第一話
【ルナ、ルナ、雨が降るよ】
【ルナ、えんじゅがさがしてる】
【るな、ふれいやがまた魔法を失敗したよ】
【諦めたらいいのにー】
【ねー】
きゃあきゃあと悪気無く話しかけてくるのは、俗に言う精霊というファンタジックな存在
人によっては光の珠に見えるらしいが、見えない人間の方がどうやら多いらしい
【ルナ】
「はぁい。御免ね返事しなくて。ちょっとこの本が面白くて。」
【ルナの悪い癖】
【わるいくせー】
「悪かったわ。
そういえば炎樹が探してるのね。不味いわ。部屋抜け出したことが速攻バレたのね」
【ルナ、また抜け出したの】
「しょうがないじゃない?知ってることをもう一度素知らぬ振りして習うのって苦痛なんだから」
【隠さなきゃ良いじゃん】
【ねー】
「嫌よ。平凡な第二皇女だから呑気に出来るもの。」
「ルナ様!」
「あら…見つかったわ」
【見つかったー】
この世界にはファンタジックな精霊が存在するし、王道的に魔法や魔獣なんかもいる。
魔法っていうのは適性があって、そも魔力を持たないと少しも使えない。
私の非凡さはこういう実力面だと思う
私の有する魔力はかなり多く、魔力の少ない人には光の珠にしか見えない精霊もガッツリ視覚出来るし、結構位の高い聖獣と不本意ながら契約しているし
…なんで不本意かっていうのは今は置いておく。
生まれた時から前世の人格があるのは不公平なんだろう。おかげで平凡と見せてイロイロ影に隠れて出来たし。
そんな非凡さを知っているのは、王ではなく〈ルナ〉に忠誠を誓う近衛隊だけだ。精霊達は例外。
近衛隊のアレコレは置いておく。これ以上炎樹を放置して思考の海に沈み続けたら、ぶっちゃけ拗ねるし。