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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第四章 新たな攻略対象者 隠れたままでいて欲しかった。
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推理しても

隠れキャラことエリックは直ぐに何事もなかったように表情を変え、俺に義兄を頼りにしているのですねと見当違いなことを聞いてきた。


いやいや違うから! 拉致犯(疑惑)なんて頼るかよ。


受け答えに悩むわ。

こいつ的には身バレしていないと踏んでるんだろう。

なら下手なことは言えねえ。

ぐおおおおおお。イラつく。


俺が振る舞いを決め兼ねて黙り込んでいるのを意気消沈していると勘違いしたようだ。


「ふっ、お嬢様ご安心ください。貴女に無体を働く狼藉者はここにはおりません。ただし俺の意にそぐわない言動は控えて貰います」


こいつの態度はどこか慇懃無礼だ。嫌な感じ。


それよりも‥‥


「貴方はわたくしの身分を知っていてこのようなことを? このような無礼を父や母は存じているのかしら?」


母さんの身の上が心配だが不用意に情報は洩らせない。たとえ義兄関係者でもな! 兎に角、僅かでもいい、情報が欲しい。


「‥…お嬢様は何も知らなくてよいのです。‥‥‥後ほど貴女の身の回りの世話をする者を連れて参ります。それまでは不自由でしょうがご了承ください。失礼いたします」


俺に何も教えたくないのかエリックは答えをはぐらかして部屋を出て行った。俺は失意に呑まれそうだ。


それにしても俺、埒られ過ぎね? しかも身内に(疑惑)

はー。それよか母さんだ。せめて安否を知りたい‥…。


俺がもやもやしているうちにエリックが侍女を伴って部屋に来た。


その侍女は俺の知らない顔。

ふとグレインさんのことが気になった。


「あの、影さん。わたくしと一緒にいた侍女はどうなりましたか」


「‥‥…貴女が気にかけることなどありませんが敢えて言えば無事です」


‥‥敢えて言えば? 含みのある言い方だな。


「それはどういう意味ですの。まるで何かがあるような言い方ですわね」


「ふっ、そうでしょうね。貴女と最後にいたのがあの女だ」


「‥…その言い方ですとわたくしは公爵家の者が知らない場所に連れて行かれたと言うことでしょうか。そして彼女は公爵家にいる‥‥」


「さあどうでしょう。‥‥無駄話はここまでです。お休みくださいお嬢様」


ちっ! こいつは教えない気だな。


エリックは不敵な笑みを浮かべながら退出した。



侍女が控え目にお茶を用意しましょうかと尋ねて来た。

俺は悠長にお茶なんか飲む気になれなかったが、今はこの侍女から情報が得られないか探ることにした。取り敢えず彼女に聞いてみよう。


「貴女は知っていて? わたくし一体どうしてここにいるのかしら」


「わたくしは何も存じ上げません。ただお嬢様の身の回りのお世話をするよう言い遣っただけでございます」


「そう。それなら貴女に依頼したのはどなたかしら」


じっと侍女の顔を見つめるが彼女は無表情で佇んでいる。まるで人形のようだ。こわ~



公爵家に出入り可能な者の身元は親族併せてしっかりと調査されている。雇うとなれば身元保証人の紹介状が必要だ。ほいほいと雇用などしない。

これはどこの高位貴族でも同じだ。スパイを入れかねないからな。


そう考えるとグレインさんは?

母さんの専属侍女だから身元は調査済みだろう。


帝国からこの国に来てまで俺を埒る動機は何だ? 犯人が帝国側だったら帝国に入国してから犯行に及んだ方が確実だろう。他国でやるなんてリスクが大きいぞ。だったら犯人は国内の者か。


でもそれだと俺は死亡扱いだ。それこそ俺の生存を知っている者になる。

なら第二王子か? 王子が俺を埒らせる理由は何だ。

あの王子なら俺に帝国貴族籍があるのを知っているだろう。

俺の身に何かあれば一応皇族の血筋でもあるからリスクが半端なく大きいぞ。帝国(祖父)にバレたら報復が怖いわ。多分、王国乗っ取る気で攻めるだろうな。手段は知らないよ?


それよか、母さんの行方が分からなくなったのと関係あるとみるべきか。

それとも別口? どさくさ紛れにしては準備が整いすぎだ。

前から計画していたと思うべきだな。


グレインさん、母さんの身に何かあったから俺に魔術具を作動させたんだろう。だとするとグレインさんは母さんの身に何か起こるって知っていた?

若しくはもしもの場合を考えて事前に母さんと打ち合わせをしていた?

それだと母さんも危険を承知していたことになる。

一体何に巻き込まれているんだ俺達。あ~あ~わからんっ!


俺が内心で頭を搔き毟るほど苛立っていたら侍女さんがお茶を出してくれた。気持ちが安らぐハーブティだそうだ。


あー美味い。


俺疲れてるわー

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