44話 四面楚歌
もしあなたが国中の人間に追われることになったら、どうしますか?
▶逃げる
捕まる
1月1日、正月。
「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとう」
星弥、陽、翼、月、冬馬は神社に集まる予定だった。しかし、星弥と陽以外がまだ来ていない。
「みんな遅いね……」
陽と喋りつつ待っていると月と冬馬がやってきた。
「お待たせー、あけおめ」
「あけおめ」
「「あけましておめでとう」」
「月、珍しく遅かったな」
「葵を引っ張ってきたのよ。こいつ家行ったらまだ布団の中にいたのよ! 準備はできてたから引っ張ってきた!」
「寒くて二度寝してました」
月が文句を言っている中、翼が到着した。
「お待たせしましたー」
なぜ翼が来たことがわかったかと言うと翼は人目があるとこに行くと毎回きゃあきゃあ騒がれるのでだいたいわかるからだ。
「じゃ改めて」
「「「「「あけましておめでとう」」」」」
階段をのぼり5人は初詣を済ませた。
「じゃあ引きますか! おみくじ!」
おみくじを引いた5人は一斉におみくじを開いた。
「やった! 大吉!」
「俺、吉だ」
月は大吉で冬馬は吉といい結果だった。
「陽は?」
月が覗き込んだ陽のおみくじは末吉だった。
「そこまで悪くないじゃない……」
「うん……」
「どれどれ……勉学は努力するべしだって。恋愛は…………離れるってなに?」
「さぁ……」
陽のおみくじの結果に悩んでるいる隣で星弥が震えていた。
「……………大凶……」
「大凶って………………あの大凶?」
「うん……」
ただならぬ気まずい空気が流れた。
「大凶ってことはこれ以上悪いことは起こらないってことだよ!」
「そうそう! 陽ちゃんの言う通り! 元気出しなよ!」
何を言っても星弥は落ち込んだままだった。ふらふらした足取りで帰ってしまった。
「………めっちゃ落ち込んでる」
「……………仕方ない……」
家に着いた星弥はベットに思いっきり飛び込んだ。ベットにいたセレサが数cmほど飛んだ。
「うにゃ?! 主! どうしたにゃの?!」
「…………おみくじ……………大凶だった………」
「………にゃはは!」
「………………笑うなよー……これでも落ち込んでるんだぞ………」
「大凶って面白すぎにゃの! 主、今年運悪すぎにゃの!」
「今年じゃなくて去年もだけど………」
「大丈夫にゃの! おみくじにゃんてきにしにゃくても」
「……そう言われると余計気になるんだよ…………もう……今日はゲームしかしない………」
その後気をそらすためひたすらゲームをし、星弥はベットに横になった。
夜中の2時。階段を上る足音が聞こえた。星弥は気づいてないようだが、セレサは足音で目を覚ましていた。
誰か………こっちに来てるにゃの……
セレサは寝たふりを続けた。扉が開き入ってきたのは星弥の妹の奈々だった。安心しきったその時、奈々は隠していた包丁を星弥の心臓目掛けて刺そうとしてきた。
「! 主避けるにゃの!」
セレサの声で起きた星弥が壁際に転がり、刺さるのをなんとか回避した。
「……はぁ………はぁ…………奈々……?……………何してるんだ……」
「兄ちゃんなんか………死ねばいいんだ!」
包丁を振り回す妹に危機を覚え、星弥はセレサを連れ1階へとパジャマのまま降りた。
「なんだよ! あれ!」
「わからにゃいの! とにかく父さんと母さんに……………」
言いかけた途中1階で待っていたのは同じく包丁を持つ母と斧を持つ父だった。
「死ね! 死ね! 消えろ!」
「お前なんか! 産まなければ!」
襲ってくる両親から逃げ、星弥は外へ出た。抱き抱えるセレサに1粒の水滴が落ちた。
「…………主……にゃいてるの?」
「……雨だよ」
外は激しい雨が降っていた。雨の中星弥は交番まで走っていた。交番に駆け込んだ星弥は助けを求めた。
「あの! 家族が突然暴れて!」
「……お前か………………死ね!」
助けを求めに言った警察すら警棒を振り回し、星弥を殺そうとしてきた。その後も家から包丁などを持ってきた人間が星弥を殺そうと追いかけてきた。
「なんで! …………なんで! なんでだよ!」
必死に走る脳内で星弥はわかっていた。この帝国で今自分が四面楚歌な状態にあることを。味方はセレサただ1人ということも。
「……主…………」
「……はぁ……………はぁ…………はぁ」
もう走れない…………これで死……
転びかけた時狭い路地から手が伸びてきた。引っ張られ星弥はタオルをかけられた。追っては一時的にまけたようだ。
「無事ですか?」
「……………………翼………?」
タートルネックにロングコートを着て、剣を腰に差す翼は周りの人とは様子が違った。星弥に傘を差し出し心配そうに様子を見ていた。
「………なんで………」
「………わかりますよ、あなたが危険なことぐらい………無事でよかったです」
「…………殺さないのか…………?」
「………殺しませんよ………星弥さんと俺は忠誠の誓いをしたじゃないですか。呪いなんて効きませんよ」
「呪い?」
「はい。これは呪いのせいです。呪いは悪魔が使う魔術が永遠に効果を持ち続けることを言います。この呪いは恐らく………京極星弥が街中の人間に殺される呪い………という感じですかね……」
「…………なんだよ………それ…」
タオルを頭から被った星弥は酷く疲れ、焦燥していた。
「……母さんに………産まなければ良かったって………言われた……みんなに死ねって………殺せって言われて………もうこのまま………殺された方が楽かな?……………なぁ……翼………殺して………くれ……」
激しく地面に叩きつける雨。長い沈黙だった。セレサは星弥の膝上に乗り心配そうに見ていた。
「無理……です……俺は……………あなたを助けるために来ました」
「もう…………助からない……俺は……馬鹿だ」
「…………なんで諦めるんですか………俺が尊敬したあなたはこんなことで諦める人じゃありません! 大切な人をものを守るために自らが犠牲になることを躊躇しない、そんなあなたです! 俺の大好きなあなたをあなたが否定しないで下さい」
翼が星弥の手を握り包み込んだ。
「どんなに困難な状況でも俺はずっとあなたの味方です。この呪いを解く方法を一緒に探しましょう」
この言葉で星弥は泣いていた。目からは涙が止まらず、鼻水まで垂れていた。
「……………味方で……………うっ………いてくれて…………ありがとう!」
翼に思いっきり抱きついた星弥を翼は優しく抱きしめた。
「はい、俺はあなたの味方です。世界中が敵になっても、例え2人きりになっても……ずっと2人で生きていきましょう」
「泣きやみましたか?」
「あぁ……」
「じゃあ神之橋邸まで行きましょう。そこに行けばこの呪いのヒントがわかるはずです。………………ただ一つだけ約束があります」
「なんだよ?」
「これから先どんなことを言われてもそれは本心じゃありません。絶対に無視してください」
翼が星弥の前に小指をだした。
「約束してください」
「わかった」
「じゃあ行きましょう」
誰か頼れる人がいる、それがこんなにも幸せだなんて思わなかった。
▶新たな選択肢を探す
最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。
やっと! 書きたくて書きたくて楽しみだったところに入りました。これからのネタバレをするならとにかくかわいそうです。
この話をどうしても44話にしたくて、できて最高。




