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異世界の第二次世界大戦、開戦|一八

九月四日 陸軍参謀部の会議室にて


今日のここはいつもより騒がしい。

常日頃から部屋の外まで声が聞こえてくるが今日は棟全体に響き渡るほどだ。

事態の始まりは先日九月一日にゲード帝国が東側に位置するポリュシカ共和国侵攻の開始だ。

開戦開幕より帝国陸軍は北、西、南の国境から一斉に攻勢を開始、

海軍は河口付近の街を旧式艦艇を用いて艦砲射撃。

空軍は共和国北部のトテファ付近の共和国軍を爆撃。

この地は鉄道ターミナルなどがあり輸送の要であった。

帝国からの発表は開戦理由の「共和国による帝国領の攻撃」のみであった。


同日近隣国であるバルッテク三国群、永世中立国のノーワー王国、セイシャ連邦は中立を表明。

連合王国は総動員令を発令。国民にも避難指示を含めた戦争の準備を開始した。

 

九月二日

連合王国とレーンス共和国は共同で帝国に対して最後通牒を送付。

ポリュシカ共和国からの全軍撤退の要求した。

帝国南部に位置するディーンズ公国は帝国の支持を表明。

「戦争もやむなし。」と開戦の示唆さえしている。


九月三日

昨日の公国の発表を受けて帝国と公国に挟まれているセイシャ連邦は総動員令を発令。

帝国はポリュシカ共和国に存在した旧領地を奪還、即時併合した。

この報告を受けた連合王国、レーンス共和国は

最後通牒の期限の終了と共に帝国に対して宣戦布告。

大陸西部にて第二次世界大戦が発生した。

合衆国からは「我が国の大陸不干渉の主義を貫く。」との事実上の中立宣言が発表されている。

これらの世界情勢に対してシルアン連邦は沈黙を貫いている。


「これをどう見るか。」参謀次長中島哲郎中将の発言だ。

既に閣議が行われ、皇国の方針もそこで決まるだろう。

「我々が懸念すべきは早急な軍事的行動が必要とされた場合だ。

もしこの流れに乗じて漢登に大規模攻勢を仕掛けるか、

七月から続く連邦との小競り合いを済ませるか。

どれを最優先に済ませるか。それとも何もせずに傍観しこの大戦の行く末を見るのか。」

参謀総長がいない現状この場で決定も出来ず、

国の指針もわからないこの状況で具体的な作戦も練ることはできない。

「正直なところ、私としては漢登など放っていおいて

対合衆国を見据えた方がいいと思うのだがな。」

一息ついて煙草を吸う。

吐く息と共に濃い煙が吐き出され部屋に消える。

「合衆国の介入はなんとしても防ぎ、漢登を降伏させる。これが大本営の決定だ。」

その言葉と共に入室してくるのは参謀総長杉谷一蔵大将。

部屋にいた全員が起立し敬礼する。

「陸軍大臣からの連絡だ。陸軍は漢登を1941年中に終わらせろだそうだ。これだから政治家は!」

「1941年!?不可能です!まだ支援ルートの一つしか断っていないんですよ!?」

現1939年九月では漢登を支援するルートは残り三つある。

シルアン連邦からの北部ルート、漢登南西部にある連合王国植民地からの南西部ルート、

レーンス共和国からの南東部ルート。

皇国陸軍は政治的、軍事的方法でこれらを解決しようとしたが突破できなかった。

「儂もわかっておる。だが海軍、特に軍令部総長からの強い進言があってな。

あの総長め、政治にも手を回しおった。」

荒々しく言葉を吐き捨てるように言う。

「海軍の連中、真面目に合衆国と戦るつもりだ。どうしようもない馬鹿共め!」

拳を机に叩きつける。相当会議で鬱憤が溜まったらしい。

「しかし合衆国戦を見据えるのは良いことだと進言します。

事実、このまま戦争を進めれば合衆国は確実にこちらに介入してくるでしょう。」

「もちろんそうだ、中島中将。

だが我々が漢登を降伏させるのは合衆国と戦争をするためではない!」

1937年から始まったこの事変を終わらせる。それは何の為か。

合衆国と戦争する為?否、否、否!

あのどうしようもない軍令部総長の狂った願いの為ではない!

皇国そのものの為である!やんごとなき御方の為である!!

そのために戦場を駆ける兵は銃を手に取るのだ!

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