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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第七章 それぞれの思惑
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ジオルドの違和感

レティエル嬢に危険はないのかと仄めかせば案の定、カレンシアは動いた。

やはり彼女は変わっていない。ホッとする。


今、アドルフには自由がない。本来ならばカレンシアもだがライラと言う予想外の能力者がいたのだ、使わない手はない。このままカレンシアの信を得て、娘を手の内に取り込めば王妃は助かるだろう。

そう睨んでの行動だったのだが、カレンシアが王族についての情報を語らせない。警戒しているのか? 何故だ。


ああ、そう言えば悶着があったのだった。王妃とカレンシアの確執は以前からあった。息子達の婚約以前から二人の仲は見ていてハラハラするほど険悪だった。恐らく性格が合わなかったのだろう。


カレンシアの反対を押し切り王妃が息子との婚約を結ばせた時の彼女の怒りは凄まじかった‥…そうだった何故忘れていたのか。王宮がいや王都が火の海と化すところであった。あのままいけば間違いなくこの国と帝国は戦争になっただろう。アドルフの介入で事なきを得たのは幸いだったのか‥…それは疑問だが。

王家は先代公爵の時より公爵家には借りがあったらしくこの時も大きな借りを作ったと嘆いていたと聞く。婚約を白紙にすればと思わなくも無いが既に教会に届け出た後で王家がそう軽々と撤回するわけにはいかないのだと。それは義弁だろう。





エリックの情報を流しライラの件で恩を売り共闘を持ちかけたがアドルフは乗る気ではなく何か隠している様子だった。だが言質は取れたのだ、先ずは良しとした。



それはそうと、グレインの名前は聞いた記憶が。

どうもその彼女が殺されたらしい。彼女には悪いがこれを使わない手はないな。カレンシアの復讐心を煽り娘の安否を仄めかせば冷静さを欠かした彼女が立ち回ってくれるだろう。そう僕は判断をした。


なのに。

僕が良く知るカレンシアとはどこか違う。

久しく会っていない所為か、昔話で警戒心を解こうとしても、公爵家に迫った危機や娘の危険を語ってもカレンシアはどこか冷めている。

そう、冷めているのだ。娘と息子。息子は養子であっても可愛がっていたと言う、この二人を良い様にダシに使われてもだ。これも彼女らしくない。

彼女は「年を取って性格が丸くなった」と冗談を言えるぐらいにはなったようだが俄には信じられない。従来の彼女は堪えきれない性分の人。

学生時代から忍耐力があると何故か威張りながら言い張っていた彼女の頓珍漢な勘違いも魅力だと思っていたが。

‥‥‥引っ掛かる。



漸く娘との面通りが叶ったというのに、思うように話が進まない。意図的に話を逸らしているのが分かる。

それとカレンシアは素直に僕の話に耳を傾けているが彼女の視線が気になる。その眼差しに一挙手一投足見られているかと錯覚に陥る。


どうも僕は疑われている‥…流石と言うべきか悲しむべきか。

僕は何も手を出してはいない、今はね。

君達を助けたのに‥‥‥思い通りに動かない二人に不愉快な気分になる。

これはアドルフの差し金‥‥ではないね。カレンシアか?


おかしいな僕は君を怒らせるような事をしたのかい?


お読み下さりありがとうございます。


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