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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第六章 狙われた理由
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時間が遡ります。ジオルドがライラを保護した頃になります。

視点は断罪された元側近候補だった子息達です。

「主様のご指示です」


そう言って渡されたのは三通の封書だ。それぞれ名前が記されていた。

…‥我らに与えられた次の命令。


「では何時もの様に中を検めましたら破棄をお願い致します」


我らの元に訪れる使者は毎回言葉が少ない。無駄の無さは美点なのだろうが素っ気ない。命令通りに動いてもあのお方からのお言葉は無い。今日も何時もみたく命令だけだろうと手早く封書の中を見ようと開封しかかった時、女は主様はと言葉を発した。


「皆様のお働きは素晴らしいと主様は仰っています。このまま日陰の身とならせておくには惜しい逸材の者だと嘆かれておいでです。次代を背負う者としての役割を用意しているのでこの仕事はきっちりやり遂げて欲しい、期待していると仰せでございました」


思いもよらぬあのお方からのお褒めの言葉、我らは高揚してしまった。

褒められるのは気分が良い。


「任せて於け、我らはしっかりと役目を果す。そうあのお方にお伝え頂きたい」


「流石は主様の見込んだお方達です。成功の暁には逸れ相応の褒美がございましょう。期待なさっても宜しゅうございますよ」


「ああ、任してくれ。吉報をあのお方と共に待っていてくれクレア殿」






ーーーーーーーーーーー


我等は罠に嵌められ身分を剥奪された。約束された未来を潰された者達だ。

我が主君と崇めた第一王子殿下は王位継承権を剥奪され臣籍降下を余儀なくされ今は蟹居されている。罪人にされなかっただけでもマシだと思えとは陛下のお言葉であったと噂で聞いた。


クリスフォード様も我等も被害者で悪女が使う怪しげな魔術で我らを篭絡し陥れたのだと。その悪女の罪を暴いたかのように見せた公爵令嬢もまた魔力を持つ帝国の手の者だった。我等の国を婚姻で手中に収めようと画策した帝国の犬だ。ザックバイヤーグラヤス公もまた我が国の情報を帝国に売る売国奴だった。高位貴族の身でありながら何とも嘆かわしいではないか。

そうとも知らず我らは公爵に良い様に操られたのだ。

それを聞かされた我らの怒りは推して知るべし。

あのお方はその事実を我らに教えて下さっただけではなく失ったモノを取り戻す機会をもお与えくださった。

今もこうして間接的なやり取りを通じてこの国に蔓延る敵を排除しているのだ。

我等の優秀さを見込んであのお方は頼ってくださる。これこそ臣下の誉れではなかろうか。


あのお方はこの国を帝国の魔の手から救うためあらゆる手を尽くしていると言う。だが陛下が帝国の顔色を窺って強気に出れない。それがそもそもの元凶だ。


この国に魔術を使える者など不要だ、得体の知れない者達など排除すればいい。

陛下は駄目だ。嘆かわしいがこのまま手を拱いていては取り返しのつかない事態になる。それはクリスフォード様や我等への処遇を鑑みても伺える。

罰するのは我等ではなく怪しげな魔術を使う輩ではないか。我等は被害者なのだ。それが何故理解できないのだ。


我等の父君も一度は陛下に従った。だが水面下で我らを支えてくれている。

時が来るまでの辛抱だ、お前に課せられた大役を全うするのだと期待された身。

決行される日を今か今かと待ち侘びていたのだ。


漸くその日が訪れる。

我等の国に魔力を持つ者など要らぬ。

隠されているが陛下は魔力を扱える、両王子殿下(第二第三)もそうだ。

この国の神殿の者は魔術を嫌う。アレは世に不穏な種まく存在であると厭う。


あのお方は正しい形にすべきだと立ち上がられた。

あのお方も魔力を扱うものに虐げられ王族から追い出されたと言う。

この国の未来を憂いて、前途ある若者の摘まれた芽を嘆き悲しんで、我らに手を差し述べられた。そう我らはあのお方の手足となってこの国を正しき姿に導くのだ。それが我らの使命であり正義なのだ。


漸く時が来た。


次代の王を迎え入れる時が来た。


我等は悪しき元凶を打つ。輝かしい未来の為に‥…

我等の忠誠はあのお方…‥王弟にして次代の王となるお方。

ジオルド・ドクタードビリオス公爵閣下、彼の方こそ我らの主君に相応しい。


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