表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

プロローグ

 日本には、二種類の人間が存在する。

 一つは誰もが知っている、ごくごく普通の平凡な人間。それぞれ個性はあるものの、ある程度で収まっている。世界各地で起こっていた紛争も終息の気配を見せ、この世界は平和だと信じ、すっかり平和ボケしきった日本人。

 そしてもう一つは、変種(ラウナ)と呼ばれ、蔑まれる人間。彼らは常軌を逸した「個性」をもつことで知られている。たとえば未来が見える。たとえば見たものを瞬間的に記憶できる。たとえば異様に頭が良い。たとえば手のひらから炎が出せる――。見た目は普通の人間と何ら変わりないが、彼らは彼らの持つ「個性」のため、差別される立場にある。

 変種(ラウナ)の存在は昔から言われており、日本が江戸時代末期に開国したころから言い伝えられている。それが日本だけなのか、世界にもいるのかは定かではないが、戦闘能力を持った変種(ラウナ)は特別に訓練され、戦争に駆り出されていたという。

 しかし変種(ラウナ)は、その能力を思う存分発揮する前に、自分が変種(ラウナ)であったという記憶を、その能力と共に忘れなければならない。十八歳になると彼らは、それまで自分がいた場所と記憶を捨て、新しい場所で新しい人生を始める。それは、変種(ラウナ)対策本部が改正を加えながらも施行している法律のためである。

 法律では、すべての変種(ラウナ)に「制御チップ」というものを埋め込むことを義務化している。制御チップというのは、変種(ラウナ)がその能力を完成させる十八歳までできる限り能力を抑え、十八歳になったとき記憶とその能力を無くして別の場所へ向かわせる機能を持つ、最先端の技術を駆使して作られたものだ。

 変種(ラウナ)は制御チップに怯え、十八歳の誕生日を心から恐れている。それでも表立った行動はできず、ただひたすら自分が変種(ラウナ)だとばれないように祈るしかなかった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ