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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第十章 クリスフォード・ラックスファル侯爵領

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心を擽る夢のアイテム?

「お義兄様」


コクリと頷くことで準備が整ったと言外に示す。流石に二度目。

目的の箇所に難なく進んだ。魔力を流したと思えば瞬く間に到達した手際の良さに義兄も満足を滲ませながら、苦笑である。


障壁を内と外側から魔力でサンド。臨戦状態に(気分がね)仕上げてある。

ジェフリーの助言を無下にせず、魔法陣に直接触れるのを避けた。一応、俺の身を考えて進言?したわけだし。俺も偶には気を使うよ?



それにしても特筆すべきは俺の魔力操作ではなかろうか。

上達スピードが半端ないのだ。

実は魔法陣を避けるにはどうしたものかと思案の結果、参考にしたのが前世の記憶にあったネットに入れられたミカン。

あっ、柑橘類は好物なのだ。ああ~オレンジジュース飲みたい~

そう、コショコショとこよりを模範にして魔力をネット状にして包囲したのだ。ふふ。操作がホント上手くなったわ。


出来栄えに満足な俺はほくそ笑む。自己満は大事だからね。




「素晴らしいねレティ。流石優秀だよ。‥‥それで気分はどう? 体調は?」


褒めと労いをセットで寄越す義兄の対応に更に俺の気分は良くなる。すかさずな義兄。ブレがない。



「体調は大丈夫ですが‥‥不気味さは相変わらずですわ」

「レティ、嫌になったら言って? 無理をする必要はないからね?」


‥‥義兄よ、ホント、レティエルに甘いよね。

と言っても甘やかされたい盛りの俺は素直に受け入れる。


まぁ、出来ないことはしない主義の俺には問題ないわけ。見極めるからね?

大丈夫大丈夫と言い包めて漸く障壁に意識を切り替える。




「…‥はて?」

「レティ?」


あれ? 遠近の感覚がおかしくない?


「お義兄様、心の臓の大きさは拳大でしたよね? ちょっと変なの」


違和感を覚えたのは心臓の大きさと魔法陣の大きさにだ。

魔力感知のため誤差が生じた‥‥にしては奇妙なのだ。


「レティ、大きさがどうしたの?」


‥‥大きさだけじゃなくて、敷物と感じた平坦だった障壁に何故か奥行きを感じる。はて? これは? 奇妙さと不可解さに無意識で『むむむ』と唸る。


「‥‥奥行? ああ、それは‥‥レティ、ちょっとこれを見てご覧」

「お義兄様?」


‥‥あ、それって魔道具の小箱だよね? 


義兄は徐に胸の内ポケットから小箱を取り出した。


‥‥うん、めっちゃナチュラルに出したね、今。自然過ぎてスルーしそうになったわ。…あのさぁ、サイズ的に可笑しいよね、ソレ。どっからどう見てもポケットに納まるサイズじゃないでしょ?



多分、この時の俺の顔は不細工だったのだろう。ジェフリーに『お嬢様、お顔がぁ~』って指差しやがったからね。いやそんなことよりも‥‥


引き続き胸の内ポケットから取り出したのは15㎝ほどの‥‥え? 財布?!

公爵子息が財布など庶民アイテムを持つのだろうか? もう違和感しかない。

どうみても身分的に不似合いなのだ。貴族然としたお顔とも似合わない。

それを楽しそうに取り出す義兄を、高位貴族の常識眼で照らしては良くないのだろう‥‥と、どうでも良い事を考えていた俺に、義兄は種を明かしてくれる。


庶民アイテムと誤認したソレは、な、なんとビックリ、空間収納の機能を持つ魔道具だったのだ。

【空間収納財布】?の披露にジャジャーンって効果音が脳内にこだましたね今。


そうか小箱はここから出したのか。

そうかあるんだ。魔法の国っぽいアイテム。


目の前の四次げ…‥‥んんん~と。

俺の心を擽る夢のアイテムポケットを見せられて、平常心を保っていられるのか。否、無理だわ。テンション爆上がり。

あっ、大丈夫! 魔力操作に影響はないよ、俺って優秀だからね。ふふふ。

ジェフリーの呆れた目はマルっと無視で。毎度のことだ。



「レティに見せていない? ああそうだったね。見た目が見た目だからかな? まさか革袋が希少な魔道具とは思わないね。ふふ、私も人前で何かを取り出したりしない、ローブを着用していれば別だけどね」


‥‥あっ! いつぞやの刀! あれは四次げ…ううん、ポケットから出したのか! 謎が解けてスッキリ!


「まあ! そんな希少な物をどこで入手なさったの? わたくしも欲しい!」

「‥‥レティだったら欲しがるのをうっかり失念していたね。‥‥レティ、今は事情があって譲れなくて、ごめんね。だけど別の物をプレゼントするよ? それまで待ってて? いい?」


いずれ手に入るとあれば、少々待たされても。待つなど吝かではない! 


「嬉しい!! 約束! 約束しましたわよお義兄様!」


これは予想外。めちゃくちゃ嬉しい!


「若、お嬢様って絶対この空間収納の魔道具の価値をご存じないですよ。入手困難なのに。それよりも、若~どこから調達します? 所有者は秘密にしてますもんね~。探させますか?」

「ククク、問題ありませんよ。上手く隠したところでバレるものです。そのうち人を差し向けましょう。快く差し出せば悪いようにはしませんが…。それよりも今はこれを」


義兄は小箱の蓋を開け中の箱を取り出し説明を始めたのだが‥‥


「レティ、この小箱も空間干渉を活かしたつくり…‥聞いていませんね」

「あ~、意識持ってかれてますね? 若、どうします?」

「‥‥ふぅ、別枠で教える日を設けましょうか。今日は仕方ありません」

「ですよね~」


脳内テンション、狂喜乱舞真っ盛り中。な俺に二人の不穏な遣り取りが耳に入ることは無かった。無論、義兄の能力を知る折角のチャンスも不意にしたことも。


はぁ~希少な空間収納の魔道具をここで出してくる義兄が悪いよ~。

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