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3話 契約

続きです。

「え! 陽一年の時学校来てなかったの!?」

「うん……いじめに耐えられなくて休んだり保健室登校してた……でも二年からは行ってみようと思って来たんだ、勇気出して行ってよかった、星弥くんに会えたから」

「ちょ!陽!やめて恥ずかしい……」

陽に思ったままのことを言われ恥ずかしくなった、俺には君に出会えて嬉しいと聞こえた。俺との出会いを陽がかなり喜んでるのを聞いて嬉しさと恥ずかしさでまた顔が熱くなった。

「そういえば陽って何組?」

「僕C組だよ」

「まじ?! 同じクラスだ!」

「え! まさか同じクラスだなんて、嬉しい」

陽は微笑んだ。



「今日はこのまま泊まって、明日一緒に登校しよ」

「お言葉に甘えてそうさせてもらうよ、おやすみ」

「うん、おやすみ」

陽が自分の部屋に戻って行った。

こうして俺が踏み出した普通脱却の一日は終了した。






『何ここ』

俺は気づいたら雲の上にいた。なぜここが雲の上かわかったのか、それは下見たら建物が見えるからだ。

『まじ何これ、夢?』

『あぁこれは夢であるが夢ではない』

『うわぁぁぁぁぁ!!!』

俺の目の前に白色で金色の角を持った体長20メートルの龍が現れた。

『なに?! なに?!』

『安心しろお前に危害を加えるわけではない、お前に助言をしに来たのだ』

『助言? いきなりそんなこと言われても……』

『まぁいきなりで信用できないのもわかるがとりあえず聞け、お前の通う学校の図書館には隠し部屋がある。そこの扉を開け()()()()という本を探し聖霊(せいれい)を召喚しろ』

『いや、召喚しろって言われても俺普通だから期待してるような聖霊召喚できないと思うけど』

『何を言っている、そんなものやってみなければ分からんぞ』

『いや……でも……』

『これはお前がさらに強くなるための助言だ、それに…………………やってくれないと困るぅぅぅぅ!!』

え? この龍さっきの真面目なとこどこ行った?! しかも駄々こねて涙目になってる。

『お願い! お願い! 星弥くんにしか頼めないの!』

こっちにキラキラした目ぶつけてくるな!きゅるるんって効果音聞こえるわ。

『あーーー!! もう! わかった! やればいいんだろ!』

『お! 流石星弥くん! 頼りになるー! 安心しろ召喚魔法の失敗する確率は低い何かしら召喚はできる』

変わりみ早。

『あの、なんで俺に頼むんですか? もっと俺よりすごい人周りにいるじゃないですか』

『お前を選んだ理由は後々説明する、あと柴野陽を共に連れて行け、このことは柴野陽には話してよいが他の者には絶対に喋るな、絶対にだ! では健闘を祈る』

『あ! ちょ!』




「変な夢見た……」

なんか助言されたんだけど、まぁとりあえず従ってみますか悪そうな感じはしないし、それにあの龍なんか見たことあるんだよな。

陽が戸を開ける。

「失礼します、おはよう星弥くん、朝ご飯できてるよ」

「あぁ今行く、ねぇ陽今日の帰りさ図書館行くんだけど一緒に来ない?」

「いいよ、行こっか僕もちょうど行こうと思ってたから」

「ありがとう! あとさ後から話したいことあるんだ」

「? わかった」

俺たちは話し終わったあと急いで食卓へ向かった。




「お世話になりました、ありがとうこざいました」

「また来てちょうだい、こんなに喜んでる陽見るの久しぶりなの、あなたと会ってからずっと嬉しそうなのよ」

「ちょっと! お母さん!」

「ふふふ、行ってらっしゃい」

陽のお母さん容赦ない、本音全部言われて陽顔めっちゃ赤くなってる。

「もうお母さん全部言わなくてもいいのに……ところで後からするって言ってた話ってなに?」

「あのさ、今日の夢に変な龍が出てきて助言したって言ったら信じる?」

「変な龍? うーん……どんなことを言ってきたの?」

「学校の図書館に行って隠し部屋探せって言ってきた」

「じゃあ探してみよ! なんか漫画みたいな話でわくわくする!」

「まじ助かる」

こうして俺たちは放課後図書館に行くことにした。




「おはっす! あ! 君、保健室の!」

そう言うと冬馬は陽を指さした。陽は突然のことで驚いている。

「なんだ知ってるのかよ、紹介しようと思ったのに」

「あの…初めまして柴野陽です、僕のこと知ってるんですね」

「知ってるよ、俺が体育で怪我した時消毒してくれたの君だから、あの時はありがとう」

「いや、そんな、大したことしてないから……」

陽は恥ずかしいのか俺の後ろに隠れてしまった。

「柴野陽って言うんだ、俺葵冬馬よろしくな」

「うん……よろしく……」

「それにしても二人どこで知り合ったんだ?」

あ、やべ、昨日の喧嘩で知り合いました。とか絶対言えない。

「昨日廊下で俺が落としたプリントを陽が拾ってくれて……」

「そっか、話変わるけど昨日校舎裏で殴り合いあったの知ってる?」

冬馬!!! なんでそんなピンポイントなこと二回も聞いてくるんだ!

「そそそんなことあったんだ!知ってる陽?」

「へへへへぇ! ぼぼ僕も知らなかったなぁ」

もしかして俺たちってことバレた?! そう思い陽と俺は焦っていた。

「なんか音がした後先生達が駆けつけたらE組の問題児達がボロボロで倒れてたらしい、問題児達に事情聞いても怖かった! とかもう二度としません! って反省してて何があったかは分からないらしい」

よかったーー!! 俺たちが関わってたこと言ってないみたいだ。一安心だ。

「HR始めるぞーー」

お! 担任が来た。早く座らねば。

「多分知ってると思うが昨日殴り合いがあったそうだ。知ってるやつは後から教えてくれ」

全校中にこの話広がってない? 思ってたよりやばくね? まぁ俺が関わってることは陽しか知らないし大丈夫だろう。

この時安心したのがいけなかったのだろうか後々あんなことが起こるだなんで俺はこの時考えてすらいなかった。






「隠し部屋なんてなくね?」

探し始めて30分部屋がある雰囲気すら感じない。あの龍俺で遊ぶためにこんなこと言ってきたな。

「まだ30分しか経ってないよ、それに隠し部屋なんだからすぐ見つけたら意味ないよ」

「確かにそうだけど、本当にあるのか?」

本棚の隙間や本の間など細かく見ているがどこにも開く雰囲気すら感じない。運が悪いことにこの学校の図書館は無駄に広い。ひとつひとつ探していては時間が過ぎていくだけだ。

「ん? 何この真っ白な本」

こんなのここにあったっけ? この神話のコーナーは去年読み尽くしたからこんな本あったら覚えてるはずなんだけど……。



ゴゴゴゴ

目の前の本棚が動き扉が現れた。

「陽! 見つけたよ! あったよ隠し部屋!」

「ほんと! どうやって見つけたの?」

「この本取ったら出てきた」

「でもこの扉鍵がいるよ、持ってる?」

よく見ると扉には南京錠がついている。でも俺鍵なんか持ってないし……あ、もしかしてこの本に挟まってたりして……やっぱりあった。俺は鍵を取り出し扉を開けた。自分の通っている学校の図書館にこんな部屋が隠れているだなんて思いもしなかった。

「めっちゃ汚い」

俺たちでも知らなかったこの部屋が掃除されていないということはわかっていたがここまで汚いとは。俺たちはあまりの埃の多さに咳き込んだ。

「隠し部屋は見つけたけど次はどうするの?」

「召喚魔法っていう本を見つけろって言われた」

「じゃあ探そっか」

この隠し部屋もかなり広い見つけるのは大変そうだ。

「星弥くんあったよ!」

「はや!」

大変だな、とか思ってたらすぐ見つかることある? さっきの隠し部屋探しとは打って変わってすぐ見つかったな。

「どこにあったの?」

「すごく分かりやすかったよ、こっち来て」

「見て」

あの龍まじ何やってんの?ピンクの付箋に"星弥くんこの本だよ!" なんて書いてあれば誰でも分かるわ。付箋貼るなら直接渡せよ!

まぁとりあえず見てみるか。

開くと召喚方法や聖霊の種類などが載っていた。

「星弥くん召喚するの?」

「龍の助言で召喚しろって言われたから召喚しないと」

このまま龍のことを信じてもいいのだろうか、このままだとあいつの思い通りになる。なんか龍がピースサインしてるの見えるな。

「えーと、召喚方法は聖力を込めてこの言葉を言えばいいんだな、陽危ないかもしれない離れてて」

「うん……気をつけて」

召喚なんて初めてだ。この世界に召喚があるっていうのも初めて知った。本当に成功するのだろうか。

「来たれ! 神聖なる力を持つ聖霊よ! 我に力を授け給え!」

言葉を言うと目の前に魔法陣が出現し青く光り始めた。俺は眩しくて目を閉じた。

「にゃー」

「え? 猫?」

先程まであった魔法陣の真ん中には猫が座っていた。

え?

失敗?

「にゃに失敗したみたいにゃ顔してるにゃの、この私を召喚できたのだから光栄と思いにゃさい!」

目の前のアッシュグレイで青い瞳を持った猫が突然喋った。

「喋った……しかも尻尾二つある……」

「当然にゃのさ、私はそこら辺の猫とは違う特別にゃ猫、猫又(ねこまた)にゃの」

そう言うと猫又は二つある尻尾を見せてきた。

「あにゃたが私を召喚した人間にゃの」

猫又がじろじろ俺を見てくる。

「ふーん、普通にゃの……ん?でも見どころありそうにゃの、特別にこの私が契約してあげるにゃの」

猫又は自慢げにアホ毛を揺らしながら言った。

「あ、ありがとう……」

この猫には申し訳ないけどアホそうにしか見えない。アホ毛あるし。龍とか猫又とかなんで俺の前に現れるのはこんなアホそうなやつばっかりなのだろうから。でも契約してくれるって言ってるし見所あるならお願いしよう。

「星弥くん! 大丈夫?」

「うん、俺なら大丈夫」

「にゃに私を無視してるにゃの! ほらささっと手を出しにゃさい!」

「あぁ」

手の甲を出すと猫又が俺の甲に手を乗せてきた。

「何これ!」

手の甲には小さな契約魔法陣が描かれていた。

「これで契約できたにゃの、よろしくにゃの主」

「主?! この魔法陣消えないの?! これ周りの人に見えたらやばくなるんだけど!」

「手袋でもしとくにゃの、仕方にゃいの」

「はぁ?! ……とほほ……」

「では改めて、私は猫又のセレサ、主様が死ぬ最後までお仕え致します」

「よろしくセレサ、俺は京極星弥、こっちは俺の友達の柴野陽」

「陽……にゃんかいい香りがするにゃの」

セレサは陽の足元をスリスリしている。

「セレサちゃんよろしく」

「よろしくにゃの」

龍の助言に従い俺にセレサという猫又聖霊が仕えることになった。



「じゃあね星弥くん!また明日」

「うん!また明日!」

「あのさ……なんで俺の頭の上に乗るんだ!」

「ここが一番落ち着くにゃの」

「お前も歩けよ! てかこのまま家に帰ると家族にセレサの姿見えるんじゃないのか? 」

「安心するといいにゃの、拾ってきたっていう設定にして連れてくにゃの、家族の前では尻尾は一本にするから大丈夫にゃの」

「はいはい、もしダメって言われたらどうするんだ?」

「この可愛いセレサを断る人にゃんていないにゃの」

めっちゃドヤ顔してる。その自信は一体どこから来るのやら。




「ただいまー」

「おかえりせいくん、何その猫」

「あの……親とはぐれちゃたみたいで可哀想で、飼ってもいいかな?」

「ダメよ」

え? ダメって言われてるよ。あまりの衝撃でセレサがショック受けてるよ。

「お願い! 俺が責任もってお世話するから!」

「いいんじゃないか」

「ちょっと! お父さん!」

お父さんまじナイス! まさかお父さんがOKしてくれるなんて。

「仕方ないわね、ちゃんとお世話するのよ」

「うん! ありがとう!」












「おい、セレサ大丈夫か?」

「大丈夫じゃにゃいにゃの……この可愛いセレサを拒むとは主の母親相当手強いにゃの」

セレサは後から自分が拒否されたの初めてだったと語った。一生忘れないと。


最後まで読んでくださりありがとうこざいます。



聖霊

強い聖力を持つとされる生き物。上級、中級、下級と部類分けされている。召喚すると聖霊が仕えていいと思う相手は契約できる。契約すると力の一部を使用可能。聖霊がどのような存在でどのように誕生したかは今のところわかっていない。

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