光の標識
これは創作における新しい物語です。皆さんが楽しんでいただければ幸いです。
リンタロウの一日は、朝の満員電車で始まった。押しつぶされそうな人波に揉まれながら、ようやく会社のビルにたどり着くと、すでに疲労感が全身を覆っていた。彼の部署は小さく、終わりの見えない仕事の山が積まれていた。
上司からは無理難題が飛び交い、昼休みもろくに取れず、トイレに行く時間すら惜しまれる。書類の山に追われ、パソコンの画面を見つめ続けるうちに、目は乾き、肩は凝り固まった。
午後には突然の会議が入った。何の意味もない会議が延々と続き、時間だけが無駄に過ぎていく。
定時を過ぎても帰ることは許されない。残業は当たり前、終電を逃しても仕方がない。帰宅しても疲れ切っているため、食事もそこそこにベッドに倒れ込む。
そして、翌日も同じ地獄が繰り返される。自由も夢もない、まるで現代の奴隷のような生活だった。
そんな中、彼のスマートフォンに届いた一通のメッセージが、まるで光のように彼の心を照らしたのだった。
それはギリシャ大使館からの連絡だった。リンタロウが応募していた「プラシニ・リパンシ」という移住プログラムへの参加許可が下りたという知らせだった。このプログラムは、ギリシャの過疎地域の再生のために、資格のある外国人を受け入れるものだ。
大使館へは翌日の午後7時に出頭するよう指示があった。
リンタロウは、限界を超えるほどの喜びを感じた。ギリシャの田舎暮らしを理想視しているわけではない。しかし、サラリーマンの奴隷のような生活よりは何でもマシだと知っていた。
今届いた通知は、一つのことを意味していた。
それは、自由に近づいているということだった。
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