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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第三章 攻略対象三人目 第二王子は曲者です。取扱い注意。
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レティエルと第二王子

レティエルと第二王子です。

第二王子の来訪です。

「やあ。ご機嫌いかがかな。レティエル」


ニコニコと俺の前で愛想笑いをしていやがるこいつこと第二王子。


高級お菓子を手土産にフラッと来やがった。勿論お菓子は貰った。当たり前だ。


「ご機嫌麗しゅうございます。ランフォード第二王子殿下。本日はどのような御用でございますか。生憎、父も母も義兄も不在です。王子殿下が家人不在の邸宅に訪問は如何なものかと」


ほんと、誰もいないのに、こいつ何しに来やがった?


ジッと俺を見る王子の目が気持ち悪い。

何というのか獲物を見る猛禽のような…って俺猛禽じゃないから知らんけど。

ああ嫌だ。俺の背中にはじっとりとした嫌な汗が。不快だ。着心地も居心地も悪い。多分俺は無意識に顔に出していたんだろう。不愉快さを。


王子はさして気にも留めない様子で俺に語り掛ける。


「ふふ。貴女にお土産話はどうかと思って来たのです。帝国のこと聞きたくありませんか。と言っても私に話せるのは学院の内情ぐらいでしょう。興味はありませんか?」


う、興味がないと言えば嘘になる。

俺は帝国で学院に通う予定だ。近々の情報は欲しいところだ。

最終学年に転入になるはずだから、俺はバッチリ続編のキャラ達と学年が被るのだ。俺は奴等とは関わらず、目立たずに魔法の習得を目指すことを目標に転入するのだが、こいつはどうなんだ?



‥…成程。

兄に代わって実質の第一王子か。そういや~彼奴、廃嫡だっけ。

それで留学を断念して帰国したのか。う? ならこいつとはもう会わなくないか? 

俺このまま帝国に行けば良くね?


もう第二王子ルート回避してんじゃん! なんだ心配して損した。

あービビらすなよな~お前も人が悪い。


心底安堵した。


それからは気分よく王子との会話を楽しんだ。


あー、こいつ話し易い。良い奴じゃん。攻略対象ってだけで寄せ付けなかったのは悪かったな。俺達いい関係築けるかも。


学院の授業やらイベントやら食堂のメニューとかまで。

意外だったのがこいつが魔法について詳しかったことだ。

俺はすっかり聞き上手話し上手のこいつに油断してしまった。


「そうそうご存じですか。 学院の魔法科に新しい学科が設けられました。既存の授業では座学は魔力のない者でも受講が許されていました。ですがこの度、新設された科は魔力持ちではないと受講できないのです。魔力特化型の授業のようです。授業内容はまだ不明ですが、生徒達の間で専らこの話で盛り上がっていました。残念な事に私は受講資格がありません。ですが貴女には資格があります。このように皆が注目している授業です。勿論、貴女も受講されますね?」


興味をそそる話だ。だが、その手には引っかからないぞ!

ヌハハハー。残念だったな第二王子!


「あら? 王子殿下それは無理でございましょう。魔力保持者だけの授業ですわよね? わたくし魔力など持っておりませんわ」二ヤリ。


「おや? そうでしたか。これはこれは私としたことが。失礼しましたねレティエル。貴女は幼少の頃からチョーカーを離さず着けておられる。てっきりそれは魔封じの器具だと思ったのですよ」


な、なんだとー!

意外な盲点。ってかお前よく気が付いたな?! 


「おお…王子殿下‥…。これは装飾品でございます。わたくしこの手の飾りが好みでして。つい気に入った物に執着してしまうのです。良くはないと思うのですがこればかりは‥…公爵家の娘として恥じ入るばかりですわ」


内心俺はドキドキしている。


王子は不敵な笑みを浮かべたままだ。

何か嫌な予感する‥…。


「そうですか。貴女がそれ程までに執着をする装飾品。確かに素晴らし品と見えます。ふうむ。素敵な飾りも付いていて、私も興味が湧きました。それを見せて下さい」


王子はニコニコ‥‥ではないわ。ニタついた笑顔で手を伸ばす。


うぉーーー! これって断れねえじゃん! 断ったら不敬だよな!


後ろに控えていた侍女にチョーカーを外してもらい俺は思惑の分からない王子に渋々チョーカーを手渡した。


チョーカー見て分かるのか? 魔力のない者が見てもただのチョーカーにしか見えないって親父言ってたし。バレないよな‥…


「ふむ‥…。石を嵌め込んだ金具の意匠がとても素晴らしいです。見事な細工ではありませんか。製作者は王国の者ではありませんね。帝国の者でしょうか」


ふむふむと観察する目を外さずに王子は‥…


「これは魔石ですね。しかもとても貴重な種類です。やはり魔封じでしたか」


確信した王子の声がやけに俺の耳に付いた。



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