5話 前期中間試験
昼食時冬馬からあるお誘いがあった。
「なぁ! 夏休み花火大会一緒に行こ!」
「それって8月13日の?」
「それ!」
「俺は予定空いてるから大丈夫、2人は?」
「僕も大丈夫だよ」
「翼は?」
「んーー……むにゃむにゃ……」
こいつまた寝てる……初めて会った時はめっちゃ強くて不思議な人だったけど今ではいつも寝てる不思議な人なんだよな。
「でも8月の第2週って中間試験の再試じゃなかった?」
陽が言った瞬間冬馬は頭を抱え、翼は冬馬の隣で変わらずぐっすり寝ている。
「そういえばこの試験だけ再試なぜか夏休みど真ん中なんだよな……星弥! 俺に勉強教えてくれ! 頼む!」
「その……俺いつも平均点の人だから俺じゃ不適任だよ」
「そんな……翼! お前どうす……って寝てんじゃねぇ!」
「ふぇ? あれー俺寝てましたー?」
「寝てたわ! で、お前テストどうする?」
「あーーテストですかー、俺テスト中何時も寝てるのでー」
「はぁぁ!? 真面目に受けろ! お前花火大会一緒に行かねぇの? りんご飴とかあるのに」
「りんご飴……いいですねー、俺も花火大会行きたくなってきましたー」
「よし、それなら赤点取ったらやばいから頼むぞ!」
「そうですねー」
「星弥頼む! 教えてくれ! 翼も頼め!」
「お願いしまーす」
どうやら意気投合したようだ。翼はあんまり困った感じはしてないが、でも俺じゃ無理だ。
「ほんとごめん! 俺じゃ無理だ」
「そんな……」
「陽は? 俺達のこと見捨てたりしないよな?」
そんな捨てられた犬みたいな目をして頼むなよ。
「その……僕あんまり人に教えるの得意じゃなくて、そもそも覚え方とか独特だから」
「もうダメだ……すまん、俺達のことは見捨てて2人で花火大会行ってこい……」
冬馬はかなりショックなようで顔を机に伏せてしまった。翼は気にしてないのか呑気に寝ている。
「私が教えてあげる」
「「「え?」」」
俺達の目の前に現れたのは学校で1番の成績を持つ幼馴染の月だった。
「は? 月?! なんでお前が」
「別に私が教えてもいいでしょ? それに花火大会行くなら恩返しに星弥にたこ焼きでも奢ってもらおっかな」
くそ! やっぱり目当てはたこ焼きかよ! 月昔からたこ焼き好きだからな。
「まじで?! 月ちゃんが教えてくれるの?!」
「いいわよ、星弥がたこ焼き奢ってくれるなら」
月がじっと俺を見てくる。こっち見んなよ!
「頼む! 星弥!」
友に頼まれては仕方がない。
「わかったよ、買えばいいんだろ」
「交渉成立ね、花火大会私も一緒に行くから、あと、私の友達も一緒に行くからね!」
「はいはい、わかりましたよ」
月は満足したのか友達の所に戻って行った。
てかなんで俺たちが花火大会行くこと知ってたんだ、やっぱりあいつ地獄耳。
「やったー! 流石星弥、俺達を見捨てないでくれてありがとう!」
「星弥さんかっこいいー」
「褒めても何もでないぞ」
こうして俺達は月に勉強を教えてもらうことになった。
「なんで俺の部屋なんだよ!」
月に勉強を教えてもらおうと決めたのはいいがなぜか俺の部屋で勉強会が行われている。
「別にいいじゃん、星弥の部屋なら特に問題なさそうだし、それに女子の部屋ってなんか落ち着かないし……」
「それなら冬馬の部屋にすればいいだろ!」
「あーー俺はパス! 俺小学2年の弟いるから勉強邪魔しに来るぞ」
「はいはい、俺が普通の部屋だから俺になったという訳ですね、理解しました」
冬馬は弟いるからパス、陽は両親と血縁じゃないのバレると怖い、月は部屋散らかってる、翼はそもそも寝てるこの消去法から俺の家という話になったらしい。
「じゃあ始めるよ、まず昨日やった英語の小テスト見せて」
「はい」
冬馬が月に小テストを渡す。それを隣から俺と陽が覗く。
「何この点数!」
お、月がキレた。しかもありえないという顔をしている。冬馬は翠雨の姫にこんな一面がと少々がっかりしている。
「いやーー、俺なりに24点は頑張ったんだけどなー」
「頑張ったのは褒めてあげる、そもそも今までどうやって勉強してたのよ!」
「適当に単語覚えてた?」
「? じゃないのよ! 教科書読むとかもっとやり方あったでしょ! それで苦手なのは英語だけ?」
「他は赤点回避してるぜ」
ぐっ! じゃない、月これは教えるの相当苦労するだろうな。しかもここにもう1人いるし、その本人は寝てるけど。
「次は隠宮見せて」
「ふぇ? あ、はーい、どうぞ」
翼が渡したプリントにはゼロの数字。そもそも名前すら書いてない。
「何この数字、始めてみた」
「このテストの時眠くて寝てましたー」
こちらにも問題児1人、せめて名前ぐらい書きなさい。
「いいわよ、2人まとめてみっちり教えてあげる」
笑ってるように見えてあれ笑ってないな。怖い怖い、俺も自分の勉強しますか。
その後2人は月に基礎の基礎から教えられ少しずつ点数を上げていった。
そしてテスト返却時。
「じゃーーん、見事赤点回避!」
「すげー、しかも苦手の英語平均超えてる」
「もっと褒めてもいいぞ!」
何言ってんだこいつ。
「俺のも見てくださーい」
「お! 翼は……は?! お前全部80点超え!?」
「えーーー!! 負けた……」
翼もしかして天才なのでは? こいつ元々できる子で月に教えてもらって更に上がったのか?
「2人ともテスト大丈夫だった?」
「陽ーー!! 聞いてくれ翼全教科80点超えしやがった! 俺は赤点回避で真剣だったと言うのに……」
「翼くんすごいね! でも冬馬くんだって何時もより点数上がってるよ! 2人ともすごいな」
冬馬褒められて嬉しいのか、見えないはずの尻尾が見える。
「これで花火大会行けるわね」
喜びの声が聞こえたのか月が2人のテストを覗きに来た。
「月……お前そんなにたこ焼き食いたいのかよ」
「別にたこ焼きが目当てな訳じゃないし……」
月が少し顔を赤くしながらこちらを見て来る。
「お前まさかたこ焼き以外も奢ってもらおうとしてるのか?!」
「違うわよ! ほんと鈍感なんだから……」
否定したあと何やらボソボソ喋っていたが一体なんだったのだろうか。
「これで花火大会行けるな!」
「そういえばなんでそんなに花火大会行きたいんだよ」
「毎年この花火大会の週従兄弟来るんだよ、それで部屋に籠ってると従兄弟達が部屋突撃して来て部屋荒らされるのが嫌だから」
「なんか、大変だな」
「明日から夏休みだ」
「「「「「いぇーい!!!」」」」」
大盛り上がりである。俺達は高校2年高校にも慣れ、受験でもない最高の位置なのだ。
「喜ぶのもいいが、夏課題計画的にやれよ」
この一言でさっきの盛り上がりは消え、しーんとしている。
「それとE組の池田と最近連絡したやついないか? あいつら今行方不明なんだ」
池田ってあの俺がボコってしまったやつでは? 行方不明? まぁ俺には関係なさそうだ。
「先生! あいつらってことはその友達とかも行方不明なんですか?」
「あぁそうだ、見かけたら学校か警察に連絡してくれ」
あの問題児が学校に来ないのは何時ものことだ。最近は真面目に来てたらしいが2週間辺り家にも帰って来ず、学校にも来てないらしい。どこで油売ってるのか。
「ただいまー」
「おかえりなさい、今日から夏休み?」
「うん、13日の花火大会、友達と行くことになったから」
「わかったわ、夜ご飯7時ぐらいだから」
「はーい」
話を終え、2階にある自分の部屋に向かう。
「おかえりにゃさいにゃの」
「セレサ?! なんかツヤツヤしてる?!」
「主の母がブラッシングしてくれたにゃの、最初は中々手強かったけど、最近は美味しいご飯もくれるにゃの」
母さんあんなに反対してたのにやっぱり猫好きだったんだ。すっかり可愛がってる。
「おやすみ」
「おやすみにゃさいにゃの」
明日から夏休みだ、最高だ! 明日はとりあえずゲームするか。新作まだ1回もやってないし、楽しみにしてたんだよなー!
そんなことを考えながら俺は眠りに落ちた。
『久しぶりだな、星弥よ』
『あ、お久しぶりです』
この雲の上懐かしい、セレサ召喚前にもここで助言もらったっな。
『今日はどうしたんですか? また助言ですか?』
『またとは失礼なやつだな、今日は助言ではないお前の周りに危険が迫っていることを知らせに来た』
『危険ですか?』
『あぁよく聞け星弥よ、花火大会には行くな』
『は?! そんなこと言われても無理だ! もう約束したし、それに頑張って赤点回避したのに、なんでダメなんだ!』
『花火大会に行けばお前は真実を知り、引き返す事ができなくなる。今ならまだ間に合う花火大会に行くな』
そんなこと言われても……冬馬と翼は花火大会のために頑張って、陽と月も協力してくれた。断るなんてできない。
『俺は行く』
『平穏な日々がなくなるぞ!』
『それでも俺は行くよ、平穏じゃない日々なんて今年何回も経験した』
『それとはレベルが違うのだ!』
『それでも俺は行くよ、それに龍さんだって助けてくれるんだろ?』
『まぁそうだが、仕方ないできる限り力を貸すと約束しよう』
『ありがとう』
龍の姿が薄くなる。
『時間だ、最後に聞けお前の周りには良い仲間が多くいる困った時はそいつらから力を借りるんだ』
『あぁ、わかった』
時間になり目の前から龍が消える。
「行くなって言われた」
この時俺は甘く見ていたのかもしれない。2週間後に巻き込まれる事件で俺はこの国の真実を知ることになる。
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「今日は月が綺麗だよ、陽ちゃん」
赤銅色の髪の少年は縁側に座り、月を眺めている。
「やぁ火卯我、また月見てるのか?」
青漆色の髪をした少年が話しかける。
「都木か、お前も見ろこんなに月が綺麗に見えるのは何年振りだろうか」
「あぁ、こうやって見てると昔のことを思い出すよ」
「そうだな」
「4人で夜遅くまで隠れんぼして怒られた時も部屋でトランプをした時も綺麗だったな、でもその楽しかった日々もなくなった……なぁ火卯我絶対に成功させよう」
「もちろん、そのつもりだ」
最後まで読んでくださり本当にありがとうこざいます。
地図でも説明した通りこの国は日本ではありません。文化が近い国です。どうして英語を勉強してるのかと言うとこの国の隣にも国があり、喋る言語は違います。もちろん他の国も言語は違います。色々な国の言語をまとめて英語という教科で勉強している。という感じになります。だいたい5~6くらいの言語を学んでます。