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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第七章 それぞれの思惑
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思い出すカレンシア

カレンシア視点、三話目です。


そうそう幼いティを人質に取られたと同然でしたわ。あの殿下と婚約…それってあの毒婦が姑になるってことでしょ? どんな嫌がらせよあの王妃。


勿論そんな地獄をティに味わせるのかと旦那様に詰め寄りましたわ。

政治的なお話されてもねえ‥‥それはそれ、これはこれよ。

一人娘が茨の道を歩むのを黙ってみていられませんでしたの、わたくし。

あの王妃にしてやられたかと思うと悔しくて悔しくて煮え湯を飲まされた気分でしたの。

ムシャクシャした腹いせに王宮に広域魔法陣繰り広げ爆撃魔術ぶっ放そうとしたら旦那様に止められましたの。悔し過ぎて離縁状叩きつけて実家に戻ったら慌てた旦那様が追いかけて下さって‥…うふふ。

ですがティがこの縁組を楽しんでると聞かされ渋々了承致しましたのよ。

ええそうなの、『嬉しい』と喜んでいるのではなくて、『今から楽しみ』と。そう旦那様は仰って黒くて悪い笑みを零されたのよね。だから権力の行使を諦め様子を見ることにしたわ。

旦那様は『この縁組は時が来れば破談になるよ』…そう朗らかに黒い笑顔で仰って。勿論、旦那様は有言実行のお方、信じました。



わたくしも遅かれ早かれ王家との縁組は不幸な終わりを遂げると思っていましたの。だってティに魔力がある限りこの国では幸せに成れませんもの。神殿の上層部を筆頭に貴族も魔力保持者を異端者と見て差別的で魔力保持者の排斥を願うくせに魔石の需要に与ろうとしているのよ、ふざけないで頂きたいわ。




そうそう、ジオルド様の言うティに毒を盛った犯人、わたくし神殿関係者か神殿支持者ではないかと疑っていますの。ティの安全の為、飲食が許されるのは限られたお茶会。不特定多数の出入りのある場所では必ず侍女が毒見を行うわ。それを掻い潜る‥‥主催者側は同派閥か王家のお茶会しか出席しないティなのに。動機は魔力保持者の排斥ってところかしら? 彼等にしてみれば未来の国母となる娘が魔法を使えるとなれば信仰の冒涜とでも思ったのでしょうね。ふん馬鹿馬鹿しい。そもそもこの国の守護神って魔法を禁じていないじゃないの。曲解してんじゃないわよ! うざったい! 何が神の領域を犯さんと欲す悪しき力よ! お前達、怒りの業火で灰となれ!

…‥イヤだわ口が悪くなっちゃう。




それから、ジオルド様は王妃派の切り崩しだと仰っていましたが、嫌ですわ、既に崩しましてよ。何の為にわたくしが王都にいたと? 王妃って敵の多い方でしたのね、ああも陣営が脆いとは思いませんでしたわ。


あの王妃、隣国と強い繋がりをお持ちでそれを交渉の切り札に良くなさっておいででしたが‥‥好い様に使われて用済みってところでしょうか。隣国も継承権問題で荒れていましたもの。‥…そう言えば王妃と仲の良い大使、罪人になり処刑されたのでしたわね。小耳に挟んだ程度ですので良くは存じませんの。政治に関するお話は殿方の領域ですから。



そう言えば王妃と第一側妃と犬猿の仲でしたわねえ。大方、第二王子陣営が毒でも盛ったのではなくて? 目に余るお方でしたものアレを支える殿方達には同情致します‥…


さて王妃様の身に何が起こったのかしら…‥知らないわよそんなこと。どうせ自業自得なのよ、あのお方らしいわ。

ジオルドはわたくし達を巻き込みたいのでしょう。でもごめんなさいね、わたくしの与り知らぬことよ‥‥悪しからず。


どのみち帝国貴族としてこの国に滞在しているティに‥…他国の貴族であるティが王妃様にお目通りする理由などございませんわ。

そこは間違えないでね、ジオルド様。

お読み下さりありがとうございます。

後、二話でカレンシア視点終わります。



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