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第五話・夜会と異常

ザワザワと、普段も中々静かにならぬ城だが、今日は特に賑やかだ

というのも、既に結婚適齢期のフレイヤ姉さまの嫁ぎ先を探す夜会中なのである


一般的(王道的)に結婚適齢期というのは15,6というが、ことフレイヤ姉さまはその美貌ゆえに我こそは、という嫁ぎ先候補がかなりの数に上り、結果、23歳の姉さまは未だ未婚なのである。

第一皇女が未だ未婚ということで、第二皇女の私も未だ嫁ぎ先の候補が数件挙がる程度で、猶予が与えられている。ぶっちゃけ政略結婚なのは仕方ないが良い気はしないので、姉さまにはもう少々粘ってもらいたいものだ



「しっかし流石フレイヤ姉さま。大人気ねぇ」


「他人事ですね」


「だって姉さまが嫁がないことには私に関する事ではないもの。」


「確かにそうですが」


炎樹と共に会場の端の壁に寄りかかって中心の美貌の主役を眺める

近隣諸国の主だった権力者の跡継ぎ達やフェリアルの大貴族の子息がこぞってアプローチしているのを見ているのは、少し面白い。

アプローチしてる側は必死なのを笑顔の仮面に隠しているし、フレイヤ姉さまは笑顔で彼らを吟味している。きっと笑顔の下で優越感に浸っていることだろう。



「炎樹、抜け出さない?」


「駄目です。さすがに止めて下さいませ」


「そう、ね。此処で抜け出したら怒られるのは貴方だものね・・・」


賓客が揃う故に、形だけの存在であっても抜け出せない。面倒なことだ。王族の体面というものも



そうやってフレイヤ姉さま達を眺めていれば、突如、背筋が粟立つ



「・・・!?な、に」


【ルナ、ルナ、絶対にココを動かないで】



「・・・如何なさいました」


「何か、この会場にいるわ。あんまり宜しくないものが・・・精霊も、白虎達も警戒してるの」


「なんですって・・・」


「白虎、一体ナニ?」


【良くないものです。主、どうかココを動かれませぬよう】


「どういう・・・・・??」



白虎の答えに問い返した時、甲高い悲鳴が会場に響いた

悲鳴の元に目をやれば、先程まで面白がってみていたフレイヤ姉さまで(正確には彼女の侍女)

床に倒れ伏す、フレイヤ姉さま

その美しい金髪が床に広がっているのを、驚きながらもどこか第三者的に眺める自分が居た


「一体、ナニが!!!!!!!!!」


炎樹が警戒し私を背に庇う事すら第三者的に見ている自分に何ともいえない気分になった。

うん、我ながら一応血の繋がってる姉に、なんと薄情なのか

自嘲しつつ、炎樹の背に隠れながら、(実際には炎樹の更に周りには精霊と白虎と黒虎が庇うように立ち塞がっている)姉の様子を見つめる



「何が起こったの」


【ふれいや攫われた】


【まぞくにさらわれた】


「攫われた?でもあそこに姉さまいるじゃない」


【ルナ、攫われたのは魂】


「・・・・・・・・・・魂が、攫われた?」


「それは真ですか」


「そう、精霊達は言ってるわ。魔族が攫ったと」


「・・・・・・・精霊達にその魔族は未だ居るか聞いていただけますか」


【もういない】


【今、気配が完全に掻き消えました】


【警戒を解いていい】



精霊と白虎達の言葉に、自分も感じた嫌な感覚が消えたことも実感しながら、炎樹にそのまま伝える



「リリー様も下がったようです。ルナ様、とりあえず部屋に戻りましょう」


「それがいいわね・・・・・・・・それにしても、何故突然・・・・・」


この国に魔族がやってきたなど、少なくても50年程無いはずだ


何故今日ココに来たのか


ルナの疑問は虚空に消えた

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