第一章 終わりの消えた日
私はサンダー。タダの天気を操る能力者だ。こっちにいる黒髪紫目の男はエンド。クローズとか呼ばれているライヴァル(と勝手に思っている)ヒトだ。彼は彼の義兄が言うには記憶喪失らしい。高校に入る前の記憶がすべてないらしい。
ある時登校中のこと、エンドが
「能力者ってなんだろう。」
と言っていた。それは分からないと思いながら私は
「能力を使えるヒトでも使うとみんなを幸せにすることは出来ない。」
と言った。するとエンドは「何故。」と食い気味に聞いてきた。
「望んでないことだよ、タダの独り言。」
と私は言った。エンドは
「……私もやらかしたことあったかも。でも憶えていないあの事件を……。忘れてくれ、今の話は。」
と意味深なことを言った。私は思わず
「どういうこと。」
と聞いた。エンドは
「憶えているだけ良いものだよ。“人間”にはそれしか出来ないから。」
と一言つぶやいた。そしてエンドはそのまま教室へ向かっていった。私は疑問に思ったが、何も聞くことは出来なかった。その時は聞く勇気がなかったからだ。
次の日だった。エンドに関する記憶がすべての人から消えたのは……。
私は独りで学校についた。不自然に席が一つ余っていたので
「誰がいるのここの席は。」
と言った。同級生は
「知らない。そもそも席余ってたっけ。」
と言った。その時は気付かなかった。
昼休みになり、私は兄であるザ・アナザー・ワールドにお弁当を忘れたから大学校舎取りに行った。その時兄に
「今日は独りなのか。」
と聞かれた。なぜそのようなことを聞くのだろうかと思いながら私は
「いつも独りだよ。」
と言った。兄はすぐ驚いた様子を見せて
「ストームの弟はどうした。」
と聞いてきた。私は誰だろう、そんなヒトいたっけ、と言った。すると、兄は
「エンドがいない。」
と言った。その場にいた兄の同級生で仲の良い青髪碧目の男性は
「やはりクローズがいない。」
と言った。そう言われてみればとハッとした。そして、エンドに関する記憶全て思い出した。今からでも探しに行こう、と思った。しかし、昼休みのチャイムがここでなってしまったため、私は教室へ戻るために高校棟に向かった。
放課後になり、ストームに連れられてオカルト部の部室に到着した。ストームは
「メモリー、何か知ってるか。」
と誰かに向かって言った。すると、むくっと黒尽くめのオカルト部の主顧問が立ち上がりった。
「ストームさん、エンドのことなのか。」
と言った。ストームは不機嫌な態度で
「そうだ、知ってれば言え。」
と恐喝した。兄は
「知っていたらで御願いします。」
と丁寧に言った。主顧問は
「“第二位”がこの街に来た。そして、エンドを連れ去った。」
と言った。ストームは
「今度は何の“実験”だ。」
と聞いたところ、主顧問は
「学園外に出ることが出来ない私は何も知ることが今は出来ない。」
と残念そうに言った。ストームは
「知らないことをしれたことはいいことだ。」
といい、“第二位”の居場所を聞いた。
「侵入して二十四時間以内、転移を使えないはずだから遠くにいないと思う。」
と言った。私たちは学園外を捜索しに校庭へ出た。
校庭はやけに静かで部活も何もやっていなかった。ストームは
「ヒトよけの結界、部活をやろうにも校庭は使えない、と錯覚させている。まあそれのほうが有り難いものだな。」
と呟いた。兄は
「ヒトよけ。何だろうそれは。」
と疑問を口にだしていた。その時、甲高い笑い声が聞こえた。ストームは
「大魔法師“第二位”。何故ここに。」
と言った。僅かに風が吹いていた。その風の中心から人影、恐らく成人している男性が現れた。“第二位”と呼ばれたヒトは
「依頼遂行のため、“目的”のため、世界のために僕は動く。」
と言って、校庭一面を砂嵐にした。私は目に砂が入りそうになり、目を閉じてしまった。すると、とてつもない強い何かの気配がしたため、私が目を開けたのと同時にストームは
「“第二位”、こんなくだらないものを本当に信じてるのか。“私”は信用しないけど。」
と言った。私はストームの言っている事がわからない。しかし、その言葉に込められているものが確かに伝わった気がした。“第二位”はストームの声を聞いて
「ストーム、何故学び舎で隠れているのだ。僕への当てつけか。魔法界に戻ってこい、そこにはストームの席“しか”ないのだから。」
と言った。その後、砂嵐とともに人影が何処かへ消えていった。そしてストームは
「巻き込んでしまってすまない、“これ”は私たち話だから。」
と言った。すると兄は
「エンドが消えたことと関係があるならば、私たちは協力する。」
と言った。私も協力すると頷いた。しかし、ストームは
「かかわらないで欲しい。関係ないヒトはお帰り願いたい。」
と私達を巻き込みたくないことを伝え、校舎の方に向かっていった。私達は後をつけようとしたが、何故か学校外に出ていたのであった。