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【第1章】第3話

 HRが終わると藤森は、じゃあみんな佐伯さんを手伝ってあげてね、といい教室を出て行った。それと同時に、隣の女子生徒が話しかけてきた。

「佐伯さん、私水谷綾っていうの。まだ学校のことよく知らないだろうし、よかったら一緒に案内とかしてもいい?」

 急に話しかけてきた綾に少し驚きつつ、有希は見定めるように綾を見た。耳が半分程度隠れるショートカットで、身長は160ぐらい。じろじろと容赦なく有希を見てくる。目は有希の反応を急かしていて、仕切りたがり屋なイメージを抱く。――まあ、それぐらいなら。

「じゃあ、頼もう・・・かな」

「よかった!なんかこう初めて見た途端びびっと来たの!」

「びびっと・・?」

「そう!あの子のことをもっと知りたい!みたいな!」ハイテンションな綾に有希は戸惑うが、綾は構わずしゃべっていた。

 HR後すぐに授業があることもあるせいか、綾以外に話しかけてくる生徒はいなかった。どう接すればいいのか分からなかったのかもしれない、と有希は思った。転校生というポジションだけなら、物珍しさで話しかけてくる人は多かったかもしれない。それこそ、目の前の綾みたいに。

 だが、おそらくあまり見たことがないであろう――身障者を、ポンと突然目の前に出されると、戸惑う人が多いことは有希は何度も身を持って味わってきた。

 だからこそ、いきなり話しかけてきた綾が気になると同時に、ある種の恐怖を持つ。この人はなぜ話しかけてくるのか。単純に、偏見がないのだろうか。それとも、他人の不幸を聞いて涙したいだけなのか―――と。

 不思議なことに、綾はどちらでもないように見えた。まるで以前から有希を知っていて、待ちに待ったかのような、そんな印象を受けた。


 もし、本当にそうなら気を付けないとな、と有希は思った。

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