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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第五章 もうゲームとは別物です。

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王族の醜聞

本日、ジャンル設定を恋愛からハイファンタジーに変更致しました。

今更で申し訳ございません。

初めの設定での選択ミスでした。

すみません。ずっとファンタジーだと思っておりまして気付くのが今になってしまいました。

恋愛ジャンルでお読み下さった方々には大変申し訳なく思い初歩的ミスに反省しております。




「エリックを出産した後、乳母役に彼を託し離宮から去らせた。その際の経緯は不明だが何より彼は忌み子だとして母上が嫌悪を露にしたのが原因だろう。母上は守護神のご加護を異常に信じるお方だったからな。反する行いは耐え難かったと推察するしかない。しかし彼女にしてみれば、例え忌み子であっても自身の腹を痛めて産んだ子だ。愛着があったのだろう。その赤子を取り上げられたのだ、本人の悲嘆はさぞやだろう。父親となる国王からの愛も無く誰にも顧みられず離宮に監禁だ。心身ともに疲労していたのだろう。これは母上の見解だが、赤子を取り上げられたことで彼女は絶望し精神が破綻したと。彼女は縋る存在が無くなったのだ」


公爵達は無言だ。自分達へのエリックの禍根を探り乍、話を聞くしかない。そんな二人に構うことなくジオルドは話を続けた。



「ギリギリ繋ぎ止めていた彼女の心が打ち砕かれたのは、兄上と彼女の姉との婚姻が決まった時か。王命で決まった婚姻だ、恐らく二女に対する詫びのつもりだろう。それが決定打となって自死を望んだ。父上…陛下を道連れに…無理心中を謀った」


公爵達は彼女の死の真相が先代国王の悪行からかと苦い想いだ。

無理心中と体のいい言葉で誤魔化しているが実際は彼女が王を討ったのだ。何故、寵愛の無い女が容易く王の側に近付けたのだ? 護衛が常だろう。

作為的なものを感じ胸にはずっしりと違和感が浮かぶ。


「身辺警護の騎士もだが侍女たちは‥‥」思わず言葉が漏れ出た。


「其方も注視するは同じだな。私も彼女は利用されただけだと思う。自死の少し前には既に彼女の心は死んでいたと聞く。その様な者が人を殺めれるだろうか」


ジオルドの言わんとすることは私も同じだな。フッとお互い似た者と昔、誰かに揶揄われたことを公爵は思い出した。

揶揄った人物は今も自分の横に立つ人だがな。と公爵はカレンシアを見た。


ジオルドは続ける。

「当時の内政や国際状況を鑑みても隠蔽策が最適だったのだろう。だが父上を殺めた下手人は別にいたと私は判断している。父の死後比較的速やかに兄上の即位が行われた。そして真相を解明すべきだと言う声は上がらんだな」


これは王家と主幹家臣がグルであれば容易だろう。公爵は嘆息した。

思いがけない藪を突いてしまったと。

これ以上ジオルドの話は危険を含む。

公爵は思う。この男、我らを巻き込む気だと。



ジオルドは容赦なく推察を述べる。

「本来、王座に最も遠い者が凶行で奪い取ったのだ」


一体何を‥‥公爵は段々と恐ろしくなりカレンシアに視線を向けた。

意外にもカレンシアは冷静だ。まるで事実を知っているかのようだ。

公爵は不思議に感じて彼女を見詰めてしまった。


ジオルドは公爵の心境を感じ取ったのか、一旦話を止めて茶を所望した。

序でこの家の家令を呼びつけた。



カレンシアがお茶を点てジオルドを持て成した。

今更だなと公爵が呟きジオルドは苦笑して飲茶を楽しんでいた。



公爵は機を見てジオルドに問うた。


「下手人が誰であろうともこの事実が公に出るのは不味い。連座処分となる貴族がどれ程いるのか。内政の弱体化は避けるべきだろう。隣国が怪しい動きをしている今、外部に漏れれば大事になるぞ。国難を招くつもりか。本当にこれ以上の追求は必要か。我らはエリックだけに注視すべきではないのか」



ジオルドは黙して茶を飲んでいる。

そして、不敵な笑みを浮かべ口を開いた。


「既知の父上の死は虚偽であることは理解したな。公布された死因は激務の末の急死だったか。フン、笑えるわ。実際は痴情の縺れから殺されたと偽装された上に身内の裏切りだ」


「父上の葬儀から半月後に彼女は流行り病で病死したとの届け出だ。この隠蔽の関与者は我が母上と現王妃と伯爵だろう。後は其方の父君か。その報酬に其方等の婚姻が許可されたのだ。当時の国際情勢を思い出せば取り交わされた密約が伺い知れるだろう」


公爵はグッと息を呑み込んだ。カレンシアも同様に。まさか自分達の婚姻の裏事情が隠蔽工作の見返りだったとは。臭い物に蓋をする、が実は知らぬが仏であったのか。


ここまでくれば公爵もジオルドの落し所がどこにあるのか予想出来ない。

このままジオルドの意の儘は避けたい。だが真実に目を背けるにはまだ自分は若すぎる。似合わない正義感など振り翳す気は更々無いが忠誠心は人並みに備わっている。自身の気持ちに折り合いを付けるのが先決か。公爵は自笑した。



これから先は公爵家どころか国に関わる。

腹を括る覚悟が要るな。公爵は余計な問題をぶら提げて訪れた来賓を恨めしく思った。



‥‥それで、肝心のエリックの親の敵とは一体誰を指すのか。

問題が解決されていないことに嘆息が尽きない公爵だった。

いつもお読み下さりありがとうございます。


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