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生還|〇六

「20度の方向から新たな皇国兵です!!」

その言葉が聞こえてきた瞬間遠くの方から貫通術式が連邦兵に撃ち込まれた。

防塞術式で防ごうとした者も間に合わなかった者も撃ち落とされた。

皇国の特機兵の援軍が来たのだ。

どうやらいつのまにか300秒経っていたらしい。

皇国兵はもう一度貫通術式を発射する。

突然の奇襲を受け混乱していた連邦兵もすぐに持ち直したらしく、

距離もそこそこあった今回の攻撃は当たらなかった。

だが、皇国兵も元々さっきので決着させる気はなかったのだろう。

すぐに散開した連邦兵に切りかかろうと高速で空を飛ぶ。

すでに連戦を重ねた連邦兵に残ったエネルギーは少なかったのだろう。

皇国兵の鍛え上げられた術式を纏った銃剣は連邦兵の防塞術式を

紙のように破られそのまま体を切り裂く。

そして残った連邦兵はそのような相手から逃げようとした。

だがそれを逃すはずもなくそいつらは皇国兵の斉射でその人生を終えた。


あの後援軍の皇国兵と共に荒葛は駐屯地の病院に向かうことになった。

というのも敵の爆裂術式を完全には避けれていなかったのか

体には無数の火傷があったり

燃費の悪い旧式の装備は想像以上に荒葛のエネルギーを奪い去っており

緊張が途切れるとともに意識を失ったそうなのだ。

そしてそのまま重力に従い落下し地面に叩きつけられ二度目の「死」を

体験するはずだった。

まあ実際には落下する前に援軍できた連中に助けられたわけだが。

そのまま病院で検査などを受け、回復までには一週間ほどかかった。

その間に色々あった。

一番大きかったのは今回の戦闘の結果だった。

試験内容だけでも満点に近い点数を獲得したが

その後の戦闘も特例として成績に反映された。

まず一人で連邦兵二一人を八分足止めし計七人を撃墜したとして、

皇国の特機兵に贈るために制定された「鶴翼中綬章かくよくちゅうじゅしょう」という

勲三等の勲章が贈呈された。

軍大学在学中に勲章、しかも勲三等という

本来学生がもらうのは不可能なものを手に入れてしまった。

そして軍大学卒業とともに少尉まで昇格となる予定となった。

本来特機兵の階級は伍長から始まるが尉官である少尉に到達するまでに

常時では最低でも2年はかかるとされている。

軍大学のエリートである新穿組でも准尉、曹長から。

既に階級がある者は査定の結果、一階級昇進するかしないか。

そんな中、少尉からというのは異例中の異例。

軍大学史上初の事態にさぞ上の連中は戸惑ったことだろう。

「ふっふっふ…。新兵が最初から少尉というのは完全にエース扱い…。」

病院の個室の中で呟く。

「これは私が望んだ{俺TUEEEEEE!!!}系の展開とも受け取れる…。

遂に私の時代が来たのだ!!」

ギリギリ外には聞こえないレベルの声量で叫んだのだった。

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