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虹の瞳  作者: シンノスケ123
第六章「鬼迫る夢」
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第六章 「鬼迫る夢」1

人物紹介

<鬼島アイ>

かつて世界征服を目論んだ鬼の末裔。不思議な瞳の能力を使い脅威を退けてきた。同じ鬼である鬼島リンと、呪い師の一族である七封家、そして全人類からも狙われている。

藍の瞳だけまだ使用できない。


専門用語

<鬼眼>

鬼が扱う七色存在する能力を持つ瞳。紫は支配。藍は流水。青は氷結。緑は疾風。黄は閃光。橙は火炎。赤は生命。


<七封家>

昔、鬼を滅ぼしたとされる呪い師一族。七つの家があり、それぞれが一人の後継者を残し、代々鬼を監視する。紫の瞳に限り呪いの力で扱うことができる。現在は鬼殲滅委員会を立ち上げ、アイとリンを追っている。7人の中で4人生き残っている。


<支配領域>

紫の瞳の能力で作られた架空の空間。


<鬼迫るの夢>

ヒロシが悩まされた夢。紫の瞳の効果と酷似している。

鬼殲滅部隊の包囲網から生還し、酷く傷ついたアイは山の中を逃げていた。


鬼島リンに追われ、七封家に追われ、そして人類に追われる。


命からがら流れ着いた先で、眠りについたアイは夢を見ていた。


夢の中で不適な笑みを浮かべた何かが見つめてくる。

紫色の瞳をしたそいつとその後ろには無数の人影があった。


無数の眼光にうなされてアイは飛び起きた。


まるで現実のような恐ろしい夢だった。

夢の内容ははっきり覚えていたが、その者達の顔はなぜか思い出せない。


アイは必死に忘れようとした。

いろんなことが起こり眠れなかったから変な夢を見てしまったのだと。


アイが流れ着いたのは、あの廃館だった。


サクラとヤマトとヒロシ、仲の良い4人が度胸試しにきた場所。


初めは乗り気ではなかったし危険な冒険だったが、今思うと良い思い出だったかも知れない。


アイは廃館の二階の一室で寝ていた。


人々に忘れ去られたこの廃館は、人も来ない上に、少しボロボロだが、雨風を凌ぐにはうってつけだった。


締め切られたカーテンの隙間から光が差してくる。


アイは精神的にも酷く追い詰められていた。


少し前までは完全に孤立してはいなかったのだ。


アイとリンの存在を公表すると言う政府の情報をサクラから聞き、サクラと共に姿を眩ませた。


サクラと協力すれば、交互に展開する支配領域の中で人目に見つからず生き延びることができるだろう。


しかし、ある時を境に鬼島リンの半鬼生成速度が約二倍に膨れ上がった。


これはリンが鬼として完全に覚醒したからだろうか?


サクラは自分の素性に疲れていて、もうそれほどこの世界を救うことに執着していなかったが、アイはそうではなかった。


リンを誰かが止めなければ家族や友人、大切な人たちに被害がおよぶのは明確だった。


サクラが以前の力を取り戻すことで、リンの鬼の力に近づけることを知っていたアイは、サクラと別れることにした。


その思いに応えサクラは、七封の長としての呪いの修行を思い出し、今も力を蓄えている。


サクラと別れたアイは人間に追われながら身を隠していたが、政府が発表した鬼の情報を聞きつけて探しにきたシロウと再開した。


アイはシロウに今までの話を正直に話したが、それでもシロウはアイと一緒にいてくれた。


シロウは食料も提供してくれた。


そして出会った日の約束「君を守る」とも・・・


しかし、いよいよ孤独になってしまった。


今はサクラが以前の力を取り戻し、鬼島リンと戦うその時を待つしかなかった。


その日は一日中、食べられるものや飲み水を探した。

幸い近くには湧水があり、野草に昆虫などの小動物、食べられるものはなんでも食べた。


食料をある程度確保し、夜にはまた眠りにつく。


そしてまたあの夢を見た。


夢の中で不気味な笑みを浮かべた何かが見つめてくる。

紫色の瞳をしたそいつとその後ろには無数の人影があった。


今度はそれらがアイの方に手を伸ばしてくる。


不気味な笑みを浮かべた男。この群衆の中心人物だろうか?


鬼のような不吉な顔をした男の顔だった。


「ヒッヒッヒッ・・・マダニジノヒトミハ・・・」

現実のようなリアリティのある声量に、アイはまた飛び起きた。


まさに狂気と呼べるような声だった。


二度目の夢を見て、アイは流石におかしいと思っていた。


あまりにも恐ろしい夢、鬼がこちらに干渉しようとしてくる。


まるで心が鬼に作り変えられるような・・・


もしかしたらリンがどこかから紫の瞳で精神攻撃を仕掛けてきているのかも知れない。


そして、もう一つの最も恐れている可能性・・・


私の中に潜んでいるかも知れない鬼の将に心を奪われていっている。その前兆なのか?とさえアイは思い始めていた。


それでもどうして良いかわからない。


このまま、無防備に待っているしかアイにはできなかった。


そして、3日目の夜。


アイが眠りにつくと同じ夢を見た。


夢の中でくしゃくしゃな笑みを浮かべた何かが見つめてくる。

紫色の瞳をしたそいつとその後ろには無数の人影があった。


それらがアイの方に手を伸ばしてくる。


今度はその無数の紫色の者達がアイの身体に強く掴み掛かった。


痩せ細った手が顔、首、肩、腕、足に絡みついてくる。


(動けない・・・!)


それらはアイの身体を別々の方向に引っ張った。


まるで子供がおもちゃを取り合う様に・・・


(グッ・・・痛い・・・苦しい・・・)


しかし、その中心人物の男は棒立ちでジィっとアイを見ていた。


アイはリアルな苦痛に耐えながら、鬼のようなくしゃくしゃな笑みの顔をした男をずっと睨んでいた。


「ヒッヒッヒッ・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()・・・」

そしてまたリアリティのある声量に、アイは飛び起きた。


アイは額の汗を拭った。


そしてアイは夢の内容を大体理解した。


男が言っていた言葉、ニジノヒトミ。


(虹の瞳・・・)


(これは全部で7種類あるらしい鬼眼のことを言っている。)


(なっていない・・・)


(これは私が7つの瞳の内、紫、青、緑、黄、橙、赤の6つしか使えないということ?)


そしてあの亡者達は私に掴み掛かり、自分のモノにしようとしていた。


これは紫色の瞳の支配の能力の暗示だった。


そして最も重要なのは。


あの鬼のような不適で不気味でくしゃくしゃな笑みは、一見だけすると誰なのかわからないが。


しかし、よく観察すると知っている人物だった。


今までふとした瞬間に思い出して、逃げ切れているか心配していた人物。


彼は味方だと思っていたから、完全にノーマークだった。


あの時別れた・・・


それは祖父の顔だった。


(まさかあの優しかったおじいちゃんが・・・?)


断定するには早かったが、この夢には必然性がある。


(・・・!?)


(この館から人の気配がする・・・)


もし、この廃館に別の人間がいるとしたら。


この廃館のどこかに祖父が隠れていて私の夢に潜入してきているとしたら・・・


アイは眠っていた一室を出て、慎重に廃館を探索し始めた。

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