小さな存在
小さな存在でいることが怖いか
鏡に向かって そう聞いた
生まれた時 自分の姿を知らない
育つうち 誰かが言うんだ
聞きたくないこと
笑われる戸惑い
恥ずかしくなって悲しくなると
そこから変に抱え込むもんだね
取るに足らない自分が嫌か
ガラスに映った瞳が問う
がむしゃらでも足りない気がする
打ち込んで足を取られて
気にしないようにしても
どこかで誰かの目が見ている
気にし出すと 理解する
隙間だらけの自分じゃないかって
予言者がいたっけ
打ちのめす前に何か言った?
剥ぎ取る手前で
「そうなる予定だ」って
誰か 聞こえたか?
だけど生きていくしかない
馬の蹄で蹴られる前に
蹄がはじいた小石で怪我する自分でも
憧れは無邪気で
嬉しさを覚えていても
別の何かが育って越えて
天井をおおう蔓が遮るんだ
何か出来そうな意識もね
大したことが出来ない大人
取り換えの利く立場
自分が自分の代役にならない日々
人生の向こうに何も見えない
そんな毎日で
ある時 ちょっと考えた
お茶に映った自分を見て
小さい存在が無意味だと言ったのは
いったい 誰だったんだ?って
思いつく理由は腐るほど出てくるけれど
それがどうして本当だと言い切れるんだ
誰が本当だって言い切れるんだ?
脆弱な呼吸
すぐに早くなる鼓動
打たれると顔を背けていた
小さい存在の自分は
どうして『弱者』で『取るに足らない』と
決め込んでいたんだろう?
誰の基準で
何の借りで
飛ぶ力を忘れたのか
生まれた時から飛べたはずなのに
いつ忘れたんだ
いつから自分以外を信じたんだ
いつから自分が消えたんだ
小さな存在の続きを感じる
途方もない広がりの一瞬が掠めた
ここにいることを選ばれている
命の脈を認められている
受け続けた傷が埋まる
涙の跡が消える
冷えていた心臓の奥が熱を持つ
自分を望んだのは誰だったのか
自分が望んだのは自分だった
誰かの答えなんか要らない
溢れる声が咆哮のように胸を叩く
小石で怪我した心が金属に変わる
誰かを守れる自分になる前に
自分を守れる自分が生まれる
生きる時間を
ちっぽけな一瞬の人生を
この上なく愛したくなる
飛び方を知らなくても
飛べる自分を知ったんだ
誰かはまだ言うだろう
取るに足りないやつだって
そうでもない
極端に大きすぎる場所に
選ばれた小さな自分は
とんでもなく大事な時間に生きている
誰にも借りなんかない
心の中に貰った時間が流れ始める
炎の河に体から熱が溢れる
飛び方はこれからだ
だけど飛べることを思い出した
誰かの答えなんか要らない
溢れる声が咆哮のように胸を叩く
小石で怪我した心が金属に変わる
誰かを守れる自分になる前に
自分を守れる自分が生まれる
その続きも知っている
僕は誰かを守るんだ
この生きる時間を
ちっぽけな一瞬の人生を
この上なく愛したくなる
自分の飛び方を知らなくても
飛べる自分を知ったんだ