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2話 出会い

今日の授業は聖力検査だ聖力を計測し%を調べる。それとどの聖力を得意とするのか検査する。聖力には(フォティア)(ネロ)(ビエント)(ソアロ)(グレス)(トアノ)の基本属性があり、基本属性プラス独力(アビリティ)を大半の人は持つ。つまり6種類の属性と自分で一から創り出した力を持っているということだ。独力は%の強さは関係なく自身の想像力と才能で創られる。俺はこちらの才能はあるらしくまぁ大したものではないが剣などの武器を創造できる。創造できても体力がないから剣を扱うことが出来ない、かすり傷くらいしか付けられない。ほんと俺は普通なやつだ。


「聞け! 星弥! 聖力1%だけ上がったんだ! これで俺も30%だ!」

「お! 良かったな、俺は何も変わってなかったよ、てかどうやって上げたんだ? 最初もう無理かもって言ってたじゃないか」

「それは、内緒。まぁ星弥もいつか上がるって!」

「ほんと冬馬は努力家だな」




「なぁ星弥帰りカラオケ行かね?」

「ごめん! 今日この書類提出しないといけないからパス、また明日行こうぜ」

「オッケー、じゃまた明日な」

本当は冬馬と遊びに行きたいが今日は我慢だ。この書類を提出するのと同時に今日分からなかった数学を聞こうと思っていたからだ。


「だいぶ時間かかったな。」

解説を聞いていたら六時になってしまった。それに今日は曇りだからやけに外が暗い。早く帰らないと母さんに叱られてしまう。そう思っていたら雨が降り出してきた、生憎今日は傘を持っていないとりあえず少し止むまで待つか。

「…………よ!」

「僕は君達に何も迷惑かけてないよ!」

喧嘩だろうか、叫び声が聞こえる。ちょっと覗いてみよう、そうちょっとだけだ。

声のする校舎裏に行く。

「迷惑? お前面白いこと言うな、迷惑ならかけてるじゃねぇか、お前の聖力が0%って言うこととかな」

「ほんとそうだぜ、お前が近くに居て俺たちの聖力が低くなったらどうするんだよ!」

喧嘩というか一方的に八つ当たりされてるだけじゃないか、しかも0%で10対1とか勝ち目ないだろ。どうする? 助けに行くか、いや俺が行ったところで何も変わらない、じゃあ誰か助けを…こんな遅い時間じゃ生徒は誰も残っていない、それに呼びに行く間にあの子が病院送りかそれ以上になってしまうかもしれない。でも俺じゃ無理だ、もし助けに行って次俺があの立場になったら? 無理だ無理だ無理だ無理だ!

俺は一目散に逃げた。





逃げながら俺は自問した。

このままあの子を見殺しにしてしまったら見捨てた俺はあの子を見殺しにした罪悪感を背負って生きていくのではないか? そしてやっぱり助ければ良かったと思うのではないか? 罪を背負って生きてしまうのなんて嫌だ。後悔したくない。それにこんなに怯えているのに助けないとと思う気持ちはまだ夢を諦めていないということだ。助けられてばかりの俺はもう嫌だ! 俺だってアニメや漫画の主人公のように誰かのヒーローになりたい!

そう思った時には無意識に戻っていた。







「おおおおおい! 何してるお前ら! 弱いものいじめはひひひ卑怯だぞ!」

こんなカッコイイことを言ってる俺実はめっちゃ怖いのと足がめっちゃ震えている。しかも声震えてる。

「あぁ? なんだお前、まさかこいつを助けるつもりか? やめとけやめとけそんなヒーロー気取りこんなやつ助けてもなんの意味もないぞ、それにこいつをいじめても先生に怒られないんだぜ」

「お前まさかこいつがなんて言われてるのか知らないのかこいつな"神に嫌われた子"って呼ばれてるんだぞ、この言葉聞けば少しは分かるんじゃないか?」

チンピラ二人はまるで当たり前のことを言ったかのようにげらげら笑いだした。

"神に嫌われた子"この言葉は俺も聞いた事がある。誰もが生まれながらにしてもつ聖力をこの子は持っていない。この子は生まれながら平等ではないのだ。だからいじめていいという理由にはならないと俺は思う。

「そんなこと関係ない、確かにこの世界で聖力がないのは神に嫌われているからかもしれない、けど聖力がないからと言ってこの子をいじめていい理由にはならない! この子も普通の人間だなぜそれが分からないんだ!」

「黙って聞いてればごちゃごちゃと、痛い目見ないと分からないみたいだな!」

おいおいこの不良ちょっと言っただけで切れて聖力使おうとしてるんですけど!まずい戦闘力ゴミの俺がこのいかにも強そうな人の攻撃を避けれるわけがない。

「死ねぇぇぇ!!!」

火を纏った拳で殴りかかってくる。

どうする、俺の聖力じゃ絶対勝てない。

「危ない!」

声をかけられ慌てて避ける。

「うわぁ!」

まじで殴りかかってきた、まじで危ねぇどうするどうする戦闘力ミジンコ以下の俺があいつに聖力で勝てるわけがない。ん? 聖力じゃ勝てない?なら俺の得意分野で戦うんだ。

「シールド!!」

そう叫び俺は盾を創り出した。

よし! 上手く創れたこれなら防護は出来る。

「くそ! 俺の攻撃を防ぎやがったな、でもそんな盾いつまでもつかな!」

盾に攻撃が何回も来る。このままだと盾が壊れる、どうする?! どうする?!



バキッ



しまった!盾が壊れ……

その瞬間俺の頬を目掛けて拳が来た。避けきれなかった俺はこの攻撃を直接食らった。俺は後ろに吹き飛び、壁に思いっきり背中をぶつけた。

「うっ……ぐっ……」

「口ほどにもないあれだけ言っといてこのざまか」

もう無理だ。頬が痛い、頭から血が出ている。やっぱり俺じゃダメなんだ、ごめん俺じゃ君を救けられない、俺じゃヒーローにはなれないんだ…

「…………………い。」

「ごめんなさい、僕のせいで僕のせいで君がこんなにボロボロに。」

そんなに謝らなくてもいいのに、俺が弱いから君を助けられなかったたげなのに、ただ夢を追いかけただけなのに。そんなに泣かないでよ。

俺の手に涙が零れ落ちた。

零れ落ちた瞬間に光に包まれ俺の体から痛みと傷が消えた、どういうことだ?

「よかった! あれ? 傷は?」

「分からない……急に全部治った」

「あ、あのさ……僕が言っても説得力ないかもしれないけど君が創造した武器に基本属性の力を纏わせたら戦えたりしない?」

「やって、みる……」

今までそんなこと考えたこともなかった、剣に火を纏わせたら少しかすっただけでかなりの強さになるはずだ。

「はぁぁぁ???? おいおいなんでお前無傷なんだよ! かなりの致命傷だっただろ!」

「そんなこと今はどうでもいい、お前ら俺を殺すつもりだっただろ、もう容赦しない」

俺は火を纏った剣を握りあいつらを目掛けて走り出した。

「このやろぉぉ!!」

火を纏った拳を突き出してくる。

俺はその拳を避け、致命傷にならない程度に相手を切った。そしてもう一人、二人目、三人目、四人目。


「最後」

そして最後の一人も倒した。普通の俺がこいつらを倒したのだ。


気づいたら雨は止んでいた。




- ------------------




「………………ぅん?」

何処だここ?確かいじめを止めに行ってそれで

「あ! よかった、目が覚めて。あの後いきなり倒れたからびっくりしたよ」

そこにはモカベージュの髪を肩まで伸ばした、白藍の瞳をした子が顔を覗いていた。

そうだ俺この子を助けて、その後倒れたんだ。

「ここ何処? ここまで運んできてくれたのか?」

「そうだよ、流石に一人じゃ運べなかったから僕の両親を呼んで運んだ、ここは僕の家だよ。それと君の両親にはもう連絡したから大丈夫だよ」

「……ありがとう」

「お礼を言うのはこっちの方だよ、助けてくれてありがとう」

あの時は暗くてよく見えなかったが中性的な顔立ちをしている。

「そういえば自己紹介してなかったな、俺は京極星弥よろしく」

「僕は柴野陽(しばのよう)よろしく--あのさ、なんで僕を助けてくれたの? 僕"神に嫌われた子"なんだよ。知ってるでしょ? ぼくを助けてもなんのメリットもないよ……」

「確かにメリットなんてないかもしれない、次は俺が君の立場になってるのかもしれない」

「じゃあどうして!」

「……悲しそうだっから……それに君の目は救けを求めてる目だったでも、最初怖くて逃げようとしたんだ、だからお礼を言われることではないよ」

俺は確かにあの時君を見捨てようとした。だからお礼は……

「そんなことない! それでも君は僕を見捨てなかった、初めてなんだ……両親以外に救けてくれたの。だからそんな事言わないで、君は僕のヒーローだから。」

俺も初めてなのかもしれない、助けてありがとうと言われるのは。いつも守られてばかりの俺が助けたのだ、ありがとうと言われるのはこんなに気持ちのいい事なんだ。

そう思っていると自然に涙がこぼれた。

「え! 泣いてる! どうしよう僕変なこと言っちゃったかな」

「大丈夫……ただ嬉しかったんだ、ありがとうって言われた事とヒーローって言われた事が。」

俺は生涯この事を忘れないだろう。

「そういえば君じゃなくて星弥って呼んでよ。俺らもう友達だろ」

「うん! じゃあ僕のことは陽って呼んで、改めてよろしく星弥くん」

「よろしく陽」

本当のことは言えなかった。殴られた後からほとんど覚えていないと言うことを、少し覚えているのは剣を握ってから自分では考えられないほどの()()()()があったということだけだ。自分が自分ではなかった。



「あれ? 陽くんその子起きたの?」

「うん、今起きたよ」

陽の母親らしき人が立っていた、陽とは全く似ていない。

「お腹空いてるでしょ、今ご飯持ってくるからね」

そう言って出ていってしまった。

「ねぇ、今僕と母さん似てないなと思ったでしょ」

しまった、完全に顔に出ていた。

「う……ごめん、思った」

「いいよいいよ、僕養子だから似てなくて当然だから」

「え、養子なのか?」

「うん養子だよ、6歳の時この家に引き取られたらしいよ。幼くて覚えてないけどでも、二人ともいい人で良くしてもらってるよ。こんな事話してごめんね。」

「全然、むしろ陽のこと知れて嬉しい」

そういうと陽は微笑んだ。

俺は陽の笑顔を見るととても嬉しくなった。月や冬馬が喜んでいるのを見るのとはまた違うこの感情、あぁ俺は君を…。

自覚した俺は顔が熱くなった。







同時刻神之橋邸

ここは初代巫女の家系、神之橋邸である。

「叔父様! 大変です!」

勢いよく扉を開ける。

「どうした火卯我(ひゅうが)そんなに慌てて」

「世界各地に設置していた聖力レーザーが反応しました」

「ほんとか!」

「はい、間違いありません。午後六時四十二分公立翠雨高等学校敷地内で100%の反応がありました。ついに見つけたのですよ! 巫女を!」

「よくやった、火卯我。二人にも伝えなさい。」

「はい、分かりました。」











「やっと会えるね僕の陽ちゃん」

赤銅色(しゃくどういろ)の髪をハーフアップで結んでいる少年が持つペンダントの中には白髪長髪の着物を着た綺麗な女の子の写真があった。

最後まで読んでくださり本当にありがとうこざいます。



豆知識

聖力(補足)

聖力は火、水、雷、風、氷、土の属性がある。扱いは非常に難しいため1つの属性に集中して修行することが多い。全属性を完璧に使用できる人は世界で片手で数えるほどしかいないとか。


独力

自分で一から創り出すまたは遺伝する、突如発言する力。聖力は関係なく才能と想像力で創れる。


星弥の独力

武器創造 自身が考える武器になりえる物を創ること       ができる。

使用方法 頭の中で剣のイメージを創る。亜空間から       剣が現れ手に取ると使用可能。

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