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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第十四章 王が住まう場所
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義兄の独り言は物騒極まりない


湖畔の周辺を斥候して来いと、ミリアをシッシと追い出した義兄。


あ・・・これはあれだな。聞かれちゃまずい話する流れだね?


へいへい、どんな内容を聞か・・・ひゃ!


傾聴モードの俺が、義兄の責めるような目で見つめられてタジタジ。圧が怖い。力強い眼差しは有耶無耶にさせない意志の強さの表れか。圧倒された。


おおぅ、これ、尋問されちゃう?


「さあ、レティ。包み隠さず話してくれるよね?」


・・・あい。



レティエルが魔力で他人を操れる(物理で)術を隠し持ってた件。


うぬぬ、隠してないよー濡れ衣だよ?


「か、隠してたのではなくて、その、忘れてたの。えーと、あれは術とかではなくて、ただ魔力をぶつけて、嫌がらs・・・えーとえーと、エリックならチョロぃ・・・ゲフンゲフン、魔力でなら対抗できると思って、その・・・。でも、エリック(魔力)との()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()気がして、これ、動かせるかも~って、つい出来心で・・・もしかして、いけないこt ヒィッ!!」


あ、悪魔だ、悪魔が来りて、ニヒルに嗤ってる。ひゃー半笑い。半笑いで見下ろさないでー!

たまに見せるその悪魔面は、頼もしいけど、俺に向けちゃダメ。


「・・・・・・・・・はぁ。レティは困った子だね? ふふ、見えない糸で繋がってるだなんて。そんな質の悪い冗談をどこで覚えたのかな? ふふ、そうやって誤解を招く言い方をするのは、私を試したいからかな? ふふふ。悪いのは、恩を仇で返したエリックだよ? 大丈夫、ちゃんと懲らしめるから。ああ、レティの趣味は不殺だったね。ふふ、問題ないよ。アレは、いつまでもいつまでもいつまでも()()()()よう調整して、長生きさせるから」


のおおおおーーー!! ちがーうーーー!!



必死な言い訳が功を奏して、義兄のご機嫌は治った。もう懲り懲りだ。軽はずみな発言はやめ・・・うん、善処します。




「それにしても流石はレティだね。非凡な才の持ち主だと理解していても、改めて目にすると、ふふ、敬愛の念を抱くよ。新たな能力の開花とは。素晴らしい。これほど喜ばしいことはないね」

「え? あ、ふふ、嬉しいですわ!」


えへへ、そんなに褒めると、調子に乗っちゃうよ? 能力の開花だって! 

むふー、褒められるのって大好き。




満更でも、ううん、有頂天だった俺に引導を渡したのは、口から零れた義兄の腹黒い思考。駄々洩れやん! 言葉の凶弾に被弾した俺のメンタルは、もう瀕死。


「相手の意識を刈り取って肉体を乗っ取る能力。一撃で昏倒となれば、成す術がないわけか。ふむ、ダルの進言通り複数を同時に操る技能を身に着ければ、同士討ちも容易い。成るほどそれなら・・・魔石化前であれば死体でもいける? 朽ちるまで無駄なく。ふふこれこそ、死してなお最期の一撃を食らわせる、武人の本懐でしょう。・・・ならば人外も、魔獣を使役・・・この場合は操るわけですが」


いやいやいや。発想が物騒すぎてドン引きだよ。

ネクロマンサーにも、魔獣のテイマーもごめん被る。レティエルが目指すのは魔女っ娘だよ?





義兄の一人語りは、衰えを見せず。寧ろ、ノリがいい。


「一撃で昏倒させる威力を、魔力で生み出す? 成程。益々興味深いですね。魔力を発動に欠かせない触媒の魔道具を使用せず、局所集結を行い、それを標的に当てるとは。それも無詠唱? ・・・かめは詠唱でないのならやはり無詠唱。おかしい、ありえない、指向を定める術式もなく狙い撃ちなど・・・・どのような計算を・・・・・・魔力の軌道は・・・・。精神干渉の類なら闇の魔力・・・いえ、意識のない人間を操るのは、もう別系統でしょう。・・・どうすれば・・・・・・・・親和性の・・・ふむ、人口魔石なら、ああ、その前に(肉体)を操作させるに必要な術式と・・・それに良導体を・・・・・」


ごめん、何て? 


同じ言語を喋るのに、この意味不明感。これ、まだ続くの?


「新たな技術(魔道具)開発に非常に参考になりますね。意識のない相手だと闇系統の魔力を持たずとも干渉が可能? そうですね、肉体が動けば事足るのです。精神干渉も不要だとは。ふふ、面白いではありませんか。基本動作と殺法の術式を構築してしまえば素人でも問題ありませんね」


いえ、問題だらけです、お兄ちゃんの頭と情緒が。







思う存分、熟考したからか。大変、ご満悦な義兄が結界の外を舞う飛伝に気付いた模様。目敏い。

この結界、性能が良くて外からの魔力を遮断しちゃうから、結界から外に出てメッセージを確認しなきゃいけない。・・・結界の意味ないよね?



『ダルです。敷地内を捜索。馬も馬車も見当たらず、使用人すらおりません。所々に魔法陣が設置されていますが、防犯装置とも違うようです』


「え? どういうこと? ねえ、お義兄様、研究所はここで間違いないのよね?」

「この場所に間違いないよ。ミリアと合流したでしょ?」


あ、だよね。


『ミリアです。異常ありません。今から戻ります』


良かった。

あとは、ライオネルか。




「お義兄様。ライオネルは、遅いですね」


義兄も、ちょっと引っ掛かるのか、渋い顔してる。


「侵入前後に報告が入るのだけれど、手こずっているのかな?」

「ハイデも未だですわ。状況的に難しいのでしょうが、こうしてジッと待つのは辛いです。お義兄様」


やっぱ、ドローン欲しい。


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