表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

199/285

・・・これが?


・・・ん? 聞き間違えかな? クリスフォードが隷属の契約とか聞こえたけど?

えっ? ヴォルグを調べた時に、米俵みたいに担ぎ込まれた人? 確か義兄が足蹴にしてた。ええ? アレがクリスフォードだったの?! うわぁ~。




過去に女で身を崩して、今度は奴隷化。聞かされた現状に正直引いた。


長年の付き合いはあったが、過去の話だ。今更、同情心は湧かない。周囲に踊らされ、再三の忠告を無視しレティエルの慈悲の手を取らなかったのだ。どこに同情の余地がある? 優しいレティエルでもねぇ、仏の顔は三度までだよ? 


とは言え知り合いが奴隷化って。隷属の魔術が解けるなら解いてあげてもいいかな。貸し一つで。でないと、目覚めが悪すぎる。


・・・まぁ、恩は倍返しでいっか。それ決定ね。


だがしかし、僅かな疑問が。

醜聞付き纏うクリスフォードを隷属させてまでの、使い道って? 少なくとも国内ではいないだろう。イマイチ利用価値が見いだせなくて不可解だ。


・・・そういえば囮役って言われてなかった? なのに隷属されちゃったの?


監視対象が、隷属化されてたってこと? それほど王国の警備ってザルなの?!


「レティ、今、あの男の背後関係を洗っているが・・・」


言葉を濁す義兄の悩みは、何と、人手不足だった。どうやら動ける部下が足りないって。だからダルとかギルガとか、協力関係にしたのかな。


この人手不足も元はと言えば、国内に潜り込んだ諜報員を炙り出す目的で公爵家が囮役に抜擢されたからだよね?

えー、これ本当に作戦なの? 囮役って体のいい追い出しじゃないの?

実際、作戦の変更も解決も何の進展もないのだ。怪しい。

『レティ、この件については義母上の采配で動いているからね?』と。こちらも何か企んでいると知れてホッとした。


母さん側も情報収集に勤しんでいて、おまけに離散した俺達と護衛を分けている状態。手駒が分散って痛手だよね。

これって義兄の動きが鈍る理由でもある。お祖父ちゃんも、タッカーソンの一件で手一杯っぽいし。



「お嬢様、情報収集は元より、仲間への連絡も不十分です。もう少し人手があればよいのですが」


ガザの現状不満に、俺も同意だ。義兄は苦々しい表情なのだが、ソレは何に対してなの?


「お義兄様、動かせる人はどれだけいるの?」

「・・・レティ。人数ではなくてね・・・はぁ、仕方ありませんね」


・・・えっ? 何その溜息?






さてさて、頭を悩ませる問題は、義兄にお任せでいいか。

それよりも・・・タイミングを見計らっていたライオネルだよね。


「若君、厳重に密封されていた箱の中身です」


その手には巻物? いや、巻いた用紙が数本が。箱ごと金庫に収められていた如何にも的なソレ。クリスフォードやヴォルグ達の名が記載されていたので、一先ず持ってきたのだと。


・・・おおぅ、優秀な部下がここにいるじゃん。


俺は隠匿された物証を見つけたライオネルの手腕の良さに感嘆し、褒め褒めしてあげたくなった。


仕事ぶりを褒めれば『若君の魔道具のおかげです』と苦笑い。『自分達では見つけられませんでした。まだまだ精進が必要です』と。どこまでも謙遜を忘れない。


うむうむ、謙虚な姿勢は素晴らしいねぇ。俺は追加でパウンドケーキを一切れあげた。うむ。苦しゅうない、頬張っていいよ?



報告を終えたライオネルが満更でもない顔で退室したが、相変わらず同席中のガザ。まだ何かあるのだろうか? 疑問を抱く俺の心中など、誰もお構いなしで真剣に検分中の義兄に視線は集まっている。


眉間の皺寄せ具合が。それだけで好ましくない内容と窺い知れる。


「書式の文字は初めて見ます。大陸にある国の文字ではないでしょう。ですが、署名欄は…これはクリスフォード・ラックスファル、二枚目にはヴォグルフ・グリンジャ・タッカーソン、三枚目がリーシャ・ミル・ダウトと記載されていますので、隷属の契約書と見てよいでしょう。その他にも共通点が。三枚とも同じ名が記載されていますので、署名に疑問が湧きますが、恐らくはこの人物が契約主」


一旦、言葉を止め躊躇うも、意を決したのか再び口を開ける。


「記載された人物を私は知りませんが、使用された文字は王国文字です。おまけに、国名を冠したとあれば・・・王家の者と判断できますね。したくありませんが」


「「「えっ?!」」」


俺は義兄の手からぶんどる勢いで契約書を奪い取る。見れば見たこともない書体と‥‥


「・・・ランチェスター・グスターファルバ―グ?」


・・・って、誰?!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ