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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第五章 もうゲームとは別物です。

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過去ー1

熟考していたジオルド。乳母を母とした確証は無いのだが可能性の一つとして挙げてみることにした。



「もしエリックが乳母を実母と思っていたのなら。実の両親を知ったのが何時か分からないが少なくとも子供の頃は知らなかったと思うよ。それで、彼を引き取ったのは? エリックの禍根は、この乳母の境遇ではないのかい。何も聞いていないのか? アドルフ」



先程迄の王族然が消滅していた。

普段のジオルドに戻っていた。どうやら先代国王の話は終わったようだ。

相変わらず切り替えの早い奴だと公爵‥‥アドルフは苦笑した。

だが、ジオルドは王の話をしながらエリックの禍根について思考していたのだ。それに気が付いたアドルフは相変わらずの彼の態度を苦笑いで誤魔化した。


ジオルドの推察。アドルフも思い当たる節があったのか。彼は言う。

「我が父上が未婚の母親が流行り病で死んだので引き取った。としか知らん。実父は調べても不明だったと記憶する。それで何故親の敵とされたのかは全く分らん」

やはりアドルフは理解出来ないでいた。

カレンシアは自分が帝国に帰国した後の話になるので苦言は控えていた。


ジオルドも不可解さが増すだけだが人の感情は計り知れん。どこかで拗れたのだろうかと思い直すも、やはり何かに引っかかる。

エリックは親の仇と言っていたと聞く。それならば乳母ではないのか?

乳母の死因が公爵家に関係したならば腑に落ちるのだ。

まさか父親の敵討ちを狙っているのか。であれば尚更公爵家に絡むのはおかしな話だ。だが公爵家を邪魔に思う輩の暗躍ならば‥‥。

ジオルドはもう一人の存在を思い出した。どう考えても親の敵ではないのだが。

成程、唆した者がいるのか。




アドルフは当時を思い出す。

「あれは確か流行り病の罹患者が国内で増加した後…‥ああ、そうだ。思い出したぞ。カレンシア、君が罹った頃だ」


「えっ、その頃でしたの? あの時わたくしティに助けられましたね」

カレンシアはその頃を思い出しているのだろう。目元が優しい。


「‥…それ、どういうことかい? カレンシア。詳しく教えてよ」

ジオルドが何かに気が付いたのだろうか。アドルフは嫌な気がした。出来れば娘の話は避けたいのだが、ジオルドなら容赦なく追及するかと諦めた。


「そう聞かれても困るわ。別段おかしなことはなかった筈よ。でもそうねえ、あの子が魔力に目覚めた時期でもあったわね。わたくしの病を治したいって泣きながら縋って来たのよ」


カレンシアは母親の顔で話を続ける。

「あの頃のわたくしは、諦めてティに会わないようにしていたの。感染が恐ろしくて部屋に籠っていたわ。世を儚んでいたかしら」

カレンシアはクスっと笑ってアドルフを見つめた。彼もその当時を思い出したのだろう。一瞬眉間に皺をよせ苦痛の表情をした。


「ティが自分の魔力ならわたくしを助けられるからって聞き分けのないことを言って‥…。でも本当に助かったのよ。あの子のお陰で」


ジオルドは何か言いたげだ。

だがアドルフとしては優先するは我が家に齎す人災の根を断ち切ることだ。例え

エリックの親の敵であってもそれは些末な事だ。仇名すのなら排除するだけだ。



「その話、他に知っている者はいるのか?」ジオルドが気に掛かっただろう。


「あの頃の侍女かしら。ああ、グレインもいたわ。ティは彼女のことを忘れていたけど彼女からも魔力の扱いを習ったのよ。帝国出身の侍女達はわたくしと共に帰国に至ったわ。だけど先代から仕えていた侍女はそのまま残ったはずよ? そういえばあの時の彼女は見ないわね。退職したのかしら」


「それは誰のことだ? 私ではわからぬ。家令に聞いてみなければな」


アドルフは家令のじいやに当時の使用人達の記録を取りに行かせた。


お読み下さりありがとうございます。


体調不良でなかなか更新できませんでした。再開いたしましたので引き続きお読みいただけると嬉しです。更新頻度が遅くて申し訳ないです。不定期更新ですが宜しくお願いします。

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