結果|一七
起きた時は本国の病院だった。
魔力が切れて落下した筈だったが何故か生きていた。
あとから聞いた話だと生存本能が僅かではあるが魔力を意識の裏に残していたらしい。
落下の直前に防塞術式を発動させ、衝撃を緩和させギリギリ生存したということだ。
それでも高度九〇〇〇から落下に体が耐えられる訳もなく、発見当初は酷い状態だったらしい。腕と足は本来曲がらない方向へ曲がり血があらゆる箇所から流れていたらしい。実際はもっと酷かったらしいが言葉に出すのも苦しいほどだったらしい。医者からは奇跡が起きなければ死んでいたと言われた。
二度目の死は訪れなかった。
俺が戦闘機と合間見えた後は酷い状況だったらしい。
俺は敵戦闘機を一機撃墜したが爆撃機は飛行を続け、第四七皇国北方臨時司令部を空襲。対空火器、航空戦力が不足していた司令部は破壊され上層部は撤退を決定。敗北だった。
あの空戦での被害だが敵の対空火器を破壊していた第二中隊は生存者が多かったが、他の第一、三中隊は敵戦闘機にほとんどが撃墜された。
合計で生き残った者は二四人中僅か九人。内六名が第二中隊だった。
「とりあえずは生き残ったな。」
病室で海士が話し掛けてくる。
「俺はこんなんだけどな。」
包帯に巻かれた全身を見せるように腕を動かすが激痛が走る。
「ッ…!」
「あんま体動かすなよ、生きてるだけで御の字だ。」
「それはそうなんだがな…痛いもんは痛いもんだ。」
関節部分を動かそうとすれば激痛が走る。動かせるのは首くらいだ。しばらく入っているが後遺症は無いらしい。これも医師には奇跡と言われた。
「空は今日も青いな…。」
第二中隊…皇国特別機械化兵科第五〇六中隊は本国に帰還した後に解散命令が出された。
隊長の黒井が除隊する事に加え、今回の戦闘の被害により一部再編の必要があったからだ。
今回この紛争に投入された特別機械化軍大学一三期卒業生六二名は同じ隊にいる二名同士で僚機としてしばらく編成されると司令部から通達があった。
つまりしばらくは海士と一緒に戦場を駆け巡るということだ。
…傷が治り次第だが。
海士は俺の面倒を見るように言われたらしい。司令部は親族に海軍上層部が多数いる名門一家の嫡男を戦場にはあまり出したくないらしい。
一時の平和だがこれを謳歌しよう。