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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲
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ランチェスター・グスターファルバ―グ


「ランチェスターの名が貴族名簿に無いのなら、隠し子?」

「それだと陛下のご落胤になっちゃいますが、その発想やばくないです?」


・・・うん、やばいわ。


「先代陛下には多くの側妃や愛妾がいらっしゃったが、正妃以外のお子様は事故や病気で亡くなったと公式記録にあるね。真実かどうか怪しいと疑う者もいたようだが神殿が王家側の主張を認めた以上、側妃や愛妾たちの実家は認めざる負えなくてね。まぁ、よくも認めさせたと思うよ? 恐らく先代王妃の手腕だろう」


・・・また、神殿?


「それと、先代陛下は好色王と揶揄されていたからね。だから隠し子の存在は否定できないかな?」

「・・・ですよね~、エリックも好色王の隠し子でしたよね~」


ジェフリーの言葉でエリックを思い出した。いや、影の薄い奴だから、すっかり忘れてたよ。それよりジェフリー、お前って王様揶揄るね。


「・・・若君、そのエリックが、ランチェスターの可能性は? その者、公爵家を裏切りヴァンダイグフ伯爵家に身を寄せていますが・・・第二王子殿下の陣営に下ったと報告を受けています」

「その話は・・・いいでしょう。レティもそんな顔しないで、説明をするからね?」


・・・どんな顔だよ。俺よりもジェフリーの方が可笑しな顔してるぞ? 突っ込まなくていいの?




義兄も最近入手した情報(母さんリーク)を交えて説明してくれるって。


・・・母さん、大人しくしてるよね? うろちょろしてないよね? そっちにドギマギするわ。


先ず、エリックがランチェスターの可能性は半々。もう一度、素性調査するって。

エリックの後ろ盾であるヴァンダイグフ伯爵家当主は、伯父にあたる。祖父の存在が大きいけれど表立った後ろ盾は伯父だそうだ。先代陛下と現王妃と当主の妹にあたる女性との間に生まれたのがエリックだ。


・・・うわぉ、ダークサイドの臭いが。


義兄の配慮でエリックの生い立ちは省略された。

よかったダークサイドの話聞かされなくて。

義兄の侍従兼秘書的な位置で留学先に随行した際、ライムフォードと面識を得たそうだ。ライムフォードも使い勝手のいいエリックをよく利用していたって。


・・・優秀なんだ。ここで駄弁ってる駄犬(ジェフリー)とは違うねぇ。


ちろっと視線を流せば、睨まれた。ちっ、察しの良い奴め。


成程、二人の縁は帝国で深まったのか。えっ? じゃあ義兄ってハブられたの?

つい、二マって表情筋のどっかが緩んだわ。ちっ、また睨まれた。こいつ(ジェフリー)鋭いな。



ライムフォードの陣営に入った経緯は不明だが利害の一致だろう。気心の知れた間柄、殿下側も抵抗なく受け入れたのではないか。と、あっさり語る。


エリックの生い立ちは波乱に満ちている。例え、伯爵当主の養子に迎え入れられたとしても過去が足枷となる。権力者の後ろ盾が無ければ、吹けば飛ぶ程度の身分では貴族社会で爪弾きにされ潰されるのがオチ。恐らく、使い勝手の良さと優秀さを見出した殿下のこと、後ろ盾だと表明程度は問題外。実利を取ったのだろうと分析する義兄は合理的だ。


内政の立て直しに奔走するライムフォードは先代陛下のご落胤の存在を隠したかったか。伯爵家に有利な取り引きをしたと予想できる。


・・・成程。とんだロイヤルのスキャンダルだね。口封じされなくて良かった?ねエリック。



それからと。可能性を考慮する価値があると指摘する。

それは王族との縁組。丁度、ライムフォードには瑕疵の付いた妹姫がいる。

実はこの妹姫、攻略対象者の元婚約者。あのクリスフォードの側近候補であったニコルソンのお相手だった。元王妃派のトヴァイトヘルマン公爵家の次男のことだ。


婚約の破談で評価を下げた第一王女。胸糞悪くなる話ではないか。

相手の不祥事が原因であっても、女性より男性が優位の王国で、性差より王女と臣下の身分差が評価を下げる理由になった。婚約者と言えど臣下である。その婚約者の愚行を御せなかったのは、王女の不手際だと酷評された。ふざけたことを言うなって!



縁付けば、お互いの利になる。これは義兄の予想だ。

側妃の・・・ライムフォードの陣営強化に繋がる。無視して良いことではない。

元々、実兄の政敵の位置にいた人物と側妃の子である王女の縁組は政治的バランスで決まった。

前回同様今回も政治的配慮を持って、王妃の甥であるエリックに白羽の矢が当たってもおかしくない。


・・・そうか、あの断罪イベントで煽りを食ったお姫様だよね。俺の場合はゲームシナリオというアドバンテージで覆せた断罪イベントだけど。お姫様には、分が悪かったね。




それにしてもライムフォードの陣営強化ねぇ。俺の疑問に気が付いた義兄の察知能力は健全だね。


『ライムフォード殿下が派閥の貴族や王宮内に目を向け、動かれた。痛みを伴う改革であった』要は、不適合者やスパイの洗い出し。粛清したんだ。そりゃ陣営の強化を目論むわけだ。


情報漏洩の懸念が付き纏う王宮のテコ入れ。

行なわれた時期は義兄が隣国に赴いている間か収監中だったのか。どちらにしろ義兄は蚊帳の外だった。


多分、この頃って操られたグレイン達がレティエルを拐した時期だよね? 親父達も王都から離れられない状態だったっけ?


王宮内の人事に手を出す機会を伺っていたライムフォード。これ幸いと着手したのだろうと手際の良さを義兄は褒めてた。


・・・この二人の関係も良く分からないんだよね。反目していないし。




「そういえば、隣国に向かう時、エリックを同行させなかったの?」

「私が幾つか仕事を命じていたからね。ひとつに神殿の調査をもあったかな」

「お嬢様、若に随行したのは元帝国人の専属です。魔力が不可欠でしたから。魔力無しのエリックは不向きだったんですよ」


! ジェフリーが真面に喋ってる! あっ、そうじゃなくて。


「そう。ではエリックが祖父と出会ったのはお義兄様が隣国にいた頃?」

「上位貴族が公爵領に訪れる機会があったよね? 怪しまれる事なく接触するには丁度良いし。実際、エリックが祖父であるご老人と会話していた姿は目撃されていたよ」


・・・あっ! 葬儀の時ね! そうかあの時、確かに多くの貴族が来てたわ。そうだ、クレアも紛れ込んでたっけ。


「そういえば、クレアもでしたな。・・・猟犬の我等が掴んだ情報です。クレアの背後に皇室の者がいます。グレイン殿も巻き込まれました。現在、ファーレン家が追っています」

「えっ?!」


・・・ここでまさかのグレイン事件。皇室絡みだったのか! 


「調査中ですので、これ以上の情報はご勘弁を」


嘘っぽいけど。そう言われてしまうとこれ以上追及できない。俺は仕方なくお利口さんになる。

引き続きエリックがランチェスターの可能性がないか話を聞く。


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