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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲

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良い報告・再現の力

悪食の王は現皇帝のご先祖様だって。へー。悪いけど盗っ人大王にロマンを感じない俺の関心は、薄い。ご先祖様には申し訳ないけど‥‥。ネタでいいかな? ぐらいな気持ちの俺と、担ぎ出される可能性を示唆する義兄とでは、警戒心のレベルが違った。


『且つての帝と同じ能力も持つ皇族の血筋に擦り寄り祭り上げようとする』馬鹿者の存在を仄めかし、注意喚起してくる。


えー、そんな同じ能力ってだけで? 帝国もメンドクサイな。


危険性を頭の片隅に入れておくからこの話は、もういいよね? 

それよりも、さっきから能力者の魔力を奪って魔石にとか、秘匿情報を暴きたいとか、どっかに侵入したいとか。アレコレ犯罪行為を口走る煩くて鬱陶しいジェフリーが気になって。お前は悪ガキか、とデコピンしたい。連打で。



これマジで黙らせなきゃ話が進まんと身を乗り出し…かけた俺の出鼻はくじかれた。犯人は義兄だ。こいつら公爵令嬢の盗っ人スキルを肴に、犯罪談義で花を咲かせだしたのだ。能力の有効性とともに。…ああ駄目だ、この二人は駄目な大人だ。倫理観ぶっ壊れてるよ。


まともな俺はひとり置いてきぼりだよ。



「吸い取った術式(魔力)を、再現の力が保護していると仮定します。何故、保護をするのかは後で。再現の力が、境界を作り内部環境を維持させる。術は魔力の供給があれば効果は持続しますからね。供給源はこの内部環境でしょう。境界を作ることで、内部は、魔力を増殖させて、魔力代謝を行える環境を作り上げた。これが転写を行ったとしても術は途切れない理由です。あくまで仮説ですが」


いきなり説明しだしたよ、おい。


まっーたく、わかりません。

口調の変化も気が付かないほど話に夢中な義兄に面食らう。目が生き生きしてるね? 玩具を与えられた子供のように目を輝かせる。ちょっとレアではなかろうか。つい生温い視線で見つめてしまう。あっ、ごめんなさい、ぜっんぜん話聞いてなかったわ。


「わ~、何度聞いても意味不明~。お嬢様は吸引のたびに再現の力も使っているんですよね? どうしてわざわざそんな面倒を? 俺、それが気になってまして。お嬢様が変だから、の理由でもいいですけどー」

「はあ? そんなわけないでしょ?! ‥‥でも再現は‥‥知らない?」

「えーどうして疑問形? まあいいです。じゃあ、お嬢様は無意識で使っているんですね~」

「固有の能力を二つ有する副作用か、無意識に力を発動させているからか、これは要検証です」

「えー」


うわーめんどくさーーー。


できるからやってるじゃダメなの? 面倒な予感がヒシヒシだよー。




「魔力回路を‥‥いえ…‥、空間? それなら仮想回路を…‥」


俺が面倒で嫌だなと逃げ腰でいると、義兄はブツブツと。え‥‥なに?

暫し呟いていたと思えば、急にジリジリと焦げ付くような熱い視線を向けてきた。


「少々面白い仕上がり具合ですね。これは研究のし甲斐があります」


え?! 変なスイッチが入った?!

好奇な熱視線で俺をロックインしたのは、趣味に走る(魔法術)マッドなサイエンティ(大好きな義兄)スト。


いーやーーー!




振り切れない恐怖で俺のライフはゴッソリ削れた。何この仕打ち、泣きたくなる。

一人ゲンナリな俺の横で、黙り込んでたジェフリーが、何か禄でもない思いつきでも閃いたのか。クリスフォードの顔で、本日一番の笑顔を見せた。


「俺、お嬢様になりたいですっ!!」

「「?!」」


変態だ! ここに変態がいた!! ハイデさーん、駆除薬ちょーだーい。






―――――しばらくお待ちください。



うん、今ね、駄犬(ジェフリー)を躾中なの‥‥勿論、調教師は義兄だよ? 俺は無関係なの。あー紅茶が冷めてるわー。




復活したジェフリーは、恨めしい顔で、複写出来たら魔力奪い放題だったのにと、ブチブチとアホをぬかしている。…飼い主(義兄)さん、調教が足りてないんじゃない? お世話放棄はダメだからね!


そうか、コピーロボ‥‥ごほごほ、んー。複写の能力でも、固有の能力は真似できないんだー、へー。

でも良かった。間違って犯罪者を野に放つ大罪を犯すとこだったわ。もー、飼い主(義兄)さん、ちゃんと首輪着けておいてね? 頼むよ、もう。



面白がってる? 違うんだなこれがーーー。至って真面目だよ? 俺。



「レティ、訓練次第で無意識に発動させる力は制御可能になるからね? これから力の使い方も、学んでいこうか。大丈夫、要は経験不足なだけだよ?」


レティは多才。このままでは宝の持ち腐れだって力説された。魔力効率も悪いって。

おぉぅ‥‥まったく笑っていない笑顔で言われちゃったら‥‥赤べこみたいに頷くしかないよね。

魔法術に向ける熱意のアツアツな義兄が先生役するんだよね、スパルタな未来しか見えないわ。はぁ‥‥。





「若君、御歓談中失礼いたします。あの‥‥先触れが‥‥」


めちゃくちゃ気不味い顔のライオネルが、来客の予定を告げる。義兄も片眉を上げ不信感を現した。


‥‥え? ここクリスフォードの家だよ? 俺達がいるのを知ってる人? 


一体誰だろう?

いつもお読み下さってありがとうございます。

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