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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲

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思惑があると話がまとまらないよね。


ちょっと雰囲気が悪くなった気がする。

これは義兄に丸投げでいいか。厄介事や小難しい話の窓口は、義兄ね。これは逃げじゃなくて、適材適所。そうです。適した人が頭突っ込んで苦労すればいいと思います。


・・・はぁ、紅茶が美味しい。



意図を読ませない笑みを受かべたガザが、義兄と二人の会話を求めた。無論、ジェフリーも除外で。義兄は逡巡した後、盗聴防止の魔道具を新たに用いガザと内緒話をすると決めた。


・・・あ~それ意味なくね? ガザの位置ってジェフリーの正面なんだよ。義兄言ってたよね? こいつ、盗み見するから口元隠せって。ガザ隠してないよ? 


義兄が、ちろっと俺を見て懐から綺麗な化粧箱と本を取り出した。


・・・え? くれるの? これ俺にくれるの? なんだろう?

開けていいと許可を貰った俺は、ワクワクと箱の蓋を開けて中を見る。


・・・うわぁ~お! ドライフルーツのパウンドケーキ!! 美味しそ―! え? 今が食べごろ? そうなの? えっ? 好きなだけ食べいいの? やったー! ガザと話をしている間、これ食べて本を読んでって? いいよーいいよー、好きなだけ話しちゃってよ。


手渡された本がどんなのか、ぺらりと捲れば、何とビックリ、怪獣図鑑! あっ、もとい魔物図鑑。見た事ない生き物のスケッチがページにバーン! ちょっとこんな生き物が本当にいるのかと思うと興味が湧く。

今までにないテンションで本をじっくり読み始め、俺はすっかり義兄達を視野から外していた。




「さて、ガザ。何ですか」

「若君、御配慮に感謝申し上げます。それとカレンシア様のご忠告でございます。配下の中に怪しい者が紛れ込んだ可能性を。若君、お伝えいたしました」

「ああ、それね。クク、義母上のご意見、確かに受け取ったと報告しなさい。それと証拠がない以上ガザも胸に閉まっておくように」

「ジェフリーを口止めしなくて宜しいのか? 彼は読唇術の才ある者。だが視線の動かし方がまだまだ未熟。もっと精進なされよ」

「ふっ、面白い男ですね。アレは放っておけばよい。下手に絡むとウザ絡みされますよ? まぁ、私はそれでも良いですが。・・・で、本題は?」



・・・魔物の生態を知れば、王国を回避する理由がわかるかな? 避けて通るってことは魔物的に嫌なものがあるわけでしょ? あれ? 魔物って知性あるの? うーん、本能で動いてるっぽいし。だったら臭いとか? 嫌いな臭い? それか魔除け? あっ、魔除けじゃなくて魔物除けだったね。



「はい。若君、お嬢様は碌に実力を見せず帝国に赴く事になります。それでは、お二方にとってお辛い結果を招くことになりますが。本当に宜しいのですか」

「どういう意味ですか? 多少の失言、無礼は許します。言いなさい」



・・・おお~この魔物、大きいね。ヒグマっぽい。ふむふむ、魔力は土の系統なの? でも攻撃はその凶悪な爪と牙ねぇ…魔力関係なくね? ふむ、火の系統魔物に強い? ん、これって天敵ってこと? 何々、雄より雌が一回り大きくて出産期に雄が狂暴化? 周辺の魔物に攻撃的になるの? へぇ怖っ。めっちゃ近所迷惑じゃん! ご近所さん気の毒~。で、どこに住んでるの? 帝都から北東方面? マジか! こんな凶悪な魔物が帝国の国境付近に生息してんだ。



「では、無礼御免で申し上げます。お嬢様は本当に生家の公爵家をお捨てになられ、帝国貴族として生きるご決意をなさっておいででしょうか? 失礼ながら私にはそう見えません。これではお嬢様の未来は厳しい道を、茨の道を歩むことになるでしょう。若君もご存じですね? お嬢様は皇帝の御血筋。一度はファーレン公爵家の養女となられますが・・・。その後の身の置き場が変わると」

「・・・知ってますよ。本人にはお義祖父様がお伝えになるので伝えてませんが」



・・・このヒグマモドキは王国の国境付近はいないみたい。でも帝国の隣の国だよね、住んでるの。これ、俺達が帝国に向かうルートじゃん。やだよ、出くわしちゃったら怖いよ。喰われちゃう!



「若君もお気付きでしょうが、皇室に異変がございまして。少々混乱を期していると、オルレアン様から聞き及んでおります。お二方をこの国に留め置かれたのもそれが理由でございます」

「やはりそうでしたか。情報規制がされているでしょうに。我等を巻き込まないご温情に感謝申し上げなければいけませんね」

「若君・・・」

「さて、近衛のギルガへの尋問を今まで甘くしていましたが、少々手を強めましょう。ですが彼なら問題ないでしょう。クク、私の憂さ晴らしに付き合ってもらいましょうか」

「・・・近衛ですのでほどほどに」



・・・え~と、他は、あっ! これカッコイイ! 真っ白な豹? あっ、黒もいる!



「タッカーソン家の事件は皇室も絡んでましたか。ふむ、皇室の者なら誰でも暗躍しそうですね。ですが、第二皇女・・・ふっ、ここでは彼女の陣営と言いましょうか。()の陣営が動いていると?」

「若君、オルレアン様は()()調()()()にて手出し無用とのことでございます。お二方は王国内でお力を振るわれれば、皇帝も、オルレアン様もご満足頂けるかと。そう愚考致します」



・・・何か、魔物って野生動物っぽい。恐竜は? おっ、これなんかいい感じ? 映画で見たのに似てる。



「まったく。お義祖父様自ら陣頭指揮を執られた背景が皇室の諍い絡みでしたか。わかりました。では私は手土産を物色するとしましょうか。お義祖父様・・・いえ、皇帝陛下にお喜び頂けるものを用意致しましょう」



・・・ちょっとパラ見したけど、ゴジラは? ゴジラっていないの? ゴジラ的なのは? 


頁を捲る俺の指先は止まらない。怪獣の代表であるゴジラがいないのは俺的には許せないものがある。まんまゴジラでなくていいから、それっぽいの、お願いします。



「お義祖父様のご意志はわかりました。で、お前は?」



・・・あ~ゴジラっぽいのもいないわ。ちぇ、俺の願いは届かない…‥? ん、こ、これは?! 


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