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地球最後の男が何もしない

作者: ハチミツ

 日が暮れていた。

 オレは孤独だった。孤独なオレだった。孤独がオレだった。

 というのは比喩でも何でもない。本当の本当に孤独だからだ。

 よく、地球最後の人間が出てくる映画やマンガがあるが、どうやらオレがソレになったらしい。難儀なことだ。

 どうしてオレが地球最後の男であるということを、オレが知り得たかというと、ソレを説明するのはちょっと大変だ。



 世界中で人口が減っている、ということはニュースや新聞で知っていた。人口が減るにつれて、オレはいわゆる超能力のようなものが使えるようになった。空を飛んだり、手から火を出したり、といったやつだ。

 人口が減るほど、オレの使える能力は、数も質も向上していった。

 そしてオレが地球最後の男になる頃には、透視能力(およそ10000キロくらい先まで見える。測ったこと無いから正確なキョリはわからないけど)と、飛行能力(およそ時速10000キロくらい。同上)を駆使して、わりとスピーディーに全地球上を観測できるようになった。だから、オレが地球最後の男であることは、きっと必ず間違いなく間違いない。



 地球最後の男になったオレは、一体何をすればいいのかよくわからない。こういうとき映画やマンガだと、後々に誕生するであろう知的生命体のために(動物はまだいるので進化して知的生命体になるかも)メッセージを残したりするのだろうか。でもそんな気も起こらない。


 あるいは地球の外に出るとか。でも、残念ながら超能力を駆使しても宇宙までは行けそうにない。空の上の方まで行くと息苦しくなるし。宇宙船をつくろうにも、残念ながら知能の方は昔のままだからムリっぽい。


 いっそのこと死のうと思ったこともあるが、体が超人的に頑丈になってしまったせいで、何をやっても死ねそうにない。そのくせ老化の方は、普通の人の十倍くらいの速度ではあるものの、きっちり老いていっているようだ(オレは今357歳だが、見た目は35歳位)。


 希望もない。絶望もない。オレがいま欲しい物は、「オレが今何をするべきなのかを教えてくれる人」だ。

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