第二章 魔術と神
“第二位”と呼ばれる魔法師と遭遇した夜、私はストームに魔法師について聞くために家を訪れた。勿論の通りと言う感じで兄がついてきた。ストームは
「少し真剣な話になるから泊まり覚悟で入ってこい。」
と言った。
ストームの部屋まで案内され、入った瞬間、何かがおかしいと思った。ストームは
「簡易結界だ。我慢してくれ。それとも完成させていいのか。」
と言った。私は、このままでいいと伝えた。ストームは
「そうか、なら、何を話せばいいのか。」
と聞いてきた。聞く内容は決まっている。気になっているのはエンドがどうなるかだけだ。すると、ストームは急に重い空気をだしてこう言った。
「“大魔法師”と言う言葉から説明することになる。」
その昔、世界各所でヒトであり神となった者がいた。その神々は“知恵”と“力”を持っていた。魔術師は“知恵”と“力”のある魔術師を“魔法師”と新たなランクをつけ、ヒトを神にする“大魔法師神化計画”というものを持ち出した。しかし、魔法師達は神になる目的意識を持ち得なかった。そのため当初は実験が進まなかった。しかし、“第一位”が実験に積極的に協力し始めてから、一ヶ月で第拾参回実験まで進めることが出来た。その拾参回実験が“クローズ”神を研究すると言うものであった。
驚愕した。クローズとは土地神である存在、タダの言い伝えな筈の存在だ。しかし、魔術世界ではそれはあり得ない神であると言っているような、生きた伝説のように伝わっていたと感じた。私は思わず
「何故、クローズなんだ!クローズは関係ないはずだ!」
と叫んだ。しかし、ストームはわかっていたように
「仕方ない、こうなってしまった以上、エンドもといクローズのことについて話そう。」
と言った。
エンド、連れ去られた青年だ。しかし、“彼”は記憶喪失、そして何者かが分からない。だからこそ、“彼”がクローズ神そのものではないのかと思われている。そして、“彼”は我々魔術師、魔法師に出会ってはいけない。そう、だって、研究対象。ヒトの身で神になった土地神であるから。
「なんで、クローズなんだよ。そんなことはないだろ。」
と私は叫んだ。
「これは運命なんだ。魔術師は“研究熱心”なんだ。魔法師は目的は結局結論が欲しいだけだ。」
とストームは言った。オレはそのような魔術師だと言うように。