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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

希望の微笑み

掲載日:2026/04/28

初めて小説投稿をしたので、これで合っているか不安です…まぁ大丈夫でしょう

どこで改行をするか考えるのが苦手なので、少し読みにくいかもしれません。

頑張って読んでくださると幸いです!

あぁ、神よ! 我と家族に救いを!

何度、この言葉を天に向かって叫んだかわからない。それだけ、この言葉は僕の深い所まで沈み込んでいた。毎日のように繰り返される悪夢から、逃げるように僕は今日も祈りを続けた。そうして祈っていると、玄関から物音が聞こえた。

「あぁ〜、当主様のご帰還だぞぅ。チッ、なんだよ。誰も居ないのか? オレが帰って来てるんだってのによぉ」

「あ、貴方……お帰りなさい……随分と早かったのね。てっきり、遅くなるのかと思って……キャア!」

「チッ、ウルセェな。旦那の帰りを把握するのが妻の役目だろう? これは、それが出来なかった罰だ。一々喚くんじゃねぇよ。これ以上泣いたら、前みたいに裸で外に出すからな。覚えておけよ」

あぁ、可哀想な母さん。今日も父さんに髪を掴まれて、殴られているのだろう。父の暴力のせいで、何度母さんが泣いたことか。どうか、今日は早く済みますように……そう思いながら、僕は父を止めに行った。

「ね、ねぇ、父さん」

「あぁ? 見てわかんねぇのか? 今、コイツを躾けてるんだよ。後にしろ。お前も前みてぇに殴られたいのか?」

「そうじゃなくてね、父さん。これ、父さんが呑みたかったお酒……今日、買って来たんだ……」

「何だ、気が効くじゃねぇか。やっぱりお前を残しておいて、正解だったな。コイツがお前は頭が良いから残そうって、言った時、賛成しておいて良かった」

そうすると、父は酒を飲みながら煙草を吸い始めた。僕は母さんを避難させるために黙って、父さんの言うことを飲み込んだ。

そうして、母さんを部屋まで連れて行き、今度は泣き叫ぶ母さんを宥めた。

「ごめんね、ごめんね、ノア。貴方を救えなくてごめん。他の兄弟をお父さんの酒代にして、ごめん。こんな生活から抜け出せなくて、ごめん。あぁ、でもノア。貴方なら、分かってくれるわよね?」

「大丈夫だよ、母さん。母さんがこんなことしたく無いって、よく分かっているから。安心してね」

そう言うと、母さんは安心して眠りについた。

あぁ、可哀想な母さん。アルコール中毒でギャンブル中毒な無職の父さんを養いながら、兄弟たちを売りに出して、自分の体を犠牲にしながら僕を養うなんて。なんて、優しい人なんだろう。そんな、可哀想な母さんにあんな下劣なことをするなんて、父さんはなんて、酷いんだろう。そう思いながら、母さんが起きるまで頭を撫で続けた。母さんが起きて仕事に行くまでずっと。

 次の日の朝、僕は父さんを起こさないように、そっと家を出て学校に向かった。学校まで歩いて行くと、僕には自然と人が付いてきた。

「ノアくんおはよう! 今日は何だか良い日だな! だって、君に朝から会えたんだもの」

そう言いながら、僕の横をキープをし続ける奴に優しく話しかけた。

「ふふっ。ジェームズは面白いことを言うんだね。でも、僕も今日は君に会えて嬉しいな」

そう言って、そいつに向かってにっこりと笑った。すると、奴は顔を真っ赤にしながら、小声で「僕の名前、覚えててくれたんだ…」と噛み締めるようにいった。

それだけで喜ぶなんて、幸せだと思う。そもそも、名前を覚えているのは当たり前なことだ。彼の両親は州で有名な弁護士なのだから。とういうか、この学校に居るだいたいの生徒の名前は完璧に覚えている。何故なら、この学校に居る殆どはお金持ちだから。僕は推薦でこの学校に入学してきた特待生だ。劣悪な環境から優秀な学校にやってきた所謂、ヒーローなのだ。それだけでも凄いのに、優しくて運動ができて、ルックスも優れているなんて、正に完璧だろう。おまけに生徒会長だ。好きにならない筈が無い。でも、僕はこの学校に居る全員が嫌いだ。だって、金持ちと言うのは母さんみたいな弱者を食い物にしている卑しい悪魔だらけだから。

神よ、何故、こんな奴らが善人のような顔をしているのでしょう。僕は甚だ疑問です。心の中でこの悪魔たちに惑わされないように、僕は祈りを捧げた。そうやって淡々と一日が過ぎていくはずだった。

でも、僕は職員室に呼ばれた。

「貴方のお母様がお父様を刺したらしい」

先生は同情を込めるように言った。呆然と動けなくなる僕に先生は、優しさからか「早く帰った方がいい。今日の分の単位は気にしなくても良いから」と穏やかに言ってくれた。僕はふらふらとしながら、学校を後にした。

 そうして、家に帰ってくると、電気は付けられて居ない、化け物屋敷のような我が家が目に見えた。

「母さん……? ねぇ、大丈夫? どうして、父を刺しちゃったの? 母さんが父さんを刺して、母さんの綺麗な手が汚れるくらいだったら、僕がその役を引き受けたのに……」

そう言って、母さんの肩に手を置こうとした瞬間、手を叩かれた。そうして、無表情で僕を見て怒気を孕んで喋った。

「貴方のせいよ! 貴方が居なければあの人が浮気しないと思ったのに!」

そう言って、僕の肩を痛いくらいに掴んで、母さんは話を続けた。

「あの人は子供がいれば、変わると言った。私は子供を産みたくなかったけど、あの人が変わるなら…と思って貴方たちを産んだ。それなのに、あの人はちっとも変わりはしない。挙句、貴方の兄弟を売って、お酒を買うし。でもね、貴方の兄弟を売ったことに怒って無いの。産んだ私には一文たりとも、渡さないことに怒ってるの。私は子供を産めば、私だけを見てくれるって言ったから産んだの。それなのに、産んだ私に、一文も渡さないのは可笑しい! あの人にとって、私はその程度なのよ。あぁ、貴方を可愛がってたのが馬鹿みたい。あの人に似ているから、可愛いがってたのに。良い母親の演技をしていたのに。もう、その意味もないわね。ねぇ、ノア、貴方は母さんが好きでしょう? なら、一緒に死んで、天国から地獄に居る、あの人のことを笑いながら、母さんを慰めてちょうだい。お願い。私の言うことを聞いてくれるわよね。可愛いノア。貴方はあの人と違って、優しいから。言うこと聞けるわよね」

いつのまにか、僕の肩から手を離して、頬を優しく撫でながら母さんは父さんに向けるような甘い笑顔でこう言った。

僕は、ニッコリと笑うと机の上にあったナイフで母さんのことを刺殺した。

「母さん、一つ勘違いしてるんじゃない? 僕はね、母さんが理想の母親を演じているのが好きだったんだ。可哀想で、弱々しくて、庇護されないといけない。そんな、母さんが好きだったんだ。神が微笑むような弱者の母さんがね。でも今の母さんは、僕が、いや人類が忌避すべき醜い化け物そのものだ。堕落し、己の欲望のため、家族を売る。理性の欠片などまるで無い。醜悪な忌まわしきもの。そんな人間は僕の母であろうと、要らないよ。じゃあね、母さん。暫くの別れだけど、その間に優しい母さんが戻ってくることを祈っているよ」

そうして、僕は僅かに残っていた母さんの息の根を完全に止めた。

その時に僕は決めたのだ。優しかった母さんでさえ、堕落し、利己主義に成り下がっている。他人なんて、それ以上だろう。なら、僕がそんな世の中を変えよう。そう決意しながら、母さんの頭を優しく撫で続けた。

十数年後……裁判所にて

「被告人、ノア・リッパーについての罪状です。この者はカルト教団を立ち上げ、教団員をファミリーとし、自身を父として、結束を強めました。しかし!その結束で売春や暴力行為、誘拐や拉致などの犯罪からここでは口に出せないものまで多岐に渡る罪を犯しました。裁判長、この者は大勢の人生を踏み躙ったのです!よって、この非道な犯罪者に検察側は終身刑を求刑します!」

大抵の人間は終身刑と聞いただけで震え上がるだろう。だが、僕たちファミリーのお父様だけはだけは違った。お父様は表情を一つも変えずただ静かに立っていらっしゃった。あぁ、可哀想なお父様。早く、救い出して差し上げなくては。僕が傍聴席から僅かに身を乗り出そうとした瞬間、お父様が話し始めた。

「検事さん、確かに僕は罪を犯しました。それは、肯定しましょう。ですが、僕のお話を聞いて下さいますか?」

裁判長は厳粛に「許可する」とだけ答えた。その言葉にお父様はにっこり笑うと、何かを思い出すような口調で話し始めた。

「そうですね、人間というのは罪深い生き物です。裁判長殿や検事さんはよくご存知でしょう。でもね、貴方たちは何か勘違いをしています。なんせ僕の最初の罪は、あなた方の言う売春でも誘拐でも無いのですから」

そういうとその場に動揺が走った。検事は目を見開いて、吐き捨てるように「はっ、この後に及んで未だ罪を重ねるつもりか?」とだけ言った。傍聴席に居る全員が罪について考察していた。そんな中お父様は口に指を当ててシーというポーズをとり、周りを落ち着かせた。周りが静かになったのを確認して、お父様は喋り始めた。

「僕の最初の罪は、実の母を殺したことです。あぁ、皆さんどうぞお静かに。これには深い訳があるのですから。一つ一つ話しましょう。僕は貧しい地区で生まれ育ちました。父は酒浸りでどうしようも無い人でした。おまけに僕や母に手を出していたので救えません。ですが僕は幸せでした。何故なら、母が近くにいたからです。母は父を深く愛していました。でも、そのせいで僕の大切な兄弟たちが犠牲になりました。兄弟たちは皆んな父の酒代に売られたのです。その中で僕だけは生き残りました。僕は残してくれた期待に応えようと必死に勉強しました。お陰で名門校に特待生として入学することができました。でも、そんな中で事件が起きたのです。それは、母が父を刺したというものでした。僕は急いで母の元に行き、母を慰めようとしました。でも、母は僕の手を振り払い、共に死んでくれないか? と頼みました。母は酷く錯乱していたようで、僕を無理矢理殺そうとしてきました。そのため、僕は母さんを刺しました。その時のことはよく覚えています。母が優しい母じゃなくなった気がして」

そう言って、お父様は落ち着いた声色でそのことを話し終わった。あぁ、お父様はそのようなことに耐えていたのか!どれほど、辛かっただろう。やはり、お父様は素晴らしい人間なのだ!哀れな裁判官共と検事、はたまた、神にさえも誰もお父様を裁くことなどできない。そう思うと体がブルブルと興奮で震えた。

裁判官共と検事は絶句して、お父様をぼんやりを見つめていた。その様子を見て、お父様は幼い子に言い聞かせるように話し始めた。

「ふふっ、どうかそんな顔をしないで。僕は苦に思っていません。あれは与えられた試練だったのです。あの瞬間に母は醜くなった。でもね、僕がその醜さを消してあげたのです。僕はそのことを誇りに思っています。母は僕越しに父さんを見ていました。いつまで経っても父さんのしがらみに囚われている母は醜い。だから救ったのです。ご存知ですか? 僕の名前の由来を。ノアは希望の他に慰めという意味もあるのです。母は僕に慰めて欲しかった。父さんにそっくりの姿で。だから、一緒にいようと誘ったのです。でも、そんなの美しくない。だから救ったのです。これは、間違っていますか?」

お父様は穏やかな口調で一連の出来事を言い切った。その顔には微笑みすら浮かんでいた。

「……確かに、被告人の養育環境が劣悪だったのを認めよう。だが、そうと言っても殺人や売春を犯して良い理由にならない。よって、被告人に終身刑を下す! 一切の恩赦はないと思え。して、一つ君に聞きたいことがある。何故、そのようなことをした? 君の話しを聞いている限り、皮肉ながらも神を信じていたように聞こえたが」

「ふふ。裁判長には疑われるでしょうが、僕は神を信じてます。ただ、それだけです」

「つまり、神の思し召しだと?」

「えぇ、神は我々人間に試練をお与えになります。僕も同じように試練を受けました。ですが、それを乗り越え、迷える者たちを救える力を得たのです。ですので、信者たちに同じような試練と修行を与えました。この教団は運命を乗り越えよとする人をファミリーとして平等に扱います。ですので、ファミリーの団結力は強いのですよ」

「それが、お前がお父様と呼ばれる由縁か?」

「えぇそうです。僕は死後、世界を作る女神と結婚し人類の繁栄を手伝うことになっています。だから、子供たちは僕のことをお父様と呼び慕ってくれるのです」

「…君は狂っている。善人の顔をしているが何処かしらが人間と違う。そのような者が神を語るでない。少しは同情を覚えたがそれも杞憂だったようだ。貴様の判決は覆ることなどない」

裁判長は怒りに体を震わせながら、判決を終えた。

お父様はその様子を落ち着きながら見ていた。

その後、お父様と面会した私は後継者として細やかなお土産を持ってお父様に話を聞いた。

「久しぶり、ルカ。ファミリーの子供たちの様子はどうですか?」

「皆、元気に過ごしております。お父様。頼まれていたモノです」

「ありがとう。例のモノだね。面会を許してくれたあの子には感謝を述べなくては」

「…失礼ですが、お父様。我がファミリーには社会的地位を持つ者が何人も所属しております。此度の面会もその子たちのお陰。でも、なぜ判決を覆されないのですか? 私たちが本気を出せばそのくらい、どうってことだって……なぜ笑って居られるのです?」

「ふふっ。ルカもまだ若い子なのだと思っただけだよ。良いかい? 私の判決は全世界が注目しているものだ。それが急に覆ったら世間はどう反応すると思う?」

「怪しみます……」

「そうだよね。我が子に迷惑がかかる。だから、それは変えてはいけない。それにね、今回ルカに持って来て貰ったものは知ってると思うけれども毒だ。これによって僕は死に、女神、私の母さんの元に行ける」

「ですがっ、どうにかできる筈です!」

「ルカ。私はこの毒を呑み死ぬ。そして、私の遺体はファミリーの元に運び、蝋で加工して皆んなで女神の夫となった私のことを祈って欲しい」

私はそれを聞いた瞬間、ボロボロと涙が溢れた。お父様は死後もなお、子供たちのことを考えているなんて……お父様が死してなお一緒にいたいという私の細やかな願いを叶えてくれたような気がしてならなかった。

そして、お父様は無事に死に遺体は静かに運ばれた。今でもお父様の遺体は蝋でコーティングされ美しい姿を保っている。私たちはその周りに集まり日々、お父様に祈りを捧げる。その瞬間は、まるで魔法のように、お父様が側に居てくれるような気がするのだ。

読んでくださり、ありがとうございます!

裁判の詳しい手順が分からなかったため、フワフワしていますがそこはご了承ください…

あと、要らぬ心配かもしれませんが、後半の語り手は教団の信者です。紛らわしく書いてすみません

詳しい設定などは感想を送ってくださればお教えします。ものぐさで申し訳ない

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