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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第十三章

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朝の一時

「お家に帰ろ」

「ダメだよ」


秒で却下されたよ。くすん。




お祖父ちゃんの衝撃的な話を聞いて、正直、思考も気持ちもおいつかなかった。

うん、いっぱいいっぱい。

時間が経った今なら両親の話も聞いた上で今後を決めたいと思える。ちょっと冷静になれたかな。

先ずは、お家に帰ろう。帰って両親と相談しよう。

あ、でも属国云々って、バラしちゃっていいの?

それなら血の盟約を解いてからだよね? 練習ナシのぶっつけ本番になっちゃうけど、まあいけるでしょ。

と、目下の目標を定めて早速義兄にお家に帰ろうと誘ったのだが‥‥。






朝食後の一時。

お茶を飲みながら近況報告の時間に充てた。


「城内を探らせた部下の話では、公爵夫妻は相次ぐ家族の不幸で心労が重なり体調を崩していたが、両殿下のご来訪を知り王国臣下として接待役を買って出たと噂されているらしい。ふふ、滑稽な話だよ。まぁ両殿下と義祖父様もいらっしゃるのに、義母上が挨拶に登城しないのは不審を招くと判断したのだろうね。義父上は逆らえないのをいいことに厚顔無恥とは国王を表す言葉だね」


実はお城にいるお祖父ちゃんは替え玉さん。本人は姿を晦ませてたって。探らせたミリアが確認した。序でに捕縛していた傭兵ぽい怪しい領兵も揃って姿を消していたそうだ。


え? そんなの捕まえていたの?! そっちに驚いた。

俺の知らない所でいろいろやってんだよねー。遠い目になっちゃう。



「随分と都合のいい話になってたのね…‥好い様に使われてるわ」

「癪だけどね。でも皮肉にも監禁状態だった義父上が登城したことで憶測が鳴りを潜めたからね。面会を求めていた貴族もこれ幸いと近付いているらしい」

「それは良かったのかしら。でも、そろそろ囮役を返上して欲しいわ」


帝国ご一行さまさまで。我が家の待遇が大きく変化していた。良かったと素直に喜べないのは理由が理由だから。さっさと開放して欲しいよ。

しかし、あの王様、公爵を不幸のあった夫妻に仕立て、その上で城に呼び出したのか。酷いな。

まあ、妥当な策か。

納得してないけどね!



「お義祖父様達のお陰で公爵家は助かったかも知れないね。あのまま濡れ衣を着せられ権利を奪われていた可能性も無きにしも非ず、使節団はタイミングが良かったよ」

「‥‥それって潰されていたかも知れないってこと?」

「あくまでも可能性の話だよ? 今のところ目立った動きは見せていないようだけれど水面下ではわからないし」


マジか! いや、可能性の話、でもあり得る。


「でしたら尚の事、早くお父様の契約魔法を解かないと、お祖父様がいつ行動を起こすかわからないのでしょう?」


大丈夫かなー、と気を揉んだのを察したのか、


「公爵四家に科せられた呪縛をお義祖父様は正しくご理解なさったと思うよ」

「え、それって‥‥解かない間は動かないってこと?」

「そうだね、リスクを秤に掛ければ、猶予は与えられたとみていいね。帝国が送り込んだ武力が不明なのが気になるところだけれど‥‥その辺はお義祖父様に委ねる他手立てはないかな」


ううむ、ゲスい皇帝のことだから二案、三案と代替案を用意してそう。


「ふふ、ここは黙って逃がしてくれたお義祖父様を信じたい、かな」

「え? うそ、お祖父様は見逃してくれたの? ‥‥それ、どういうことなの」


手を抜かれていたらしい。お祖父ちゃんが本気で抵抗すれば義兄は斬られて終わってた。退役したとはいえ武神の異名を持つお祖父ちゃんはまだまだ現役軍人に引けを取らない技量持ち。

魔道具や魔法陣を駆使して戦うスタイルの義兄と天分の才を持つ剣鬼のお祖父ちゃんとではレベルが端から違ったそうだ。純粋なる力で押し切られたら力負けするって。うわぁ。


「お祖父様は剣を向けたことについて何か仰ってたの?」

「・・・さあ、特には何も?」


その間が気になる。


「今の王都は警戒態勢が厳重だけど、魔力耐性の低い者が城外を守っているみたいだね。これでは防衛面の脆弱性を晒したようなものだ。城内で事に及ぶよりも城外の方が隙は多い。機会は多くなると思う。そう考えると使節団の予定を掴んでおきたい…‥」


当面、お祖父ちゃんは動かないと希望的観測がほぼだけど、そう信じることにした。

歓迎ムーブの王城では茶会や夜会に狩猟と視察。おもてなしが目白押し。

今は人も金も城に集中してて、警備の隙が生じやすい。


「決行するとすれば城内で?」

「どうだろう。どこも狙い目だけど・・・第二皇女がねぇ、我儘を言い出して公爵領の訪問を希望したそうだよ。他の予定の兼ね合いで帰国の順路に組み込まれると思う。そうなると両親は同行するだろうね」


帝国経路を思えばその方が都合いいのはわかる。

でも、それ・・・。


「そ、それ、仮に道中で何かが起ればお父様の責任になりません?」

「レティを次代の王妃に据え置く計画なら、それは悪手だよ」


現場の責任者とか難癖付けられて処罰されたら元も子もない。

でも、お祖父ちゃんが携わるのなら大丈夫‥‥なのかな。


うう、やっぱりお家に帰りたい。


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