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虹の瞳  作者: シンノスケ123
終章「虹の瞳」
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終章 「虹の瞳」1

人物紹介

<鬼島アイ>

かつて世界征服を目論んだ鬼の末裔。不思議な瞳の能力を使い脅威を退けてきた。同じ鬼である鬼島リンと、呪い師の一族である七封家、そして全人類からも狙われている。藍の瞳だけはまだ使用できない。


<鬼島リン>

アイと同じ鬼の末裔。鬼として完成された力を有し、七色の瞳の全て使いこなす。半鬼という存在を生み出して人類を支配しようとしている。


専門用語

<鬼眼>

鬼が扱う七色存在する能力を持つ瞳。紫は支配。藍は流水。青は氷結。緑は疾風。黄は閃光。橙は火炎。赤は生命。

身体の構造上、最初から自力で発現できる種類が限られているが、相手が使う瞳を見て術理を理解し習得できる。


<虹の瞳>

七つの鬼眼を扱えるものが、習得できると言われる最上位の瞳。天眼と地眼が存在し、そのうち一つしか習得できない。

地眼は一度しか使えないが、全ての精神弱き生物を支配したり、一人の能力の際限を越えて支配できるようだ。

アイの氷眼に対し、リンは風眼を構え口を開いた。


「アイ、お前が私を倒せない明確な理由が二つある。一つは瞳の練度。そしてもう一つはお前もよくわかってるはずだ」

リンの言ったこの意味は、アイが七色の瞳のうち、藍の瞳をまだ習得できていないことだった。


「私は今までこの風眼を特に使ってきた。その練度はお前の想像を遥かに超えるものだろう」

リンが言い終えると瞳がギラギラと緑色に輝き、風の刃が連続して射出される。


その刃の生成は、一秒間に約七回。

乱れ飛ぶ斬撃がアイに襲いかかった。


キキキキキキキンッ!


アイは目の前に大きな氷の壁を作っていた。

初めから、氷眼はリンの攻撃を防御するために備えていたのだ。


「なるほど、私が風眼を得意とするように、お前はその氷眼を得意としているのだな」

リンは風の斬撃を止めて言った。


そして、リンは藍色に瞳を輝かせた。


「私はあえてこの藍の瞳を使う。なぜならお前はまだこの瞳の打開策を知らないからだ。お前がこの術理を解く前に勝負を決めてやる」

リンがそう言うと、リンの足元から勢いよく水流が発生し、辺りを湖に変えていく。


道路はアイの股下くらいまで冠水し、流水に足を取られ移動を完全に封じられていた。


〜異眼戦型〜


リンは左目だけ黄色に変えていた。


アイの目の前に光の玉が発生し、大きくなっていく。


鬼眼による戦いは、常に攻撃側が有利となる。

なぜなら防御を失敗すれば致命傷を受ける上、成功したとしても次の瞳の能力がすぐに襲いかかってくるからだ。


そして、この光の玉は紫の支配能力で消すことができる。

しかし、紫の瞳に切り替えた時こそが鬼眼を持つ者の一番の隙となるのだ。


「弾けろ!」

リンが叫んだ。


しかし、光の玉は爆発寸前のところで凍てつき氷の膜に包まれていく。


「!?」


そしてアイはそれに手を伸ばし、掴んでリンの方に投げた。


やがて氷の膜は肥大化する光の玉の圧力に耐えられなくなり、爆ぜて氷の刃が連続する爆光と共にリンを飲み込んでいく。


藍の瞳の能力によって、自分自身の機動力も奪っていたリンは完全に爆発に巻き込まれたように見えた。


しかし、リンの声が聞こえてくる。


「恐ろしい・・・お前のような鬼が私と同じ瞳を持ってここに立っていたらと思うと」

アイは声のする方向である、上空に目を向けた。


リンの体は上空二十五メートルくらいのところに漂っていて、これは風の能力には成せない安定感だった。


リンの肩の辺りにはうっすらとした光を反射する色彩が見える。

それはまるでオーロラの翼の様で幻想的な光景だった。


そしてもちろんリンの瞳は美しい虹色の輝きを放っていたのだ。


まさにガンキが使っていた<虹の瞳>だった。


しかし、あの神々しい様はガンキの使っていた能力と別のものに思える。


〜虹の瞳<天>〜


ガンキは言っていた。

虹の瞳には天と地が存在する。

そして、そのどちらかしか発現できないと。


「虹の瞳、七色の瞳の術理を解した鬼が使える最上位の瞳。地眼は生命を支配するが、天眼は空間を支配する」

リンはアイに向けて急降下した。


アイは咄嗟に流水の一部を氷に変え、それに乗ってしゃがみ込んだ。


恐ろしい速度で急降下したリンが、アイに向けて手刀を振り下ろすと、凄まじい衝撃波が発生させ、アイを後方に吹き飛ばす。


アイの体は流水の効果領域を抜けて、五十メートルほど吹き飛ばされていく。


しかし氷の防御に加え、アイは異眼戦型による風の推進力で、わざと多く吹き飛ばされて、流れるように建物の影に隠れ込んだ。


虹の瞳の能力への対抗策として、戦う前からアイが考えていたのは長期戦。

初めからアイは、使い慣れた消耗の少ない氷眼で防御に徹し、体力を温存していたのだった。


そして、リンは逆に初めから全力を出しており、それを凌ぎ切ったアイにすれば、まさに理想的な展開と言えた。


(あの天眼も地眼ほどじゃないにしろ、かなり体力を消耗するはず・・・)


アイは路地裏を移動しながら、消耗していくガンキの姿を思い出していた。


すると前方二十メートルほど前に、光の玉が発生した。


「え・・・?」


これは黄の瞳の閃光。

リンの攻撃だった。


リンの声がどこからか聞こえてくる。

「天眼は千里眼。どこに隠れようと、私の眼はお前を上空から追っている」


アイは慌てて紫の瞳を使い光の玉を消したが、後ろを見るとリンが飛行して迫ってきていた。


アイもリンから逃走し路地裏を抜けるため全力疾走で日の指す方に向かう。


(この場で襲われればひとたまりのない・・!)


光の玉を警戒して、紫の瞳のまま駆け抜けるアイ。


路地裏のゴミ箱やビール瓶などをリンに向かって投げつけながら、死に物狂いで路地裏を抜ける。


息を切らして走れなくなったアイはリンを静かに待ち受けていた。


そして同じく路地裏を抜けたリンはアイと距離を詰める。


「追い詰めたぞ」

リンは宙を浮遊して、手刀を振り上げた。


しかし、その瞬間にリンが見たアイの瞳は紫色に特に強く輝いている気がした。


「勝ちを確信するには早いんじゃない・・・?」

アイがそう言ってニヤリと笑うと、辺りが突然暗くなった。


だが、全てが暗くなったわけではない。

巨大な人影が二人を覆っていたのだ。


リンは慌てて後ろを振り向いた。


そこには全長5メートルほどの大きな紫色の鬼が拳を振り上げていた。


「う・・・単眼鬼!?」

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