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1.心優しきゴブリンとの出会い

1週間程度で更新します

一話は短いです

「うわぁあっ?!」


俺は暗闇の中で目が覚めた。

先ほどまでの、生きたまま臓物を抜き取られ、生殺しにされる鈍い痛みが綺麗さっぱり消えていた。


「…は?」

「おーい!!誰かー!!」


岩にもたれかかっていた体を起こす。

俺は近くに光源があるのを見つけた。

光だ…光。今はただ光が欲しい…


歩いてみると、大きな松明があるのを見つけた。

おかしい。俺はあの日、日光山脈を登っていたはずだ。

なんでこんな原始的なものがある?遭難者でもいるのか?


思慮を巡らせるも、何もわからない。この状況が、全く繋がらない。

考えてばかりいると、殺される時の感覚を思い出す。

即死できずに、小熊の餌となり、何度も何度も肉がすり減っていく…

考えるだけで痛みが再発しそうだ。俺は死んだのか?

松明の下の枝を持ち、それに火を灯す。ひとまず一時的な移動に使える光源を確保した。


ふと前を見やると、大量の岩が道を塞いでいる。

崩落したのか?はたまた、意図的に誰かがここをバリケードのように塞いだのか?

おそらく後者だろう。


「くっ…うおっ」


懸命に岩をどかしてみる。ちくしょう。死ぬ前に童貞くらい卒業させてくれたってよかったじゃんかよ。

神がいるなら、非情なものだ。


まぁ待て。俺は自分に言い聞かせる。パスカルも言った。人間は考える葦なんだ。

岩の前に座り込み、足を組んで考え続ける。

もっと深く考えろ…俺はなぜこんなところにいる?

どうしたら抜け出せる?考えろ…俺は、生きているのか?


ふと何かの気配がして、俺は隣を見た。


「ニヒ?」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


その時俺が見たのは、緑色の醜いカッパのような生物が岩の隙間から顔を覗かせている光景。


「なんだ!なんだおまえええええええ」


「キシャッ!ニンゲン!コイツ、ニンゲンノコトバシャベッテル!!」


「来るなバケモン!!俺が退治してやる!!」


「まぁまぁ落ち着いてくださいよ」


「は?」


「私とてあなたと今ここで交戦するのは得策ではないと踏んでいます。」

「どうでしょう。今一度、私と手を組みませんか?」


「な、なんのつもりだ!バケモン!」


そのヒューマノイドは、先程とは打って変わって突如流暢に日本語を喋り出した。

岩に挟まっていた足を引っ張り、こちらを向き直して口を開く。


「メリットは一つしかないでしょうに…」

「私もここから出られなくて困ってます」


「……はぁ??」


「どうか一緒に手伝ってください!仲間ともはぐれてしまって、心細いったらありゃしない!」

「猫の手でも借りたい気分でした。そこに、あなたという天使が舞い降りたわけです」


「じゃ、じゃあなんでさっき俺を見てニンゲンニンゲンーって…」


「いやぁ、さっきまで1人だったのに突然人が現れちゃあ気が動転するのは自然な事ですよ」


「俺は…熊に殺されて死んだ…はずだよな?」


「あれ?あなた、もしかして…転移者ではありませんか?」


「転移者?」


「ならば、驚くのも無理はありません。」

「ここにいるのも合点がいきますしね」


「…話は早い。まず、私と協力してこの岩をどかしてください」


「よくわかんないが…よし、わかった。2人ならなんとかなりそうだ」


俺が出会ったこのバケモンこそが、俺の最初の臣下になるなんてこの時は思いもしなかっただろう。

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