転生|〇三
俺はただの大学生だった。
世界史に詳しいだけのただの平凡な学生だった。
毎日キャンパスに通い、時には学友や小学生からの親友と
喋り、遊び、夜には飲食店でバイトし、
そんな日々を三年間続けていた。
流行り病や他国の戦争、隣国のミサイル演習などのイレギュラーが
あったものの俺の住む日本は平和な日常を享受していた。
平凡な日々を過ごし、好きなように生きていた。
だが
大学の最終学年への進級を楽しみにしていた春休みに俺の人生はそこで終わった。
流行り病で病床に付し、もともと体が弱かった俺は重症化し、
医者の治療も虚しく半年で俺の命は燃え尽きた。
段々意識は暗くなりいつの間にか何もない暗い暗い場所に意識があった。
体がだんだんと光の粒子となり離れていく。いつしか体の原型はなくなった。
(死んだらどうなるのかな…)
そのまま意識はぼやけていき、最後に漂う光の粒子にもう無い手を伸ばす。
だが死への恐怖が最高潮に達したとき、それは起こった。
瞬きをしたと同時に崩壊していく自分の体が見えた。
そしていつの間にか光の粒子の中に俺の意識があった。
そこで俺の意識は途絶えた。
次に目が覚めた時、そこには信じられない光景が広がっていた。
赤ん坊や幼児の泣く声、子供のちょっとした喧嘩の声、大人の世間話をする声。
眩しい太陽の光。木でできた古めの建物。
そして、いつもと違う体の感覚。
小さな体の感覚。
(いや、ありえない。俺はあの時病院で死んだはずだ。
そうだ、あの後走馬灯?がみえて…いやしかし、これは…)
自分の体を見てもその体は幼児そのもの。現実的ではない事態。
(まあ田舎のようだが平和な日本だ。前の人生と同じように生きればいいか。
ていうか記憶はあるから小学校とかだと
無双して天才児と崇められるんじゃないか?
これは一部の人が望む幼少期へのタイムスリップと考えれば最高じゃないか?)
そのような邪な考えを巡らせる。だがこれは楽観視しすぎていたとしか言えない。
新しい人生が始まって数年。
齢は11歳まで成長し、校内成績では常に一位を取り続けた。
だが、これまでの人生で分かったことがある。
この世界は俺がいた世界に似ているが違う世界だった。
大きく違うところは「術式」と呼ばれる概念が存在していた。
元の世界でいう魔法のようなものだった。
限られた「術師」と呼ばれる者が行使できる
特別な力でその存在は重宝され一部の地域では
神の使いとして崇められることさえあった。
傷を癒し、炎を出し、空を飛ぶ力はこの国では神聖視された。
その力は今や国防の一端を担っていた。
そしてここは西暦2023年のようなデジタルの世界ではなく
歴史の教科書でみたような昭和初期のような世界だった。
しかも街の風景どころではなく
歴史的に見てもそれに近しいものだった。
戦争がありふれた世界に存在するこの国は
俺から見ても戦争が迫っているように思えた。
元の世界の歴史でもそうだった。
過程は違うが結果はこの世界でも元の世界と一緒だった。
その世界で俺は「術師」の才を持って生まれてきたらしい。
術師の素養をもった俺は法器と呼ばれる術式の
民間用補助機を親に買い与えられ日常の中で
術式を行使していった。
その力は近隣に住む地方公共団体の職員の耳にも届き
満13歳から幼年特別機械化軍学校という
まだ幼い術師を育成する特別な学校に入学することになった。
この学校に入ることは世間では名誉なこととされ
親も喜んでいる状況で断れることもなく将来は
幼年軍学校、士官学校、軍大学のキャリアを積み、
前線で戦うことになるだろう。
「これが周りからのプレッシャーか…。」
こんな世界だがどうにかして生きるしかない。
「しんどいなー…。」
そんな言葉は青い空に吸い込まれ消えていった。
ここまで読んでくださった皆さんには感謝しかありません!
しかしこんなよくわからない駄作を読みに来るとはあなたもなかなかに変わってますねぇ。
そういえばX(旧twitter)のアカウントを作ってみたりしたのでフォローしてくれたら嬉しいな的な?
アカウントはこれ→@hitomosi_ren(https://x.com/hitomosi_ren)だぞい。