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レティエルの視点に戻ります。
来客室で俺達はダルさんの報告を聞いている。
ダルさんはジオルドに呼び戻され用事が済めばまたセーフティハウスに戻り解術を再開すると請け負ってくれた。ありがと~ダルさん。ご褒美あげないとね!
解術が終わったのはミリアとハイデさんの二人。今は尋問中だそうだ。
知り得た事はまだ少ないが途中報告も欲しいので丁度良かった。距離があるから移動がメンドクサイだろうに。ごめんね~
聞かされたハイデさん情報は、初めて見たのが招集の掛かった隠れ家。
ハイデさんは義兄の指示で他領にいたところを呼び戻された。クレアに領地の本邸から追加要員として派遣されたと挨拶され、そう言えば本邸で見掛けたことがあると思い出し彼女の言葉を鵜呑みにしたそうだ。
ミリアは領地内の別荘にいたので本邸でクレアは見ていない。レティエルの拉致後、義兄の指示で領地を離れ捜索活動をしていた。俺がガリレシアの元に逃げ込む少し前にガリレシアの使いとして現れたのがクレアだった。ガリレシアの住む伯爵家のタウンハウスに出入りしガリレシアと懇意になったのもこの時だそうだ。疑いもせず違和感を感じることもなく受け入れたのはレティエルとガリレシアの友好な間柄を知っていたことが仇となったか。
ダルさんは精神支配系は魔力量の差が顕著に出るし、違和感を感じさせなければ罹り易い。恐らくクレアと言う人物は高魔力保持者、それ相手では術に抵抗が出来なくても無理はないとハイデやミリアをフォローした。良い人だよね~ダルさん評価が上がる上がる。
いや、それよりも今聞き捨てならない名前が出たよ。しかもスルッと。
いやいやいやそれちょっと待ってよ。その情報大事じゃね? それ先に言おうよ。
ん? まだ全員の術が解けていないし尋問も途中だから取り敢えず全員の聞き取りが終わるまで待ってねって。
そ、そうなの?
そう言われちゃあ従うしかないか。俺はガリレシア伯爵令嬢の名に動揺したが彼女も利用されたかも知れないのだ先ずは冷静になれと自分に言い聞かせることで気持ちを切り替える。
しかし、クレアはどこまで俺の交友関係を掴んでいるのだろうか。
でもこれって俺の事、良く知っている人が絡んでいるよね?
クレアの後ろにいる人物が俺に近い場所にいる‥‥物理的にも地位的にも。
そういうことだよな?
俺が思い詰めて悩んでいる間、ジオルドとダルさん、母さんと護衛達は話し合う、その皆の表情は暗いし空気が重苦しい。
話しを終えた母さんが護衛から手渡されていた書類を取り出し俺にクレアはこの中にいるかどうか確認して欲しいと渡してきた。
中身は複数枚の写真で、写されたこの頃が公爵家にクレアが潜入した時期なのではと。‥…母さんなりに当たりをつけていたわけか。
写り込んでいたのはレティエルの偽装葬儀の写真、勿論、隠し撮り。
うわ~母さん達は至って真面目な表情だけど俺的には浮気の証拠写真ぽくてイヤだな。つい苦虫を嚙み潰したような顔をしたのは仕方ないよね。
うーん? 多分この人かな? 似てるっちゃ似てる女性を見つけたが自信はない。装いと髪型が違うからイマイチ断言できないでいる。その事を正直に母さんに告げ当該人物を指差すと母さんと護衛は得心した顔で間違いないと断言した。ハイデもミリアもこの人物を指したので彼女がクレアなのは間違いないと言う訳だ。
あ~これ、刑事ドラマとかであるやつだよね。この中に犯人はいるか! みたいな。ちょっと逃避しちゃった。
クレアと公爵家の者が接触したのはこの頃で間違いないな。後は個別に接触したか。背後に潜む人物に辿り着けなくて憔悴感が押し寄せてストレス過多になりそう。うううー黒幕教えろーーーー




