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虹の瞳  作者: シンノスケ123
第二章「呪い隠し」
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第二章 「呪い隠し」2

サクラは畑に囲まれた道の真ん中で、たった1人で取り残され、戸惑っていた。


この畑だらけの風景が紫色に染まろうとしたと思ったら、次の瞬間には色が元に戻っていた。


そして、なぜだか一緒にいたはずのアイとシロウの姿が跡形もなく消えていたのだ。


わけがわからない。


でも、もしかしたらあの廃館での不思議な現象が起ころうとしているのではないかと、ふと思った。


あの事件は何だったのだろう。


急に襲って来た紫色の瞳の怪物。漆黒の世界。それを退けたアイ・・・。


あの時、アイの瞳は氷のように冷たい色をしていた。


恐ろしく、不思議な出来事。


そんなことを思い出していたサクラだったが、照りつける日差しと喉の渇きをすぐに思い出し叫んだ。


「二人ともどこ行ったのよ〜ッ!!!」

サクラは大声で叫ぶと俯いて泣き出してしまった。


「シクシク・・・」


「お嬢ちゃん、こんな所で何してるんだい?」

サクラの背後から女性の声が聞こえた。


サクラは驚いて振り向いた。


そこには男性かと思うほど体格の良い、綺麗な女性が立っていた。


それに、どこかアイに似ているような気もする。


「貴女は・・・?」

サクラは聞いた。


「私はリン。喉が渇いているようだね。これを飲みなさい」

リンはサクラにペットボトルの麦茶を手渡した。


「どうもありがとうございます。本当に助かりました」

サクラはペットボトルの麦茶を飲み干すと礼を言った。


「はは・・・相当喉が渇いていたようだね。ここら辺はオバケが出るから、早くお家に帰ったほうがいいよ」

リンは優しく促した。


「私もそうしたいんですけど・・・」

サクラはありのまま今起こったことを話した。


「それはおかしいな」

リンは首を傾げた。


「君の友達ってなんて名前なの?」

リンは続けて聞いた。


「鬼島アイです」

サクラは正直に答えた。


「ふーん・・・」

リンの表情が一瞬驚いたように見えた。


「そういえば、君とはどこかで会った気がするな」


「えッ!?」

サクラは驚いた。


「不思議な感覚なんだが、遥か昔、それは前世の記憶ような、はたまた深層心理に秘められた記憶のような・・・自分でも理解できていないが、私たちは以前どこかで会っているね」

リンの表情は至って真面目だった。

それは冗談や人を惑わそうとしている顔ではない。


「そうでしょうか・・・?」

サクラは戸惑っているとリンは何かに気がついた。


「何か来る・・・!」

リンの言葉に反応し、サクラは彼女が見ている方向を見た。


向こうから3人、スーツ姿の男が歩いてくる。

のどかな風景に全く似合わない、物々しい雰囲気を放つ男達だ。


「あれは<七封家>のアホンダラ共だな・・・」

リンはつぶやいた。


七封家・・・

サクラはこの苗字を知っていた。

もちろんそれは七封アスカのことである。

珍しい苗字だと以前から思っていたことだった。


「お前は鬼島リンの方だな?俺は七封センエイ。今の所は七封家のリーダーをしている」

3人の中の真ん中に居る中年の男はそう言った。


「両脇の2人も七封家の者のようだが、かつてのように7人で来なくて大丈夫だったかい?」

リンは言った。かつてとは鬼が滅ぼされた約500年前の話である。


「本来そうすべきなのだが、こっちもいろいろ不利な要因が重なっていてね」

センエイは答えた。


「なるほど、鬼島アイを隔離したのは私と間違えたか、私たちを分断して対処しようというわけだな」

リンは鼻で笑いそう言った。


「まあそういうことだな。ところで・・・」

センエイはそういうとサクラの方を向いた。


「彼女は誰かな?なぜここに居る?」

センエイはサクラを凝視している。


「今ここで会った一般人だ。鬼島アイの連れのようだね」

リンは正直に答えた。


「そうか。君に危害を加えるつもりはない。少し離れていてもらえるかな?」

サクラはセンエイに言われた通り、後退り4人から距離をとった。


「ふふっ・・・お前ら七封家がどこまでやれるか、見定めてやろう」

リンの瞳が黄色に輝いていた。


「くるぞッ・・・!」

センエイがそういうと3人の男達は己の瞳を紫色に染めあげ身構えた。


「まず1人目・・・」

リンが右側の男を睨みつけると、その男の目の前に輝く光の玉が現れた。


「マズイ、そこから離れるんだッ!」

センエイがそういうと光の玉が更に発光し、辺りを真っ白になるくらい照らした。


ドドドドドドドドドドッ


光の玉は激しい轟音と共に爆裂し、右側にいた男は木っ端微塵に砕け散った。


「あの人はどこにいったの・・・!?」

サクラはあまりの出来事につぶやいた。


「そして、2人目・・・」

リンの瞳が緑色に輝くと強烈な風がリンの背中に向かって吹き荒れた。


そして次の瞬間には左側の男の目の前に瞬間移動した。


「ヒイッ・・・!」

左側の男が小さな悲鳴を上げたかと思えば、リンの右腕が彼の体を貫通していた。


「まさかこれほどの力とは・・・」

センエイは絶句した。


「さてどうする?リーダー」

リンはセンエイに向かって歩きながら挑発した。


「お前達がやっとの思いで使えるようになったの支配の魔眼(紫の瞳)は我々にとって初歩的な技術でね。つまりその上位の眼を持っている私には逆立ちしても敵わないのだよ」

センエイに近づいたリンはセンエイの耳元でそう囁いた。


サクラは震えていた。

(2人死んだ・・・!?)


あの廃館での出来事のように、平和な日常が崩れ去っていく感覚がサクラを恐怖させていた。

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