのようにだけ憶えておきました。

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