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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第七章 それぞれの思惑

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ジオルドの苦い相手

ジオルド視点です。



「帝国に貸を作る」その思いでアドルフ達と接触をした。

無論、彼にも恩を売るためだ。僕の思うが儘に動いてくれないと困るからね。


だが、陛下が沙汰された謹慎処分が邪魔だ。名目上は長男の監督不行き届きだと。ふざけたことを。

本当に長男が罪人であればアドルフ達は一族皆処刑で派閥の貴族も罰を受ける。国内で力を持つ公爵家に何かあればその影響がどこまで及ぶか予測が尽かぬ。おいそれと手を出すべきではない。


恥ずかしい話、自国の国力が弱まっている今、経済、武力共々群を抜いて力を持つ()の公爵家に何かあれば国内は荒れる。明白の事実だ。迂闊な行動は国の危機を招くことを考えぬ愚か者がまだまだ貴族の中にいると言う事か。あの公爵領を狙う不届き者か。どこぞの思慮に欠けた人物が公爵家の後釜を狙うのか?


陛下の求心力が落ちた今、ザックバイヤーグラヤス一族の処罰は出来ぬ。

これは大方の貴族が持つ見解だ。


冤罪を企てた者は本気で公爵家を陥れる気があるのか?

そう問質したくなる。


‥…陽動か?






長男は証拠不十分で釈放されてもよいのだが何故か未だ収監されている。

裁判も行われていないと聞いた。徒に囚われた儘なのだ。不自然過ぎる。

この処置には違和感しかない。


痺れを切らした僕は長男に面会を求めた。勿論、恩を売る目的だったがあの男は僕の助けなど不要だと言外に示し、罪を疑われたとは思えない男の飄々とした態度に疑惑は深まるに終わった。



あと、長男の得体の知れなさを知ったのだが‥…。

何アレ? アドルフ、君の子育ておかしくない?




面会時を思い返すと些か苦い思いが込み上げてくる。


あの男は罪人と疑われたにも拘らず飄々としてまるで他人事だった。違和感が芽生えたのはこの時だ。そして僕を見る目には嘲りが、見透かしたような目つきもその笑みも不気味に思えた。この男は冷静でいてそして楽しんでいる気配もある。まだ若い癖に妙な貫禄も度胸も狡猾さも持ち合わせ、迂闊な事を話せば足元を救われる。そう思える何かがこの男から感じた。


この男、生かしておくのは危険ではないのか? 肌で感じた恐怖が僕に囁いた。薄らと殺意らしき感情が浮かんだが次に浮かんだ疑問がその感情を打消した。


この男、ここで何をしているのだ? 


全くもってこの男の真意が読めぬ。



帰り際、「悪巧みは身を亡ぼす元です。ご自愛ください」と言葉を投げられたのだが意味深過ぎで寒気がした。

…ビビったわけではない。

アドルフも抜け目のない男であるがこの男も違ったタイプの油断ならぬ者だと忌避感だけが胸に落ちた。



この男は何故収監されたのだ? 公爵家から離せばならなかったのか? 

レティエルを拐にはアドルフもだが、この男の存在は邪魔であろう。

そう考えると排斥したくなる者の気持ちも分かる。何かと邪魔であろうな。


本人も誰かしらに恨まれたと言うところか。

怒恨からの暗殺を招きそうだ‥‥助けるべきか? 助けたところで恩義を感じるとは思えぬな。


…‥あの男が死ぬとすればある意味自業自得だろう。


ブクマ・評価・いいね、ありがとうございます。励みになります。

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