表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲
204/284

【別視点】ー② 

―――概ね予想通り。


報告を聞き終えたランバードの感想だが、気分の良い話ではない。


(公爵家に関わります。レティの意向を確認しないといけませんね)


レティエルの心中を思えば気乗りしない。損な役割だとランバードは溜息を零す。



「それと、閣下の匿われ場所は、王家専用の神殿でしたね」


初めて耳にした王家専用。そんな神殿があったのかと不思議に思った。

それにしても・・・と。あの王家と神殿が考えそうなことは十中八九、禄でもない。人目を憚る神殿は犯罪の温床と化す、いや既に化したか。神殿嫌いのランバードの想像は、酷い。


(冤罪で有罪にした元王族を王家専用の神殿に匿うわけですか。それはどのような場所なのでしょう)


誰を神殿に送り込もうかと、部下の顔ぶれを思い浮かべる。


ジオルド絡み。

ダルが適任だが、彼を派遣すると、ジオルドの囚われ先が帝国軍に代わる。それはそれで困・・・らないと気付く。別にどうなってもいい相手だった。ランバードにとってジオルドの価値は、底辺だ。


(ダルを動かすのに、丁度いい餌ですね)


ジオルドの価値が、ちょっとだけ、上がった。




『判決は終身刑。心神耗弱のため刑が減軽。身柄は指定貴族の領地に護送したと偽装の上、王家専用の神殿に』・・・王家と神殿がグルになって、ジオルドを表舞台から引き摺り下ろした。


(王位継承権のない、悪評の絶えない元王族。閣下の価値はその能力と魔力といったところでしょうか)


疑念を募らすと嫌な予感がする。ランバードは早急に手を打とうと決めた。







一通りの報告が済み、漸く本題だ。



「ギウ、お前に見せたい物があります・・・これに見覚えは?」


ギウに手渡したのは『レティエルが魔力を流した契約書』である。受け取った彼は、驚きで目を見開いた。信じられない物を見たと、表情が雄弁に語っていた。


「・・・若君? 俺の居ない間に、こんな物を手に入れたのですか?」

「知っているのですね?」

「あ・・・いえ、俺の一族が使っていた文字に似ていますが・・・」


食い入るように文字を追う目。その姿を見てランバードは、この男を拾って正解だったとホッとする。

彼の特殊な生い立ちが、まさか役立つとは。世の中わからないものだと気を良くしていた。


(これで契約書の出処が掴めれば、後の仕事が楽になりますね)


この契約書に記された『ランチェスター・グスターファルバ―グ』を炙り出すと決めたランバードは、ギウの話に耳を傾ける。


―――この人物が、帝国の土産に相応しい人物であることを願って。


お読み下さってありがとうございます。

ブクマ、いいね、評価いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ