1話 普通
初心者作品になります。広い心で読んでくださると嬉しいです。 自分が書きたいのを書いてるだけの自己満小説です。変な所多いです。
むかしむかしある所に貧しい四人の家族がいました。この家は町で有名な程貧しく、また病弱な弟がいる事で有名でした。姉は毎日弟に着いて看病していました。それを哀れに思ったのか一匹の龍が現れたのです。龍は姉に弟の病気を治せる力を授けました、この力を使い弟は見違える程回復しました。……そ…………り……し…………――――――――――――――――――……おと…………ひ……ぐ…………国は発展していきました、こうして我らが神である神之橋一族が誕生したのです。
これはこの世界に伝わる御伽話だ、神之橋一族誕生秘話とも呼ばれている。この話は現代にも語り継がれているが誰もこの真実が書かれた本を知らない、そしてこの御伽話の内容が本物とは全く違うことも。
『 誰か、誰か、助けて!』
小さな女の子が怪獣に襲われそうになっている。頭から血が出ておりまともに歩ける状態ではない。
『 助けて……』
女の子が転び、怪獣に食べられそうになり目を瞑る。
『 え?』
目を開けると女の子を食べようとしていた怪獣が真っ二つになっている。そして死体の間には黒髪短髪の剣を持った少年が一人。
『 誰?』
『 俺は君を助けに来たヒ……
「せいくん! 朝よ! 起きなさい」
「…………はぁい……」
眩しい朝日がカーテンの隙間から射し込む。
京極星弥16歳、新学期早々寝坊してしまったのである。
「母さん! なんで早く起こしてくれなかったんだ!」
俺は少々八つ当たりしながら言う。
「何回もおこしたのよ、それでも起きなかったせい君が悪い、あとアラーム寝る前にセットしときなさいって昨日言ったでしょ!」
母が言っていることは正論だ、その通り俺が早く起きればよかったのだ。
「兄ちゃんってほんと朝弱いよね」
「弱いな」
朝食を食べている妹とコーヒーを飲んでいる父にも同じことを言われる。
「はいはい、俺は朝に弱いですよ」
俺は自分に言い聞かせるように言った。
「行ってきます!」
俺は走って学校に向かう、俺が通っている公立翠雨高等学校は成績普通、運動普通の何処にでもある普通の高校だ。なんで俺がこの学校に通っているのかと言うとそう、俺が普通だからである。それにしても今日はいい夢を見た。俺が正義の味方に、ニヤケが止まらん。
「おはよう! 星弥!」
後ろからいきなり話し掛けられびっくりして尻もちを着く。
「いてて……あ、おはよう月」
このいきなり話しかけてきた紺髪長髪ストレートの人は俺の幼なじみの光森月だ。成績優秀、運動神経抜群でおまけに美人、翠雨の姫と呼ばれている。なんでこんなに完璧な人が普通の公立高校に通っているのか。そんなに私立嫌なのか?
「あれ? 月にしては登校遅いな、いつもならもう学校に着いてるんじゃ……は! もしかして月も遅刻?!」
「もう、何言ってんのよ。今日は新学期だから一時間遅い登校でいいって連絡来てたじゃない、ていうか昨日登校時間の連絡したけど」
忘れていた、完璧に忘れていた。待て、という事は朝食食べれたじゃないか。俺は落胆した。
「もう……ほんとにおっちょこちょいなんだから」
月の溜息には呆れが半分と笑いが半分入っている。本当に俺は小さい頃から月に助けられてばっかりだ今度改めてお礼しないと。
「ほら行こ」
学校に向かって歩いて行く。
「あ、待って!」
俺は月に置いていかれないよう走って隣に並んだ。
しばらく歩き俺たちは高校に着いた。
「私友達待ってるから、またね」
月は手を振り友達の方へ走って行った。
「おはよう! 星弥」
「よ! 遙真」
今俺に喋りかけてきた黒髪短髪は今井遙真高一からの友達だ。
「お前月ちゃんと登校して来たのかよほんと羨ましい」
「仕方ないだろ、幼なじみで家近いし、それに今日は偶然一緒になっただけだし」
「はいはいそういうことにしといてやるよ、とりあえず新しいクラス見に行こうぜ!一緒だといいな!」
「そうだな」
「すいません、通りまーす。」
人混みの中を抜け掲示板にたどり着く。
俺の名前どこだ……お!あったあった。C組だ。
「俺C組にあったぞ、遙真は?」
「俺……D……離れたな……まぁ仕方ないよな六クラスあるし、クラス別れても友達でいような!」
「あぁ」
俺たちはそれぞれのクラスに向かった。
爽やかな感じで別れたけど本当はめっちゃ不安。新しい友達できるだろうか遙真はあの性格だしすぐ友達できるだろう、けど俺は口下手だからできないかも、まじ不安。助けて遙真。
新しいクラスに着き、指定された席に着席する。
なんかもうグループできてるんですけど!絶対無理だ、終わった。さよなら俺の青春ぼっちで過ごします。
「ねぇ君仲良い子いないの?」
なんかいきなり隣の茶髪ソフトツイストに話しかけられたんだけど怖いめっちゃ怖い。しかもピアスついてる……もしかしてこれ俺のグループに入れてやるから今日からお前パシリな的なやつ?! 怖い怖い怖い。気まずいって!
「実は俺もなんだ友達全員F組行っちゃった」
「は、え?あ、そうなの、実は俺も……友達と、別れ、ちゃって」
よかったーーー、いい子だったーーー、さっきは疑ってすみません。
「やっぱり! そうだと思った! 俺たち仲間だな! 俺葵冬馬よろしく!」
「俺、京極星弥よろしく」
神様やりました! 俺友達できました! ありがとう神様、おかえり俺の青春。
「星弥って聖力いくつ?」
「俺? 21だよ」
「まじ?! 俺29! 近いな! 今まで俺より10ぐらい上の人ばっかりだから近い人いると安心するわ」
「いや、冬馬も俺から見ればほぼ10上だぞ」
「あ、そっか、でも俺最初は19%だったんだ」
「まじかよ!? どうやって上げた?!」
「聖力増加方法って色々あるだろ、それをとにかく続けてる、物心ついた時からやってるけど10%しか上がらなかった41%いきたかっけどもう無理かな……」
「10%も上げたの! すご! 冬馬お前努力家だな! まじ尊敬する!」
そういうと冬馬は照れ、嬉しそうだった。
「この話して褒めてくれたの星弥が初めてだ、今までこの話したら10%しか上がらないなら意味ないとか40%ないなら意味ないって言われてきたから、なんか、ありがとな……」
冬馬も冬馬で苦労してきたのかもしれない、努力しても褒められなかったその気持ち俺もよく分かるから。
「冬馬はその努力家なとこ武器にしたほうがいいぜ!何かに夢中なれるのはいい事だから」
「じゃあそうさせてもらうよ」
この話の後最初の気まずい空気はなくなった。おれはなんだか気分がよかった。
集会とHRが終わり帰ろうとしたところ。
「星弥! 一緒に帰ろ!」
「は?! 月!? なんでここに!?」
「なんでって、同じクラスでしょ?! まさか気づいてなかったの!?」
図星を突かれる。
「その……友達と別れて……不安で……気づかなかった……」
「ほんと星弥って私に興味……ないよね、まぁいつものことだけど、これでも一応幼なじみなんだけどなー」
「ほんと……すみません……」
友達と別れて不安でそしたら新しい友達ができて、しかも冬馬と話が弾んでまったく気づかなかった。月さんご立腹でございます。
「まぁいいわ、今に始まったことではないから
その代わり今日一緒に帰りましょ」
「あぁいいよ」
まぁ一緒に帰るのはいいんだけど、周りの目がなんであいつが!とか私も俺も一緒に帰りたいのに!って顔してて気まずい。とりあえず早く帰ろ。
そう思い月を引っ張り慌てて教室を出る。
「月は新しい友達できたのか?」
「私は友達と同クラだったから大丈夫! 日頃の行いかな、それに私は最高に美しいから!」
月がニヤニヤしながらこちらを見ている、この地味な性格の悪さ学校の奴にも見せてやりたい。あと最後の美しいは余計だろ。
「ねぇ、なんかあそこ騒がしいね」
月が細道を指す。
「うん」
確かになんだが騒がしい。歩きながら覗いてしまおう。覗き見は良くないが今日は許せ。覗いた先にはイカつい男が二人とこの男にいじめ、いや蹴られている男がいた。一瞬しか見えなかったが蹴られている男はかなりボロボロだった。
「あれ聖力関係のいじめだよね?」
「うん……」
この世界には聖力という、神に授かったとされる力がある。俺がさっき冬馬と話していたやつだ。聖力は0から100の%で強さで示される。1から20%が三神、21から40%が二神、41から60%が一神、61から80%が神、81から96%が禰宜、97%が権宮司、98%が宮司、99%が神官、そして100%が巫女という名で位置付けられる。数字がでかいほど力は強くなる、この強さは生まれた時点でだいたい決まる、つまり家柄によって決まるということだ。81%以上は少なく今まで直接見た事はない。ちなみに俺は21%つまり普通、月は63%まじでなんでこの学校通ってるんだよ。
あのいじめ明らかに強い聖力を持つやつが弱いやつをいじめていた。この世界ではよくある事だ。じゃあなぜ俺達が助けないかと言うと自分が次のターゲットになるのが怖いからだ。もし俺にもっと力があれば助けられたかもしれない……俺にはどうせ力があっても臆病者だから助けられない、それに俺には月のように助ける力もない。俺はヒーローになれないと自分に言い聞かせた。
『お母さん……寝れない……』
『あら、じゃあこの絵本読もっか』
『これ何?』
『これはね昔からこの国にある御伽話なの』
『むかしむかしある所に弟思いの優しいお姉さんがいました。彼女は病弱な弟が健康になるのを願い毎日看病していました。それを可哀想に思ったのか1匹の龍が彼女に弟の病気を治せる力を授けたのです。すると弟は瞬く間に回復しました。この力を授けてくれた龍に彼女は感謝し、この力を国のために使いこの国は平和が訪れたのです。』
『すごいね! このお姉さん! ヒーローだ!』
『そうね、ヒーローだね』
『ねぇお母さんこの後お姉さんはどうなったの?』
『う〜ん、お母さんもここまでしかわからないのよ、でも家族で幸せに暮らしたと思うわ』
『そっか! 僕もこのお姉さんみたいに誰かを救けるかっこいいヒーローになれるかな?』
『きっとなれるわ、傍観者にならずその子に歩み寄れる心があるなら誰でも……』
「はっ!! ……夢……」
まるで今日の俺に問いかけるような夢だ。傍観者か…成長して気づいたあの時の夢は叶わない。あれは何も知らなかった俺が抱いた幻想だ。人は結局自分に不利になることはしない自分に利益のある物を無意識に見極め行動する。これが普通だ、自ら泥に飛び込むのを好んでやる奴なんていない。これが今俺たち、この世界が抱える問題だ。この問題を解決するのは簡単ではない。神様俺にあの子を助けられるような力をください。
最後まで読んでくださり本当にありがとうこざいます!
続きますので次回も読んでくださると嬉しいです。
おかしな点がありましたらご指摘お願いします。
豆知識
聖力
大昔神から授かったとされる聖なる力
聖力はパーセントで表され数字が大きいほど強く、小さいほど弱い。平均は20%。