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45話 旅へ








狭い路地から出た2人は人目を引くために走り出した。見つけた帝国民が追いかけてくる。

「合図したら俺の肩に触れてください!」

「了解!」

わざとスピードを落とした2人は帝国民に捕まるギリギリまで迫られていた。

「……………今!」

(つばさ)の合図で肩に触れた瞬間、2人と1匹は瞬間移動で神之橋(かみのはし)の近くの建物まで移動した。神之橋邸内部と半径25mは厳重警戒されており、瞬間移動で移動すると聖力測定器が反応し危険対象とみなされ反撃に合うので翼は近くまでしか瞬間移動できなかった。

「ここから裏門まで25mあります…………例え知っている人に何を言われても挫けないでください」

「わかった」

走り出そうとした2人に誰か瓦礫声をかけてきた。

「ねぇ星弥(せいや)

声のする方を振り向くとそこには(つき)冬馬(とうま)が立っていた。

「私たちと逃げよ、隠宮(かくみや)は嘘ついてる」

「そうだよ、俺たちと逃げよ」

星弥は翼を疑う目で見ていた。

「星弥さん!」

「こっちに来て、一緒に逃げよ」

「ダメです!」

翼を信じられないのか、星弥は立ち止まってしまった。

「星弥さん!」

「にゃむ!」

星弥の肩から飛んだセレサが月の腕を思いっきり噛んだ。

「このっ! 何すんのよ! クソ猫が!」

「星弥! 早く逃げるにゃの!」

「………あっ……」

「こっちです!」

翼が星弥の腕を引っ張り走っていく。

「こら待て! お前みたいなクソが私の役に立てるのに! さっさと死ねよ!」

「殺してやる!」

月と冬馬、帝国民が2人と1匹を追いかけてくる。裏門まで残り5m。

……くそっ!……鍵が閉まっていることを想定し、生体認証まで10秒はかかる。これでは星弥さんが捕まる。

無我夢中で走っていると突然裏門が開いた。

「早く来い!」

開けたのは火卯我(ひゅうが)だった。翼は星弥を投げ入れ、慌てて入り。セレサは扉の僅かな隙間から入った。扉は閉まりなんとか間に合ったようだ。

「…………はぁ……はぁ…………翼…………疑ってごめん……」

「構いません……疑いたくなるのも当たり前です……………それよりなぜお前が……」

「話は後だ……遊冥(ゆうめい)さんが呼んでる」

火卯我の後に続き、遊冥が待つ部屋へと向かった。道中星弥が感じたのはすれ違う人誰ひとりが殺意を向けていないことだ。

「失礼します。連れてきました」

部屋に入ると椅子に腰掛ける遊冥とその隣で控えている絢斗(あやと)がいた。

「ご苦労。2人ともそこに座って」

星弥と翼が腰掛けると火卯我は2人の後ろに護衛として立っていた。

「星弥くん、無事で良かったよ。神之橋邸には結界が張られているのは知っているかい?」

「……はい」

「その結界に何が跳ね返った形跡が見つかって調べたんだ。跳ね返ったのは呪いで、その呪いは君が帝国民から犯罪者として扱われ、殺されるというタチの悪い呪いだった」

「……犯罪者…」

落ち込む星弥を心配そうにセレサと翼が見つめる。

「私たちは結界の中にいたため呪いは効かなかった。しかし帝国民ほとんどが君を犯罪者と思い、殺しにくる」

「解く方法はないんですか」

「あるよ」

「……そうですか………やっぱり…………え?! あるんですか?!」

「もちろん。呪いをかけるなら解く方法ももちろんある。ただ簡単じゃない」

引き出しを開け遊冥が取り出したのは地図だった。

「ここ、サウス大陸の最南端に聖鏡(せいきょう)が存在する。この鏡は認められたものだけが入れる聖界(せいかい)、いわゆる聖霊たちの住処に入ることができる。ここなら呪いは解ける」

「じゃあ今からそこに行けば!」

「サウス大陸はイースト大陸から渡ることはできない」

「……なんで……」

「今サウスとイーストの境界線にある国が紛争中だ。だからサウス大陸に行きたいなら遠回りしないといけない。それに、サウス大陸はほとんどの大陸と友好関係を結んでいない。船で入ることも不可能だ。ノース大陸、ウエスト大陸、サウス大陸。この順番に回らないといけない。最速でも2年はかかるだろう」

「……2年………」

「それでも行くかい?」

「………………………行きます」

「……わかった、君は私の恩人だ。できる限り援助はしよう。ただし条件がある。ノース大陸に行く前にこの島国アニマリーア王国でやって欲しいことがある」

「やって欲しいことですか?」

「あぁ……どうやらこの国で|聖力増幅(やく)《せいりょくぞうふく》を作っていたことがわかった……大元を断ち切って欲しい」

「……わかりました……」

「ありがとう…………………まだ夜中の3時だ。部屋を用意しよう。お風呂に入ってゆっくり寝なさい。細かいことは明日話そう」

部屋に連れられ冷えた体を温めた星弥は布団に入り、すぐ眠ってしまった。











翌朝。セレサの肉球パンチよって起こされた星弥は用意されていた服に着替え、隣の翼の部屋へと向かった。

「おはよー」

「おはようございます。体調は大丈夫ですか?」

「大丈夫」

「良かったです、遊冥さんがご飯食べながら話すということなので向かいましょう」

部屋を出ると、絢斗が待っていた。

「おはようございます。こちらへ」

絢斗について行くとそこは大きな庭園だった。真ん中に机と椅子があり、朝食が用意されていた。

「どうぞ」

既に遊冥は待っており、2人が席に着くといただきますと挨拶をしご飯を食べ始めた。それを見て2人も食べ始めた。

「食べながらで悪いが早速本題だ。今日の夜ここを出てアニマリーア王国行きの船に乗ってもらう。そこでだ星弥くん君が行くのは確定している。翼くん君はどうする?」

「もちろん行きます」

即答だった。

「やっぱりそうだよね。そう言うと思っていた」

「遊冥様」

突然話に入ってきたのは後ろで控えていた絢斗だった。

「私もお2人にお供させてください」

「!」

驚きのあまりむせた星弥の背中を翼が優しく撫でる。

「まだお2人は子供です。私が保護者として共について行きます」

「……………そうか…………わかった………頼むよ」

「おまかせください」

「星弥くん。その服ではラフすぎるから着替えを用意させよう。これから旅に出るのだからね」








用意された服は寒い気候にあわせた膝まであるロングコートだった。翼のロングコートと違うのはフードが付いていることだ。現在夜7時、残り1時間でこの帝国にさよならだ。心残りがあるなら(よう)だろうか。

確か今週は神之橋邸にいるはず………

星弥は陽の部屋へと向かった。











「ぎゃはは! この番組実に愉快だ」

陽の部屋でお笑い番組を見ながらギャランが笑っていた。見た目が龍であっても中身はじじぃだった。そのお笑い番組を陽も一緒に見ていた。すると障子に影ができた。

「……………陽……聞こえるか…」

「……星弥くん……? どうしたの? なんでここに……今開けるね」

「待て! 開けなくていい」

障子を開けようとした陽の手が止まった。

「今会ったら……きっと…………………なんでもない……………俺はしばらくこの帝国を出ていくことになった」

「なんで!」

「帝国民に呪いがかかった……俺はそれを解きにいく。だから最低でも2年は戻らない……」

「………そんな……」

「だから………さよならを言いに来た………」

「…………………行かないで…」

障子越しに陽が泣く声が聞こえた。星弥は拳を握りしめた。

「行かないでよ……………………………………………京極(きょうごく)星弥さん……あなたが好きです。前から……これからもずっと……だから………いなくならないで………」

「………………っ……………ありがとう……俺も好きだよ………………でも………ごめん………」

星弥が去っていく足音が聞こえた。陽は座り込み泣いていた。ギャランが陽の肩に乗り懐かしむ目をしていた。

「私……………私も……彼を守れるぐらい強くなりたい……」

陽が吐いたその言葉にギャランが覚悟を決めた。

「陽………お主に話さなければならないことがある……」







その夜、星弥、翼、絢斗、セレサはアニマリーア王国に向けて旅立った。この旅は星弥をきっと強くする。それだけではない、新たな仲間が彼を待っている。


最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。


星弥は必死の逃走のため何も気づいていないですが、星弥の新たな力の触れると独力と聖力をキャンセルさせる力が翼に効いてないんですよね。あれ? なんで? と思う方もいると思いますが、しっかりいつか説明します。本編に関わる話なのでここまでしか言えません。星弥と翼にしかない繋がりが…………………ちょっとしたヒントです。

これより突入する章からセイクリッド帝国の住民はほとんどでてきません。陽とギャランは少しでます。月とか冬馬とか出ません!

大陸の話をしている際は次のエピソードの世界地図をみるとわかりやすいです。

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