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虹の瞳  作者: シンノスケ123
第七章「七封家の責務」
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第七章 「七封家の責務」2

灰色のローブは相性が良かったとはいえ、鬼島アイと優位に戦った鬼だ。


おそらく半鬼ではない。鬼の血を引いていたため鬼島リンに力を引き出してもらったのだろう。


だから半鬼とは別格の強さを持っている。


ビスケット色に完全敗北したアスカでは到底敵わないのだ。


しかし・・・


それはあの時のまでの話だ。

アスカも今まで何もせず、じっと待っていたわけではなかった。


センエイから七封家の基礎技術を学んできていた。


それだけで、付け焼き刃の紫の瞳だけの頃と、全く戦い方は変わってくるのだ。


そして、その能力の一つは灰色の戦い方と非常に相性の良いものだった。


アスカに対し、灰色が五メートルの距離まで迫ったその時。


ボウッ!


〜七封家の呪詛発火〜


灰色の左肩に火が付き、激しく燃え上がっていく。


「グアアアアアアア・・・!」


アスカは以前の戦闘で、大まかではあるが灰色の戦闘スタイルを理解した。


灰の瞳で身体を硬化させ、接近戦に持ち込む。


しかし、アスカの呪詛発火であれば5メートルの範囲で攻撃できるため、灰色の接近を許すことがないのだ。


しかも物理的な攻撃ではないのも、追い風となっている。


灰色のローブはすでに燃え尽き、醜悪な姿が露わになっていた。


「良い気になるなよ・・・忘れちゃいないか・・・?俺たちが居るこの場所は修練の森なのだぞ・・・」

灰色がそう言い終えると、灰色の背後から竹槍が4、5本射出され、アスカに向かって飛んできた。


アスカは間一髪でそれらを回避するが、呪詛発火への意識が緩んでしまう。


「俺は一週間ほど、この森を彷徨っている。だからここの現象には詳しいんだよ」

灰色はその隙を見逃さず、距離を詰めてアスカに拳を放つ。


放たれた拳を両腕でガードするアスカだったが、まるで岩石のハンマーでぶん殴られた衝撃に骨が悲鳴を上げる。


たまらず距離を取ろうとするアスカに掴み掛かる灰色。


「おっと逃がさない。また燃やされたらたまったものではないからな」

灰色の右手でがっしりと首を掴まれたアスカ。


まるで首をコンクリートで固められ、徐々に押し潰されていく。

それはまさに断頭台のような恐怖だった。


(し、死ぬッ・・・!)


しかし、ここで森が騒めき出す。


力の込められた灰色の右手が震え出し、パッと首から離れた。


「何だ、この気は!?リン様の気を例えるなら鬼の気、全方位に放たれる強者の気だ。しかし、この気は腹を空かせた獣の気、獲物を捕らえるために先鋭化された猛獣の気だ!」

灰色はその言葉を残して、一目散に逃げていった。


アスカもすぐにその気を感じたが、それが自分に向けられているもので無いことがわかった。


「マッカ様・・・」


暗闇から現れたサクラが、腰を落としていたアスカに手を差し伸べる。


「アスカ、なぜこんな所に?」


「貴女様をお迎えに来たのですが、この様です・・・」


「あれはあの時の鬼ね。危なかったわ」


「マッカ様の方こそこんな危険な森で何を?」


「リンを倒すための修行よ。呪いの訓練において、この修練の森以上の場所は存在しないわ」


「マッカ様、今こそ鬼島リンを倒す時です!そのお力を貸してください!」


「まだ私の力では倒せない・・・占星術は未だ凶を示したまま・・・」


「今がチャンスなのです!半鬼の出現が減った今が!今なら残った七封家の全員が動けるのです!」


「ダメよ。もう少し待って。鬼として完成したリンを倒すには、この森の力の全てを吸収する必要があるわ」


「わかりました・・・しかし、一刻も早く戻って来てくださることを願います」


「約束するわ。今日はとりあえず休んで、明日の朝帰りなさい」

サクラはそう言うと安全な支配領域にアスカを移動させた。


翌朝。


鬼殲滅委員会の本部にて、センエイたちの居る上層部の部屋に一人の兵が駆け込んでくる。


「センエイ様、申し上げます!鬼島リンが町に姿を現しました!そしておそらく、ここに向かっています!」

兵が跪きそう言った。


「まずいな。マッカ様はまだ戻られていない。お前たちはとにかく民間人の非難を優先しろ」


「はっ!」

そう言って兵は退室した。


センエイは同じ部屋の隅にもたれかかっているテッケンに目をやる。


「テッケン、出るぞ。マッカ様が戻られるまで、時間を稼ぐしか無い」


「ああ、やるしかねえ!」

センエイも椅子から飛び上がり、二人は外に出た。


すでに交戦している警備兵が放つ銃声を聞きながら、センエイとテッケンは装甲車で現場に向かう。


「やばいな・・・一騎当千とはこの事か・・・」

現場を見て、センエイは思わずそう呟いた。


まさに町中、50メートルほど先の開けた交差点で、兵士たちが宙を舞う。


戦場の中心で高速で動いていた何か。

センエイたちがやっと目で追うことができる物体。

それが鬼島リンであることはすぐに理解できた。


隊を瞬時に全滅させたリンが、センエイたちに気づき、近づいてくる。


「ふふふ・・・センエイか。今度こそ始末してやろう」

緑の瞳を輝かせているリンが、そう言って笑みをこぼす。


センエイは以前と比べものにならない、リンの強大な力に死を覚悟した。


テッケンも同じく死を覚悟した。


しかし、二人とも命を捨ててでも喰らいつく覚悟を持っている。


七封家の責務。マッカ様にバトンを繋ぐことだけが、今の彼らの望みなのだ。


「鬼島リン!貴様の好きにはさせん!」

センエイがそう吠えた。


〜七封家の戦化粧〜

テッケンは顔に黒いペーストを塗りたくる。


そして二人が構えると、リンは風に乗り突進してきた。

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