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19話 悪夢

『星弥くん、私もうみんなの所には戻らない、神之橋として生きていく』

『陽……なんで……』

『私、火卯我くんのことが好きになってしまったの、だから彼と生きていくわ』

『陽ちゃんやっと俺を選んでくれたんだね、俺も大好きだよ、あいつらのことは忘れて俺たちと生きよう』

陽が火卯我の手を握る。

『待って! 陽!』

『さようなら、二度と私の前に現れないで』






「ん…………おも……い……」

最悪の夢を見た……なんか……お腹の上が重い……何かが乗っかっている感じが……

目を開け腹の辺りを見るとお腹の上にセレサが乗っていた。

「セレサ……おもい……どいて……」

「もう……食べれにゃいの……」

幸せそうな夢を見ていらっしゃる……羨ましい。

「セレサ……起きろ!」

「にゃの!」

大声で起こすとセレサは驚き、勢いのあまり跳ねた、天井近くまで。

「主! 驚かせにゃいでほしいにゃの!」

「仕方ないだろ、ていうかなんで俺の腹の上で寝るんだよ! セレサ用のクッションあるだろ!」

「ちょっと寒かったから主のお腹暖かそうだったから乗って寝たにゃの」

「いいかセレサ、今度から寒かったら俺の腹の上ではなく、布団の中に入れ」

「入っていいにゃの?!」

「もちろん、ただ蹴ったらごめん……」

「それは大丈夫にゃの、それより主、隈が酷いにゃの大丈夫にゃの?」

「あぁ……大丈夫……変な夢見ただけだよ」

どんな夢見てたかなんて絶対言えない。さっきの夢見てわかったけど俺めっちゃ陽のこと好きじゃん……あんまり自覚なかったけど……今まで恋愛なんてしたことなかったし、誰かを好きになることもなかった。なんで陽にはこんなに惹かれてしまうのだろうか。

「…………じ!」

「…………主!」

セレサの声に気づき耳を傾ける。

「ごめんぼーっとしてた、どうした?」

「学校行かにゃくいいにゃの?」

セレサが指した時計を見ると針は8時になっていた。

「うわーーーーー!!! 遅刻だーー!!」

慌てて階段を駆け下り、急いで身支度をする。

「いってきまーす!」

「せいくん! 弁当!」

走ろうとしたのを急停止して弁当を受け取る。

「今度こそいってきまーす!」

「いってらっしゃい、あらセレサちゃんご飯にする?」

星弥が家を出たのと同時にセレサが2階から降りてきた。

「にゃー」

「待っててね、今準備するから」

主……心配にゃの……






やばい、やばい遅刻する!

全力疾走で学校に向かっているが時刻は8時23分、チャイムが鳴るのが8時30分間に合う気がしない。

「あ! 星弥さん! おはようございまーす」

「翼?! 翼も遅刻か?!」

「はい! そうですよー、でもこんなに早く星弥さんと会えるなんて……遅刻して良かったです!」

そんなキラキラした瞳で見つめないでくれ。

「ちょっと待て翼」

「なんですかー?」

「ひよっとしてさ、翼の独力(アビリティ)使えば俺たち遅刻しないのでは?」

「確かにそうですねー、でもこの前それで登校したら生徒指導の先生にすごく怒られたのでやめた方がいいと思いますよー」

結構いい案だと思ったのにーー、でも翼の独力(アビリティ)を便利な力と思って使うのはよくないな、反省しないと。

「星弥さん、星弥さん」

「なんだ?」

「早く行かないと遅刻しますよー?」

やば。




「ギリギリセーフ」

チャイムと同時に教室の扉を開け遅刻は免れた。

「京極、隠宮、ギリギリだ。次からは気をつけなさい」

「はい……」

「はーい」

奥先(おくせん)珍しく怖い。明日から気をつけよ。

「よし、じゃあSHR始めるぞ」

今日は連絡事項が多いなーと思い、欠伸をしていると隣から翼が話しかけてきた。

「星弥さん、これ見てください」

翼が真面目な顔で深刻なことを伝えるかのようにスマホの画面を見せてきた。

見せてきた動画は今生放送中のニュース番組だった。内容は帝国の天使巫女の姿だった。その画面にはセーラー服を着た、前とは別人のような陽が神之橋火卯我の手を取り校舎へと歩いて行く姿が映っていた。今日の悪夢そのままを映し出したかのようだった。




「思ってたより深刻な状況かも」

お昼の時間月と冬馬にも動画を見せると月が呟いた。

「なんで? そんなにヤバいの?」

状況を飲み込めていない冬馬が月に問いかける。

「だって顔が帝国中に知れ渡ったのよ、それにこの国は支配の影響を受けてるから国民は帰ってきたことに大喜びするに決まってるじゃない、就任式まで姿は出さないと思ってたけど戻らせないようにするために焦って顔出ししたって感じがする」

「?」

冬馬がいまいちわかってない。

「つまり、今までは顔がバレてなかったから神之橋邸から逃げ出しても国民にバレることは少なかったけど顔を出したから逃げ出したらすぐ連れ戻されるってこと、花火大会の1件でネットで少し拡散されてちょっとバレたけど今度は完璧にバレるって感じ」

「おー、そっか巫女の服って顔フェイスベールで覆ってるから……なるほど……ん? 俺たち陽ちゃんと接触しにくくなるってことなのでは……やばくね? 救出不可能だ」

就任式の日は警護が増えるからダメだ、そうなると神之橋邸にいる陽を救出するしか方法がなくなる、でもニュースになった以上この帝国中が敵だ。そう易々と動けない。

「このこと水琴も多分把握してるだろうな、1回相談するか?」

「そうしましょ」






「失礼します!」

水琴が勢いよく扉を開け執務室へ入る。

「水琴か、どうかしたのか? 学校はどうした?」

「おじ様何を考えているのですか! 巫女は神聖なる帝国の象徴です! 顔見せることは禁止されています! なのになぜ学校に通わせる時フェイスベールをつけさせなかったのですか?!」

「なんだその事か、つけさせなければ顔が帝国中にバレる、そうなると脱走は不可能だ、陽の中にはまだ友達の所へ戻りたいという気持ちが残っている、もちろんそれを阻止するためだ」

「それでも、今までの神之橋の掟を破るのは違います!」

「関係ない、今この国のルールは私だ、昔の掟など新しく変えてしまえばよい。反論することは許さん」

言い返すことができず歯を食いしばる。

「理解したのならば早く学校へ行きなさい」

ずかずかと扉まで歩き、扉に八つ当たりをしてものすごい勢いで扉を閉めた。

「ついにこの私に反論してきたぞ、流石に見逃せんな。事が終わり次第早急に処分してやる」

扉をノックする音が聞こえる。

「失礼いたします、裕地郎様水琴お嬢様の監視をしたところお嬢様は喫茶店へ頻繁に通ってらっしゃることがわかりました」

「たかが喫茶店か」

「いえ、それがこの喫茶店普通の喫茶店でなく情報屋も兼任していました。恐らく我々の計画を影から調べていたと思われます」

「そこの喫茶店は誰が経営している?」

「隠宮博昭と言う者です、孫の陸と共に経営しています。この2人を調べたところこの2人が初代巫女の血を引く、10年前の戦争の生き残りです」

裕地郎が舌打ちをする。

「まだ生きておったか、頃合いを見て処分だ。処分できた場合死体はそのままにしておけ」

「いいのですか? お嬢様に見られてしまいますよ」

「わざとに決まっておる、見せれば絶望し我々に逆らうのも収まるだろ?」

「流石です、我が主君」

オグルに褒められ悪巧みの笑みを浮かべる。

「私を誰だと思っておる、連合組織フレスールの1人イシス様直属の配下だぞ、あの御方の役に立つ日が遂に整った。イシス様お待ちください、あなたの忠実な部下があなたの願いを叶えてみせます」

最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。

評価、感想お待ちしてます。

登場した奥先という人は奥田先生の略で奥先と呼ばれています。

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