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青いウサギはそこにいる。  作者: 鈴木志稀
ONE DAY

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47/50

ONE DAY①

瑞稀みずき……瑞稀みずき!)

 たまき優里ゆうり、ののか、舞星まいせの想いがひとつになる。

 サビの繰り返し、瑞稀みずきのボーカルが力強く響く。

 たまきは思う。こうかな? 違うな、もう少し……ここか。そのとき、たまきは知った。瑞稀みずきたまきの演奏しやすいように寄り添ってくれていること、優里ゆうりがしっかり合わせてくれていること、ののかがどれだけサポートしてくれていたか、そして舞星まいせが悪役になってまで言いたかったこと……。

(ああ、こんなにも気持ちのいい空間があったんだ)

 たまきは知った。瑞稀みずきの、いや、瑞稀みずき優里ゆうり、ののか、舞星まいせのおかげで、かけがえのないものを失わずに済んだことを。

 曲が終わり、たまきは、ギターをスタンドに立て掛けると、崩れ落ちた瑞稀みずきの元へ行き、そっと強く抱きしめる。

瑞稀みずき、大丈夫。うちらはどこへも行かへん。ずっとそばにおるからな」

 優里ゆうりも二人を抱きしめて言う。

「そうやで。うちらはずっと一緒や」

 瑞稀みずきは「うん」と頷く。

 それを温かく見守るののかと舞星まいせ

 そして天を仰ぎ、ののかは言った。

「表現者は、自分の人生をすべて糧にするとはいえ、この現実は残酷すぎる」

 たまき瑞稀みずきを抱きしめながら思った。

――これは、天国のお母さんへのラブソングだ――

 

 演奏が終わっても、アナウンスは次のバンドの紹介ができなかった。それは実行委員会も照明や音響、そして観客たちも同じだった。

 たまきたちの曲が衝撃を与えたのでも、その技量に魅せられたのでもない。彼女たちにそんな技量はない。普通の高校生バンドだ。

 この会場にいるすべての人は、瑞稀みずきに、そしてたまきに、優里ゆうりに、ののかに、舞星まいせの持つ熱量にあてられたのだ。

 ただの高校の、いち学園祭。そこで演奏された曲を聴いた人はいつか忘れてしまうだろう。だが、演奏した五人の胸にはいつまでも残っている。

 たとえ、離れてしまっても、心の鼓動がある限り。

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