これから
つ、疲れたーーーー。
ミリアの相手がこんなにも疲れるとは思わなかった。
彼女の旺盛なやる気に、ドン引きしたがそこは頼もしい味方が出来たと思うことにしよう。その方が精神的に良い。
当の彼女には、関係各所に通達して貰っている。
彼女が戻ってきたら一緒に隠れ家に移動することにした。
主に義兄の専属が利用している隠れ家を今回活動拠点にして情報収集を行っているんだって。
王都や他領にも公爵家の諜報員が使うセーフティハウスはあるらしい。常任がいるので彼等から情報を得るよう指示をした。
彼女から聞いた話だけでも何があったのか大体わかったが全体像を掴むにはまだ足りないものがある。両親と義兄からも話を聞きたいのだが彼らは監視されてるだろう。悔しいが今は手が出せない。
もどかしさで誰かに奴当たりしたくなるわ。
ガリレシアの伝手を使って周囲の状況を探ってもらうよう依頼した。公爵家にない伝手があるだろう。その中にはジオルド閣下とメモ書きにあった商会の調査も含まれている。何か掴めたらいいのに。
漸くミリアの帰宅だ。
どうやら連絡はついたみたい。良かった。
それと数人の仲間も連れてきた? 外で待たせているのか。
では早速移動しよう。
世話になったガリレシアには感謝してもしきれないな。
レティエルを信じてくれてありがとう。
ガリレシアが困った時はいくらでも手を貸そう。掛け替えのない友達だ。
何時までもレティエルと仲良くしてね。
しんみりとした雰囲気で俺達は伯爵邸を後にした。
俺は感傷に浸りながら馬車の揺られ目的の家に向かっていた。
‥‥いたのだが。
車中で、ミリアがとんでもないことサラリと言いやがった。
はっ? ミリア、今なんて?
エリックが逃げないよう足の骨、折ったの? しかも両方って。
「念には念を入れました。今、仲間に自白剤を用意させております。帝国産ですので効果はバッチシ保証付きです。ご安心ください。副作用が酷いのが玉に瑕ですが裏切り者ですから、そこはまあ宜しいかと」
「‥…そうですか‥‥ご苦労様でした」
取り敢えず、働きには労いを‥‥。
(ちょっとちょっと何やってんのーーー?! 安心って?! そんな笑顔で言われても物騒過ぎて安心できないって!)
ツッコミたいのに動揺しすぎてスルーしちゃった。
副作用‥‥については知らない方が良いよね。
世の中知らない方が幸せなことはあるんだ。うん。俺は幸せでいたいから聞かないよ。聞きたくないな。
‥‥それより足折ったんだ。それ必要だった?
‥‥あ、イラついてたの俺だけじゃなかったね。うん。部下のストレス管理も大事だね。それだけで済んだのだから良しとしようか…。
ほ、他には何もしてないよね?
ちょっと、ちょっと。目を逸らしたのは何でかな。
エリック‥‥命があるだけ恩の字か。
感傷に浸ってのお別れが台無しだ‥…。
お読み下さりありがとうございます。