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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第四章 新たな攻略対象者 隠れたままでいて欲しかった。

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火中の栗

「えっ? エリックが連れ去られた?」


深夜にハイデさんから緊急だと起こされ、その報を聞いた。


今日‥‥日付が変わったから昨日か。

医者の元に急患が運び込まれ、そいつらが手の者だったようだ。

監視役を昏倒させ連れ去った。


『エリックを殺さずに連れ去った』


捨て駒ではなかった。いや、まだ使い道があるから確保したのか。

エリックはただの駒では、なかったのか。

実行犯だったから、てっきり捨て駒と思っていたわ。


うわーーーー。めんどくせぇ。

さっさと身柄確保しておくべきだった。

油断ならない奴だと思ってこちらで確保しなかったのが裏目に出たわ。

俺は頭を掻き毟りたいのを堪え、内心で唸っていた。


はぁ、いなくなったもんは仕方ない。

このセーフティハウスを知られていないのが幸いと思うことにしよう。


ハイデさんも気持ちを切り替えて、お仕事頼みますね。







エリックの調査書。


朝食後に読んでます。


エリックの名前は、ただのエリックだ。家名なし、平民扱いか。

資料では、先代公爵家当主(親父の父親、故人だけど)がどこかの貴族家から連れてきた男児。

両親の情報は秘匿扱いなのか不明。

養育のための引き取りで、公爵家に養子に入ることは不可となっていた。


じいちゃん、子供を拾って来たの?

どう考えても厄介な案件だよね。


‥‥まさか、じいちゃん、弱み握られた?

それとも旨味があったの?



両親の情報を隠してまで引き取る必要があったのか。

どうして我が家だったんだ。

どう考えても認知されてないよね。

こいつ、忌み子じゃね?

じいちゃん、なんで引き取ったんだ?




『忌み子』


これは、この国の信仰に関係する。

この国では守護神の祝福を受けて婚姻関係が成立する。

そうそれが、幸多く、繁栄をもたらすからだ。

産まれた子は神に守られながら成長するわけだ。

普通なら我が子の幸せを望むだろう。

特に、王族や高位貴族は儀式を重んじる傾向が強い。


神からの祝福。


神殿の者に儀式を執り行ってもらわないと、守護神からの祝福はない。

信仰が無ければそれがどうした、で終わる話だがこの国では違う。

守護神の祝福は絶対だ。

与えられるはずの守護を受け取らないなんてこの国の者にしてみれば信じられない、背信行為に値する。


それに祝福がないとなればそれは公に出来ない関係、不義などを指す。

神に背く意味に取られてしまう。

神殿側からすれば許せない行為だ。

この国では神殿の権力は大きい。

王族貴族は、そいつらから疎まれるのは避けたいと誰しも思う。


そして、祝福されずに生まれた子は忌み子と、忌避される。

地域によっては迫害対象だ。



何故、祝福がないと阻害されるのか‥‥聞いた話だが祝福なしから生まれた子供は不幸を招くと言い伝えられている。守護されず、あらゆる不幸を招くと忌避されるんだ。要は禁忌扱いなわけだ。

まあ、忌み子は副産物とは思う。

信じさせたい側と信じる側の思惑がどこかで一致したのかもな。

神殿側は信者の確保に信者側は守られると心の安寧を得られるわけだ。

それがどうとかは俺は思わない。

信じる信じないは個人の自由だと俺は思っている。


以前の俺は全く信じていなかったが、今なら神様っているんじゃないかとも思っている。

俺は婚姻無効の儀式で、あの神秘な現象を見たし、何より自分の直感が信じるに値すると告げる。


それに、実際エリックを引き取って育てた公爵家は甚大な被害を被った。

まさに不幸を招いたわ。

なるほどねえ。



で、そんな忌み子を預からなければならない状況って。

どう考えても権力のゴリ押しだろう?


じいちゃん。巻き込まれたの?

それとも火中の栗を拾いに?


一体、エリックは誰の子なんだ‥‥。




今回の騒動の背景はエリックと公爵家との何らかの因縁があるからだ。

これはエリックを子供のころから知る人物に聞くしかないか‥…。




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