敵対空火器破壊任務|一五
あれから何度か空に飛び立った。
時に友軍の救援支援、時に敵補給基地のへの打撃任務、時に地上支援。
皇国は航空戦において開戦以来常に優勢を取り続けた。
戦闘機パイロット、特機兵ともに数は劣り続けたが優れた人員が敵を蹴散らした。
量より質で圧倒した。
しかし地上ではそうではなかった。
島国である皇国は陸軍国家である連邦には勝利できなかった。
敵は日を重ねるごとに戦車、砲、人が増え続けた。
対空兵器も増え続け開戦当初よりも撃墜される味方は増え続けた。
「回避!回避!避けろー!」
そのような声が通信機から聞こえてくる。
その後周囲からは爆ぜる音が響く。
「対空砲火だ!第二中隊、下を叩け!他は避け続けながら第二を支援しながら迎撃しろ!
何としても爆撃機隊を通させるぞ!」
大隊長から聞こえてくる。
今回の任務は敵特機兵の排除、敵対空兵器の排除だ。
何のためかというと爆撃機を深部へ無事に向かわさせるためだ。
特機兵は万能ではあるが速力が一般の航空機よりも遅い。
航続距離の問題もある。
要するに特機兵では今回の目標の敵基地には補給なしでは届かないのだ。
故に無事に届けるための任務。露払いである。
第二中隊はほぼ垂直の状態で急速に下降する
「三連装機関砲が一四基に高射砲八問か!昨日には無かったぞ!!」
どちらも強力な対空火器だ。
的が小さい特機兵はともかく大型の航空機は避けれないだろう。
多数の機銃から発射された銃弾をかいくぐりながら射程距離に入るまで接近する。
「全員爆裂術式用意や!撃て撃て撃てぇ!」
各員が銃弾を避けつつ一瞬の余裕ができた瞬間に爆裂術式を叩き込む。
だが距離も遠くまともに照準できない状態。沈黙した火砲は少ない。
近づくにつれ銃弾の密度が上がる。被弾している者も出始めた。
「全員擲弾擲弾投下や!ついでに爆裂も喰らわせとったれ!」
銃弾の発射音が空中に響き、擲弾は空中で音を立てながら落ちていく。
数秒後、地上に炎と爆風が巻き起こる。
数基の火砲が沈黙する。
「まだや!叩くぞ!」
地上に接近し敵を叩く。
地上数メートル程まで接近し煙の中を突き進みあらゆる場所に爆裂術式を叩きこんだ。
下を向き撃ち、取り逃した敵を撃つために後ろを向きながら撃ち、
進行方向から撃ってくる奴の弾を背面飛びのような動きで避け上下逆の状態で撃ち
全てを沈黙させる。
撃つ、避ける。撃つ、避ける。その一連の動作を続けた。
気付けば付近一帯の対空火器、地上火器が沈黙していた。
爆裂術式の巻き添えを喰らったのだろう。
丁度その時だった。遥か上空には複数の爆撃機を空を飛んでいた。
自分たちの基地の方向に向かって。