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4話 不思議?な転校生

セレサを召喚してから数週間、立て続けに起こっていた事件も一段落し俺は普通の日常を送っていた。

と、一安心していたのもつかの間。

「実はこのクラスに転校生が来た」

ん? なーんかアニメあるあるな展開起こっってるんですけど?

そんなふうに考えていた俺の周りではやったー! 転校生だ! おぉ! など盛り上がりがすごい。

「来たんだが、転校生は転校初日に遅刻だ!」

「え?」

「嘘」

「まじか」

転校初日に遅刻するとか逆にすごい。みんな驚きすぎて本音出ちゃってるよ。

「転校生は到着次第紹介する、いつ来るのかは知らん!」

これ一番驚いてるの先生だな。

「ということでHRするぞー」

初日に遅刻してくる転校生とは一体どんな子だろうか。俺は少しわくわくしていた。






「星弥! 陽! 一緒に弁当食べよ!」

冬馬に声をかけられ一緒に昼食をとることにした。

「転校生来ないな、寝坊かな」

「転校初日に寝坊はないと思うけどなぁ」

「じゃあ家の事情?」

「転校初日に遅刻とか不思議な転校生だな」

冬馬がそう言うと。俺と陽は頷いた。それにしてもいつ来るのだろうか、あと二限分で学校は終わるのに。






転校生が来る宣言をしてから5時間、来る気配が全くしない。もう五限目になった、本当に来るのか?

「おはようございまーす」

フードを着たスカイグレーの髪をウルフカットのようにし、アホ毛を揺らしたイケメンな少年が扉を開けて入ってきた。整った顔にクラス中がざわつく。

「おはようございまーすじゃない、遅すぎだ!」

「えー? そうでしたか? あ! 聞いてください

よー、朝登校してたら公園で猫が寝てて気持ちよさそうだなーって思ってー、気づいたら一緒に寝てましたー」

すごい不思議な子が来た。しかも担任の担当授業の時来るとかめっちゃ運いい。

「次からは遅刻するなよ、とりあえず自己紹介」

「はーい、隠宮翼(かくみやつばさ)でーす、一年間お願いしまーす」

女子たちがほんのり顔を赤らめて翼を見つめる。

「じゃあ席は端の一番後ろだ」

「角の席なんて寝放題じゃないですかー、ありがとうこざいまーす」

「思ってることをそのまま口にするな」

これは先生かなり大変かもしれない。多分明日も遅刻するんだろうな、授業中も寝てるだろう。

「じゃあ授業再開するぞ」

気のせいだろうか転校生くんの席の方からものすごく視線を感じる。誰だこんな普通な俺を見ているの。

そう思い振り返ってみると転校生の翼がこちらを凝視している。

嘘、なんでこっち見てるの! 今目合ったよね?! それなのにずっと見てくるんだけど!

まさか! セレサのことバレたのか、この手袋つけてるから分からないはずなんだけど、そもそもこの手袋を不審に思って見てくるのか?!

分からん、なんで見てくるんだよー! まじで不思議くんなのか?!結局授業が終わるまで観察された。







「なぁ星弥、なんかずっと見られてない?」

「やっぱり見られてるよな、俺なんか目立つことしたか? 全く心当たりがないんだよな」

俺達が話してる間も転校生くんは猫が獲物を狙うかのようにずっと俺を見てくる。

「知り合いとかじゃないの?」

「全く心当たりがない……ここまでくると逆に怖くなってきた」

なにか喧嘩を売るようなことしたのだろうか。やっぱりこの手袋ぐらいしか心当たりがない。

「あのー、京極さんちょっといいですかー?」

「うわっ! あ、何? 転校生くん」

話してたら目の前に本人来るとか怖すぎなんですけど?!てかなんで俺の名前知ってるんだ。

「転校生くんじゃなくて翼ですよー」

「あぁ、そっか、じゃあ俺も星弥でいいよ」

「じゃあ星弥さん、単刀直入に言いますね、俺と勝負してください」

翼がそう言った瞬間クラスがざわついた。

は? え? なんで俺? どういうことだ?

「えーっと……翼くんなんで俺? それに俺より強い人このクラスにはたくさんいるよ?」

「俺は星弥さんと勝負というか戦いたいんです、それにこのクラスの中で一番強いのはあなたです。」

クラスの人達が立ち上がって言う。

「何言ってるだ! このクラスの中で一番強いのは月さんだ!」

「そうよ! 転校生だから知らないかもしれないけどこの学校で一番聖力が上なのは月よ!

京極くんは普通よ!」

ほら普通って言われてるよ。やっぱりなんかの間違いなんじゃ……

「ちなみに月さんっていう人は聖力何%なんですかー?」

友達と話しをしていたのを止め月は翼の方を向いて言った。

「63%だけど……」

「そうですか、じゃあ俺より下ですねー」

クラス中が驚いた。もちろん俺も含まれている。月より上?! 月より上の人を目の前で見るのは初めてだ。

「俺81%なんですー、つまり禰宜(ねぎ)っていう称号になりますねー」

嘘だろ?! 禰宜なんてめちゃくちゃ強いじゃないか?! 俺絶対負ける……

「でも、京極は月さんより下だぞ!なんでそいつと戦うんだ!」

「なんでって……この人聖力は低そうだけど強そうだから」

そんなにっこりして言わないでくれーー、低いのに強そうって何?! 声が聞こえたのか隣のクラスの人達も覗きに来てるし、完全に注目されてる。


「なんだ、お前ら勝負するのか?」

先生!! ナイスタイミング! どうか翼くんを止めてください!

「それなら今日の放課後運動場でやれ」

「はーい」

ちょっと! 先生?! 何言ってんの?!

そこは教師として止めるべきだろ! それにこんな公立で勝負なんてさせないでくれよ!

この世界の学校ではちょっと特殊なルールがある。学校だけでなく社会にもあるが。それは勝負することができるということだ。どういうことかと言うと例えばあいつが上にいるの気に入らないとかどっちが上かはっきりさせたいときなど白黒つけたい時に挑んで勝負することができる。まぁただ単に勝負したいという時もある……勝った方は負けた方に命令することができる。よく私立校ではトップを決めるため勝負が起こるって聞いたことがある。

「じゃあ星弥さん放課後勝負しましょうねー、逃げないでくださいねー」

「あ……はい……」

俺は断れるはずもなく勝負を受け入れてしまった。

「星弥くん、大丈夫?」

「全然大丈夫じゃない……勝てる気がしない……」

「まぁ頑張れよ、勝ったらアイス奢ってやるよ」

「うん! 頑張って! 応援してるからね」

「俺が死んだら骨は拾ってくれ……」

60%の差があって勝てるなんて思ってすらいない。ただ自分の安全を願うのみだ。





「セレサ! ちょっと来てくれ!」

勝負開始一時間前、俺はセレサに相談することにした。ちなみにここはトイレの個室である。バレてしまってはやばいからだ。

「どうかしたにゃの?」

「やばいんだ! 勝負挑まれちゃって、どどどうすれば!」

「落ち着きにゃさい、にゃにがどうにゃってるのか説明しにゃさい」

俺は今日来た転校生の話、その転校生に勝負を挑まれたことを話した。

「ふーん、そういうことにゃの、主は聖力低いから剣出して戦った方が強いにゃの、それとこのセレサ様が力を貸してあげるにゃの」

「流石セレサ! やっぱり相談してよかった」

「もっと褒めてもいいにゃの! 」

「いい方法があるにゃの、セレサの力の一部を貸してあげるにゃの、そうすれば21%以上の力を出すことができるにゃの、あと攻撃が来たらセレサが教えてあげるにゃの、でも60%の差を埋めることはできにゃいにゃの、成長するか運にかけるにゃの」

何テヘッ! ってやってるんだよ。運にかけるってもうダメじゃん、とほほ……。







「星弥さん来たんですねー、遅かったので逃げたかと思いましたよー」

「正直俺には勝負する理由がないから逃げようかと思ったよ、けどなんで俺に勝負仕掛けてきたのか本当の理由を聞いてないから来た」

勝負するのをどこで聞いたのか校舎の窓から多くの人が覗いている。

「それじゃあ始めようか」

先程までの不思議な雰囲気は消えクナイを両手に持ち戦闘態勢に入る。

俺も剣を創り出し炎を纏わせる。

すると翼が消えた。

どこに行った?! てかなんで消えた?!

(主! 後ろにゃの!)

後ろを向くと勢いよくクナイがこちらに向かってくる。

俺は慌てて剣で弾く。

危ねぇ、セレサが教えてくれなかったら死んでたぞ。こいつ俺を殺す気だ。

「へぇー、なかなかやりますねー。大抵の人は俺が何処にいるかも分からず負けるのに」

ニヤニヤしてもうひとつのクナイも投げる。

それも剣で弾く。

「やっぱり星弥さん、普通じゃないですねー。普通だったらビビってるのに、なんで全く驚いてないんですかー?」

そりゃー、一回戦って死にかけて回復して、龍が夢に出てきて、猫又と契約すればね。戦いぐらいで驚かなくなったよ。まぁビビってはいるけど。

「こっちにも色々事情てのがあるんだよ」

「そうですかー、楽しめそうですねー」

また消えた、この消えるのはなんだ、瞬間移動か。禰宜の称号持つならそれぐらいの力持ってるよな。まだ本人しか移動してないってことは本気出してねぇな、クナイが瞬間移動してきたらガチでやばいからな。




シュッ





え?

瞬間移動のことを考えていた矢先クナイが瞬間移動し俺の頬を掠め、後ろの木に刺さる。

「おい! 俺のこと本気で殺す気か!」

「別に殺す気はないですよー、ただ本気を出さない勝負なんてつまらないですからー」

そう言うと翼はクナイを両手に持ち、星弥に向かってくる。剣とクナイで交える。

「楽しいですねー! 星弥さん!」

こいつさっきからずっと笑ってる。勝負を、戦いを楽しんでる!

(主! 危ないにゃの!)

くそっ! セレサが教えてくれてなんとか避けれてる。このままだと反撃すらできず、負ける。





校舎の窓から冬馬と陽が星弥を見ている。

「星弥、かなり押されてるな」

「うん……でも、星弥くんなら大丈夫だよ! きっと勝つよ!」

「そうだな、俺達が信じてやらないと」

星弥くんならきっと僕を救けてくれた時のように勝つよ。星弥くんは自分の力を信じていない、力に溺れて成長するのを止めてない。知ってるんだよ、僕を救けてくれたあの日から剣の扱い方の練習してること、だって手に傷がついてるんだからあの傷は剣じゃないとつかない。やっぱり星弥くんはすごいよ。







「お前最初から本気出してないだろ」

「あれー、気づいてたんですかー?」

「そりゃ気づくわ瞬間移動の力持ってるならクナイを移動させれば一発で俺を殺してる、なんで本気出さないんだ」

戦いを止めて翼は真剣に話し始めた。

「この力は代々受け継がれてきた力なんです、この力を使って戦うには昔から定められてきたルールに従わないといけません。勝負する時は必ず手加減しないといけません。戦いの時は本気を出してもいいんです。これが俺が本気を出せない理由です。」

「もう一つ聞いてもいいか?」

「いいですよー」

「なんで俺に勝負を挑んだ」

「一つはさっき言った通りあなたが強そうだから、もう一つは……俺勝負したり戦うの好きなんですよー」

は? 勝負が好き? 戦うのが好き? こいつ頭のネジ外れてるんじゃないか。

「勝負してると自分の力を知れるし、相手のことも知れる、自己紹介とかよりその人のこと分かるんです、だから星弥さん俺はあなたのことが知りたいんです。なんで聖力は低いのにそんなに強いオーラを持ってるんですかー?」

強いオーラ? 俺にはさっぱりわからんが、どうやら俺は強いオーラ? とやらを持ってるらしい、あれかセレサの力のことか?

「俺は強いオーラなんて持ってないよ、聖力も普通で、全部普通だから」

「そうやって俺強くないアピールして今までの勝負から逃れてきたんですかー? 流石ですねー

けど、そんなこと言っても俺からは逃げられませんよー」

いや別に逃げるつもりはないけど……。

翼がクナイを投げこちらに向かってくる。

俺は慌てて剣を構え、戦う。

このままだと負ける! 圧倒的に押されているこの状況を挽回するチャンスはないのか!

俺もクナイ創るか、いやクナイなんて使ったことないから無理だ。盾じゃ意味ないし、俺が初めてでも使いこなせる武器を創らないと。相手は遠距離と近距離両方戦える、俺は近距離しかできない……






それなら俺も遠距離攻撃すればいいんじゃね?! 遠距離で使えそうな武器……あ! 銃だ! よし!そうと決まれば!

俺は銃を創り出した。そして翼に発砲した。

「おっと、やりますねー」

銃弾が頬に掠ったようで血が垂れる。

正直使ったことないから掠ったのは運がいい、下手したら殺してたかもしれない。

翼がボソボソ話す。

「やっぱりあなたはすごい、力に溺れず鍛錬を怠らない……あなたならきっと……」

翼がこちらを向き真剣に話す。

「星弥さんあなたに見込んでお願いがあります。俺に勝負で傷をつけたのはあなたが初めてです。どうか僕の力になってくれませんか。」

「え? いきなり言われても……」

「俺がピンチの時に力を貸してください、逆にあなたがピンチの時にはあなたの片腕となり戦うことを約束しましょう、我が主君よ」

翼は跪きお願いしてきた。まるで騎士が忠誠を誓うかのように。

「わかった、わかったから!顔を上げてあと、そのポーズやめてくれ! あと主君やめて!」

うわぁー、めっちゃニコニコしてる、なんか眩しい。

「約束ですよー、この勝負俺の負けでいいです、何か一つ要求を呑みましょう」

「じゃあさっき約束した上下関係みたいなのじゃなくて普通に仲良くしよ、そうすれば何時でも駆けつけられるだろ!」

「はーい!」

こうして不思議?な転校生の翼と友達になった。

ん? なんか俺のまわり普通じゃないやつ多くね?








――――――――――――――――――――――


「やべぇよ、あいつ勝負してるぞ」

「まじ怖いわ、早く帰って正解だったな」

「またボコボコにされるかと思ったわ」

以前星弥によって倒されたE組の問題児達が話している。

「これからは大人しく過ごそうぜ」

「そうだな死んだら困るしな」

「そうだな、な! 安西(あんざい)!」

「あれ? 安西は?」

「あいつどこ行った?」

「安西くんならここにいますよ」

すると赤銅色(しゃくどういろ)の髪をハーフアップに結んだ少年が安西の首を投げる。

安西は首を綺麗に斬られており、その投げてきた人物が持つ剣は安西の血で染まっていた。

「「うわぁぁぁぁぁぁ!」」

「「あああああああああ!!!!」」

恐怖し声を上げて一目散にその場から逃げる。しかし、赤銅色の髪の男は逃げ遅れた人から順番に殺していく。


(くそ! なんで殺されないといけない!)

問題児の中で一番強い池田(いけだ)は自問した。

(このままここで隠れてやり過ごすか。)

「最後の一人みーつけたー」

後ろを振り返ると先程の少年が仲間の首を持ってこちらをにこにこと見下ろしている。

「ひぃ! なんで俺達を殺す! この人殺しが!」

「人殺し? 何を言っているか分からんな、私は罪を犯した君達に斬首の刑を実行した、それだけだ」

「俺達は何も罪なんか犯してない!」

「犯してないだと?」

突如少年が怒声になった。池田は冷や汗が止まらず、ずっと怯えている。

「お前らは俺の大事な人を、この世で最も尊いお方をいじめたのだ! その身死を持って償え!」

「嫌だ! 死にたくな……」

首が斬られ、身体が地面に倒れる。

その死体をまるでゴミを見るのかのような冷たい瞳で見下ろす。








「迎えに行くね」

少年はニヤリと笑った。

最後まで読んでくださりありがとうこざいます。

評価、感想お待ちしてます。


勝負とは

どちらが上かはっきりさせる、または気に入らないやつを自分より下に落とすことができる。この国の昔からある伝統的なもの。勝った方は負けた方になんでも1つ命令できる。余程自信のある者しか実行しない。年に1回も起こらない謎の伝統。大体は負けるのが怖くてやらない。


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